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『孟子』32公孫丑上―孟子の言葉(1)覇者と王者
孟子は言った。
力づくでねじ伏せている。なのに、仁のように見せかけているもの。
それが、覇者だ。覇者となるには、どうしても大国である必要がある。
一方、徳によって仁を行うもの。
それが、王者だ。王者は、大国である必要はない。
例えば、殷の湯王の国は七十里ほどしかなかったし、周の文王も百里にすぎなかった。
力づくで人を服従させる者は、相手を心から服従させることができていない。
相手の力が足りないことにつけ込み、一時的に服従させているに過ぎない。
だが、徳によって人を服従させる者は、相手を心から喜ばせて、本当に服従させているのだ。
例としては、我らの大先輩たちである七十子が、孔子に服していたことがあげられる。
『詩経』は、周の武王をこう歌っている。
〈西から東から、南から北から、服しない者はいなかった。〉
王者とは、こういうものだ。
*以上、『孟子』31公孫丑上―孟子の言葉(1)覇者と王者
【原文】
孟子曰、「以力假仁者霸、霸必有大國、以德行仁者王、王不待大。湯以七十里、文王以百里。以力服人者、非心服也、力不贍也。以德服人者、中心悅而誠服也、如七十子之服孔子也。『詩』云、〈自西自東、自南自北、無思不服。〉此之謂也。」
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*この記事の訳は、原則として趙岐注の解釈にしたがっています
*ヘッダー画像:Wikipedia「孟子」
*ヘッダー題辞:©順淵
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