『孟子』万章下162ー孟子と万章の対話(18) 賢者を世話する作法

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万章は言った。

「ぜひとも質問をおゆるしください。
国君が、君子の世話をしようと思ったとします。
どうすれば世話をした、と言えるのでしょうか。」

孟子は言った。

「なにかモノを贈るのであれば、まずは君命によって行う。そして、君子の側は、再拝して深々とお辞儀をしてそれを受け取る。

それ以降は、君主の側は、穀物倉の役人である廩人(りんじん)から穀物を贈らせ、宮廷料理人である庖人(ほうじん)に肉を贈らせる。
その際、君命によって直接、君子にモノを贈ることがあってはならない。

しつこく肉を穆公から贈られた子思(しし)は、このように思うようになっていったのだろう。

〈鼎(かなえ)で煮込んだ肉のせいで、私は面倒なことにまきこまれている。しかも、何度も拝礼しなければならないとは…。〉

つまり、穆公のやり方は、君子を世話する道ではないのだ。

尭(ぎょう)が舜を世話したときは、自分の息子九人を舜のもとに仕えさせ、二人の娘を舜の妻とした。そして、必要な役人たちと牛や羊、穀物倉を置き、そのうえで田畑の中で、舜の世話をつづけさせたのだ。
そのうえで、後には舜を採用して上位の官職を与えている。
だから、尭のやり方こそが、このように言われるのだ。

〈王公が賢者を尊敬するやり方である。〉」

*以上、『孟子』万章下162ー孟子と万章の対話(18) 賢者を世話する作法

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