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【神社の世界】#30 月読宮・月夜見宮

2017年
平成29年11月3日

 月読命が祀られている神社に参拝したくて、伊勢まで足を伸ばしてみました。

三貴子

 日本神話に登場する神様の中で、最強の三兄弟といえば、三貴子と呼ばれている、この三柱です。
・アマテラス 天照大神
・ツクヨミ 月読命
・スサノオ 須佐之男命
 私が昔から気になっている神様は、二番目のツクヨミです。姉アマテラス、弟スサノオの両スーパーヒーローに挟まれて、地味〜に隠れた神様です。最近、浅葉なつ作 "神様の御用人7" を読んで益々興味が湧いてきて、これは直接参拝するしかないと思った次第です。
 ツクヨミは、伊勢神宮の内宮・外宮双方に祀られている唯一の神様ですが、古事記、日本書紀にもほとんど描かれていない謎の神様です。

月読宮(内宮の別宮)

 初めに、内宮別宮の月読宮(つくよみのみや)を参拝しました。内宮正殿の北側、近鉄五十鈴川駅近くにひっそりと、ほんとに地味に鎮座しています。
 早朝だったせいかもしれませんが、鳥居を抜け、社寺林に入り込んだ瞬間、清浄な空気をぴりりと肌に感じます。高さ1メートルほどの石垣で造られた小径に案内されて歩くと、黄金色に光る社殿が森の中から忽然と現れます。



 社殿は、直線的で素朴な平入りの造りで、内宮正殿と同じ神明造りです。樹木肌色と黄金色の神聖な建築物は、常緑の椎樫林によく似合います。
 社殿は、左からイザナミ(母神)、イザナギ(父神)、ツクヨミ和魂、ツクヨミ荒魂を祀る四つ並んでいます。
 よくみると、一番初めにお参りする月読宮の社殿が他よりやや高いです。

月讀宮印

 四宮とも小さいので鳥居、拝殿、本殿がこじんまりと一緒に見られます。式年遷宮のための空き地(古殿地こでんち)もちゃんと奥にあります。

月夜見宮(外宮の別宮)

 次に、外宮別宮の月夜見宮を参拝しました、漢字表記は内宮と異なりますが、御祭神や読み仮名は同じです。
 外宮から北側に真っ直ぐ伸びる神路通りを歩くと、月夜見宮の鳥居が見えてきます。意外にも周りは小学校などもある住宅街です。
 内宮の月読宮と同じく、とても静かに地味ですが、とても手入れが行き届いた清浄な神社です。清々しいです。

月夜見宮印

神路通り

 外宮の月夜見宮で面白かったのが、神路通り(かみじどおり)と呼ばれる参道です。
 外宮と月夜見宮とを結ぶ裏参道です。
 この道を通って、夜な夜な、ツクヨミが外宮の豊受大神に会いに行くので、人々は通りの真ん中は避けて端を通るそうです。 
 いま、キレイに整備されたカラー舗装は、真ん中だけ色が違うのはこの事を現しているのかもしれません。なかなか粋なことではないでしょうか。

神路通り 奥が月夜見宮

成るように成る

 月読命は、太陽ではなくて月、陽ではなく陰の存在です。
 "する"ではなく"成る"の存在です。
 歴史を振り返ると、注目されるのは、大事件を成した英雄たちですが、実は、世界のほとんどは、ただ必然と流れているだけと思うのです。ほとんどは、成るように成っていると思うのです。
 "成るように成る"とは、誰も何もしない無策と言うことではなく、名もない普通の人々が、自分のできることを地道に行う結果、世界全体がうまく流れると言うことだと思います。
 英雄は、有事の際に必要な存在ですが、非凡な才能があるが故に、足元が疎かになりがちです。この足元をちゃんと照らして支えているのが凡人です。
 私は、このような普通の凡人が大好きなので、月読命のことをもっと知りたくなりました。

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