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『孟子』11―梁恵王下―孟子と斉の宣王の対話(5)賢者の旅〈2〉

*前回の孟子の言葉はつづく

昔、斉の景公は、晏子(あんし)に質問して言いました。
〈わしは、轉附山(てんぷざん)や朝儛山(ちょうぶざん)を眺め、海岸に沿って南に行き、琅邪(ろうや)まで足を運ぼうと思う。
そこで、わしは、どのように旅をすれば、古の王たちが天下を巡った大旅行と同じことをしていると見られるであろうか。〉

晏子は答えて言いました。
〈善き質問です。
天子が諸侯の国を旅すること、これを巡狩と言います。
巡狩(じゅんしゅ)とは、諸侯の守護する地を巡るという意味です。
諸侯が天子に朝見すること、これを述職(じゅつしょく)と言います。
述職とは、諸侯が自分の職務を報告するという意味です。

いずれも、無意味に旅をしていたわけではありません。
春には、農地を観察して、足りない農具を補い、
秋には、収穫を観察して、足りない人手を助けてやっていたのです。

夏(か)王朝の時代に、このような格言があります。
「わが王が、旅をしなければ、オレはどうやって息をつけばいいのだ。
わが王が、楽しまなければ、オレはどうやって助かればいいのだ。」

古の王たちの旅の、そのたった一歩が、そして楽しんだその一瞬が、諸侯の模範となったのです。
……
*孟子の話の中の、晏子の言葉はつづく

*以上、『孟子』11―梁恵王下―孟子と斉の宣王の対話(5)賢者の旅〈2〉

【原文】
……。齊景公問於晏子曰。〈吾欲觀於轉附、朝儛、遵海而南、放于琅邪。吾何脩而可以比於先王觀也。〉晏子對曰。〈善哉問也。天子適諸侯曰巡狩、巡狩者巡所守也。諸侯朝於天子曰述職、述職者述所職也。無非事者。春省耕而補不足、秋省斂而助不給。夏諺曰。「吾王不遊、吾何以休。吾王不豫、吾何以助。一遊一豫、為諸侯度。」……。

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*ヘッダー画像:Wikipedia「孟子」
*ヘッダー題辞:©順淵



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