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『孟子』告子下198ー孟子の言葉(72)三王の罪人〈2〉 五覇

◆全訳はこちら↓

*前回の孟子の言葉はつづきます。

天子が諸侯のもとに行くことを〈巡狩(じゅんしゅ)〉と言う。
諸侯が天子のもとに朝見することを〈述職(じゅつしょく)〉と言う。

天子と諸侯は自らの領地を見てまわらなければならない。
春は、田畑を耕す様子を観察して、農具などの不足があれば補ってやる。
秋は、収穫を観察して、人手が足りないところがあれば、助けてやるのだ。

さて、天子が諸侯の領土に入ると、土地が開発され、田畑が管理され、老人を世話して賢者を尊敬し、俊傑がいればふさわしい地位についている。ならば、その諸侯には、恩賞を与える。恩賞として、土地を加増してやる。

だが逆に、諸侯の領土に入ると、土地は荒れ果て、老人を放置して、賢者はいなくなり、そこらの不良がなぜか高い地位についている。そのような諸侯には、叱りつけるのである。

天子は、諸侯に一度でも朝見しないものがいれば、その爵位を降格させる。再度、朝見しなければ、その領土を削減する。そして、三度目に朝見しなかった場合は、六個軍団(六師)を編成して、その諸侯を強制的に移送するのである。

であるから、天子は、討伐令をくだしても、自ら討伐は行わなかった。
そして、諸侯は、討伐令にしたがっても、自分勝手に討伐を行わなかったのである。
ところがである。

五覇は、諸侯を勝手に率いて、ほかの諸侯を討伐した。
だから言うのだ。

〈五覇は、三王の罪人である。〉

*『孟子』告子下198ー孟子の言葉(72)三王の罪人〈2〉巡狩と述職―五覇


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