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ワンピース 麦わらの一味 熊本

 熊本は、漫画ONE PIECEの原作者 尾田栄一郎氏のふるさとです。
 平成28(2016)年に起きた大地震の復興プロジェクトとして、ルフィーをはじめ、麦わら海賊団メンバーが、被災地に駆けつけてくれていますので、10人全員に会ってきました。

阿蘇熊本空港

 阿蘇熊本空港に降り立つと、この看板がお出迎えしてくれます。実にワクワクします。一味全員に会いたくなります。


麦わらの一味

モンキー・D・ルフィ

@熊本市中央区
 まずは、船長のルフィーが熊本県庁に立ち、復興の手助けを仲間達へ指示しています。
 銀杏並木を歩いて、ルフィーの奥が熊本県庁です。くまモンもいるのかな?県職員が羨ましい〜!

モンキー・D・ルフィ


ロロノア・ゾロ

@菊池郡大津町
 剣道の盛んな大津町では、剣豪を目指すゾロが子供達と剣の修行を重ねながら、地震に負けない町づくりを応援しています。
 大津中央公園で三刀流を披露するゾロは、圧倒的にカッコイイです。

ロロノア・ゾロ


ナミ

@阿蘇郡西原村
 村の大半が被害を受けた西原村では、航海士ナミがココヤシ村での経験と重ねながら、復興に応援の風を送っています。
 ナミがいるのは、村の観光拠点である俵山交流館"萌の里"です。ここは息子たちが小さい頃、草スキーして遊んだ思い出の場所です。
 ちゃんと"みかんの木"に囲まれながらナミは微笑んでいました。もちろんナイスバディ〜です。

ナミ


ウソップ

@阿蘇市
 広大な草原に被害の出た阿蘇では、狙撃手ウソップが自然の力を操る道具で自然再生を手助けします。
 ウソップは、美しい阿蘇五岳の山並みを背景に、JR豊肥線阿蘇駅前に力強く立っていました。

ウソップ

サンジ

@上益城郡益城町
 熊本地震で動いた日奈久断層(前震)と布田川断層(本震)が重なる益城町は、町ごと甚大な被害を受け、学校給食センターも被災したため、コックのサンジが町の交流センターに駆けつけてくれました。
 人間皆等しく、食い物無しでは存在し得ない生き物だと教えてくれているようです。

サンジ


トニートニー・チョッパー

@熊本市東区
 獣舎が壊れて2年以上も閉園していた熊本市動植物園では、トナカイの船医チョッパーが、永らく避難していた動物達のケアにあたっています。
 震災の時、酷いデマが流布しましたね。
 小学生の頃、自転車でよく通っていた動物園なので、チョッパーがいてくれるだけで何故か安心です。

トニートニー・チョッパー


ニコ・ロビン

@阿蘇郡南阿蘇村
 震災の被害や教訓を後世に語り継ぐミュージアム拠点の整備が進められている南阿蘇村では、考古学者ロビンが伝承の手助けをしています。
 この地は、阿蘇大橋(赤橋)が崩落し、JR豊肥線や国道57号が寸断。特に東海大学関係者は大変なことになりました。
 ロビンちゃんは、建設中の震災ミュージアム(旧東海大学阿蘇キャンパス)の敷地内にいるため、麦わらの一味で唯一、会える時間が限られています。しかし、スタッフの方々が詳しくガイドしてくれますので、地震のこと、阿蘇のこと、地球のことをたくさん知ることができる最高の学びの場となっています。2023年度のミュージアムオープンが楽しみです。
 さらに、南阿蘇村には、昭和3年建設の京都大学火山研究所(写真右奥)もあり、地球科学研究の発祥の地とも言えます。
 ニコ・ロビンの故郷オハラを連想しませんか?

ニコ・ロビン


フランキー

@阿蘇郡高森町
 地震で寸断され、廃線も危ぶまれた南阿蘇鉄道の再建を手伝うために、船大工フランキーが阿蘇南麓の高森に駆けつけました。
 高森駅前のフランキーは、海列車を作った師匠トムのように被災地の希望となるべく、スーパー!と力強く叫んでいました。
 南阿蘇鉄道は、スイッチバックで有名な立野駅から南阿蘇の高森を繋ぐ小さな路線です。国鉄民営化以降、三セクで頑張っていて、列車や駅舎のデザインも可愛くて、トロッコ列車、白川水源観光など、応援したくなるローカル線です。2023年夏の全線復旧が待たれます。

