『孟子』97 離婁上ー孟子の言葉(18)天下の父たちを帰服させる

孟子は言った。

「伯夷は、殷の紂王の統治を避けて、北海の浜辺で暮らしていた。
だが、文王が国を興したと聞くとこのように言った。
〈どうして、帰服しないでいられようか。
私は西伯(せいはく)が、善く老人を養っていると聞いているのだ。〉

*西伯とは、周の文王を指します。

さて、このとき、太公(たいこう)も紂王の統治を避けて、東海の浜辺で暮らしていた。
文王が国を興したと聞くと、やはりこのように言った。
〈どうして、帰服せずにはおられんよ。
ワシは西伯が善く老人を養っていると聞いている。〉

*伯夷は、孟子では、お馴染みの聖人です。
そして太公は、周王朝の創建に貢献した太公望(たいこうぼう)を指します。

伯夷と太公の二人の老人は、天下の大老である。
それが文王のもとに帰服したのだ。
これは、天下の父が文王のもとに帰服したということだ。天下の父が帰服したということは、その子供たちもやってくるということだ。
諸侯に、文王の政を行うものがいれば、七年もしないうちに、必ず天下に政を行っていることだろう。」

*以上、『孟子』97 離婁上ー孟子の言葉(18)天下の父たちを帰服させる

【原文】
孟子曰、「伯夷辟紂、居北海之濱、聞文王作、興曰、〈盍歸乎來。吾聞西伯善養老者。〉太公辟紂、居東海之濱、聞文王作、興曰、〈盍歸乎來。吾聞西伯善養老者。〉二老者、天下之大老也、而歸之、是天下之父歸之也。天下之父歸之、其子焉往。諸侯有行文王之政者、七年之內、必為政於天下矣。」

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