『孟子』万章上139ー孟子と万章の対話(4) 父母に嫌われた舜〈3〉親には内緒で妻をめとる

*今回も、弟子の万章との対話です。

万章は質問して言った。

「『詩経』にはこのようにあります。

〈妻を娶るにはどうするか。必ず父母に告げてから。〉

この言葉を信じるのであれば…、
舜が、父母に告げずに妻を娶ってしまったのは、どういうことなのでしょうか。」

*舜は、父母に嫌われていました。そのため、親の許しを待っていては、結婚できそうにありませんでした。そこで、両親の許しを得ないまま結婚した、とされています。

孟子は言った。

「舜が、もし父母に告げていれば、妻を娶ることができなかったことは、あきらかだ。

だが、男女が家をともにすることは、人としての大切な倫理だ。
もし、父母に告げて娶ることができないとなれば、人として大切な倫理を棄てることになる。
そうなれば、逆に今度は、子孫をのこせずに、父母から逆恨みされることになる。だから、父母には告げなかったのだ。」

万章は言った。

「舜が父母に報告しないまま妻を娶ったことは…、
私も理由をうかがって合点がいきました。

ですが、帝(てい)が、自分の娘を舜の妻として娶らせた際にも、やはり舜の両親には告げませんでした。
なぜなのでしょうか。」

孟子は言った。

「帝もまた、そのことを告知すれば、舜が妻をむかえることができなくなってしまうことを、知っていたからだよ。」

*以上、『孟子』万章上138ー孟子と万章の対話(4) 父母に嫌われた舜〈3〉親には内緒で妻をめとる

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