フランキー


ブルック

@上益城郡御船町
 御船町は音楽と化石の町です。平成音楽大学も被災して、学内から1ヶ月ほど音楽が消えてしまったそうですが、骸骨の音楽家ブルックが駆けつけて、学生らと一緒に奏でる応援歌とジョークで、明るい復興を後押ししています。
 ブルックは、町のふれあい広場(恐竜公園)にいて、翼竜の隣でジャジャーンとギターを奏で元気に叫んでいました。
 ちなみに、私は小学生の頃、化石クラブの活動で理科の先生と一緒に御船で化石堀りをしていました。石を割ると二枚貝やフズリナの化石が出てくるワクワク感は今でもよく覚えています。

ブルック


ジンベエ

@宇土市
 麦わらの一味最後は、魚人族の操舵士ジンベエです。
 有明海に面した宇土半島の住吉海岸で、貫禄十分に阿蘇方面を向いて乾盃しています。
 絶望のルフィーに向かって、
「今は辛かろうが、失った物ばかり数えるな!!!無い物は無い!!!お前にまだ残っておるものは何じゃ!!!」と叱咤激励した海侠ジンベエの力強さが全面に現れた素晴らしいフォルムです。
 背後には遠浅の干潟と、その先には長崎の雲仙が見えています。1991年の噴火で流れた大火砕流で多くの犠牲が出た普賢岳です。
この地に立つと、阿蘇から流れ下って、益城、宇土、そして雲仙へと続く大地の気の流れを感じます。

ジンベエ

訪問の記

温かな空気感

 麦わらの一味10人?のいる場所は、普段それほど人が集まる場所ではありません。しかし、私が訪ねた時はどことひっきりなしに人々が集まっていて、皆さん気ままに写真撮影を楽しんでいました。
 改めてワンピース人気の凄さを実感しました。
 と言っても、東京の観光地のようではありません。ゾロの目の前では3人の小学生がお絵描きし、ジンベエの膝に乗った子供を親御さんが記念撮影し、サンジと同じポーズをとる女子高生たち。実にのんびりしています。撮りましょうか?とお互いに声を掛け合う優しさに包まれた空間が生まれていました。とても居心地の良い、ちょうどいい感じです。
 せっかく人々が集まるのだから、珈琲やスイーツでも販売すれば売れるのにな〜なんて考えるのは邪道なんでしょうね。全く商売っ気がないのが好感度アップです。
 除幕式の動画を見ても、自治体の長、集英社、地元が一体となって温かい空気感が伝ってきます。漫画の世界と現実世界の境界が曖昧なので、とても面白いです。

断層帯

 ニコ・ロビンの前でスタッフの方から教えて頂いた地震の話しを少々。

 熊本地震は、二つの断層帯が立て続けにズレて起きた地震です。

現地パネルより


【前震】
 まず、4月14日(木)21時26分、益城・八代間を南北に走る日奈久断層が動きます。
 マグニチュード6.5、最大震度は益城で7。
 約10キロにわたって水平方向1〜2メートルの右横ズレが起きる膨大なエネルギーです。

【本震】
 前震の28時間後、16日(土) 01時26分 、今度は阿蘇・宇土間を東西に走る布田川断層が動きます。
 マグニチュード7.3、最大震度は益城、西原で7。前震に誘引されて起きたとされており、こちらも右横ずれでした。

 前震、本震の最大震度7は、気象庁震度階のうち、これ以上ないマックスの階級です。
 また、いずれも横ズレ地震です。阪神淡路のような縦ズレではないので、断層のひび割れを一見しても、それ程の衝撃はありません。しかし、何十キロにもわたって大地がズレるって、想像するだけで神様の仕業です。

 東海大学阿蘇キャンパスは、現在、閉鎖され、800名ほどいた学生は熊本市内に移っているそうです。再建は無理だそうです。
 校舎の真下に断層の亀裂が走っており、再建は無理とのことで、震災遺構として保存されています。

旧東海大学阿蘇校舎

芸術の力

 現代は、ややもすると科学偏重な傾向があります。例えば巨大IT企業GAFAに世界の富が集中するのは競争社会の自然な流れかもしれませんが、何か腑に落ちない現実です。
 一方、感染症の世界的流行、大災害、戦争などが起きると、もちろん多くの科学技術に助けられることも事実ですが、人々は芸術に救われていることも事実です。ここでいう芸術とは、美術や音楽に限らず文学、宗教、スポーツ、コミニュケーション、もちろんマンガやアニメも含む"心のやりとり"そのものです。
 産業や経済からみると、一見、非効率で無駄に見える芸術は、社会にとって実は無くてはならないものだという潮流が徐々に強くなっているように思います。
 今の教育や社会的地位を見ると、科学技術分野に比べて芸術分野がとても軽視されているのはとても残念ですが、これから少しずつバランスの良い社会に変わってくるのではないでしょうか。

 麦わら海賊団メンバーの多様性こそ、これからの目指すべき新時代だと信じます。
 男も女も、人も動物も魚も、骸骨もサイボーグも、嘘つきさえも仲間です。実に面白いメンツではないでしょうか。

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