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サウダージ

 惚れた方が負けなんて分かってる。恋なんてそんなもの。
最近のあなたは変だった。話してることも前に話していたことと食い違ってたりして…。嘘で固めた話するくらいなら話さなければいいのに。あなたに好かれてないことくらいとっくの昔に気づいてたわ。

 こないだ会った時の私、あなたには違って写ってたんでしょう?そんな日でも笑うくらい許してよ。気づいてたか分からないけれど、あの日の笑顔は私の精一杯の表情だったのよ。きっとあの日で最後。次なんてないもの。それなら、涙なんてあなたに見せたくない。とびきりの笑顔でいたかった。けれど、その時に泣かなかったからでしょうね。家に帰ったら悲しくて仕方がなくてね…。けど、泣かずに耐えたの。本当なら泣いてこの悲しみを消したいの。けれどね、この激痛を心に持ち続ける限り、私はあなたを忘れないでいられるから、そっちを選んだの。

 こんな恋バナは私だけなんて思っててもそんなことなくて、石ころのように溢れてるんだろうな。この世の中では出会いと別れが繰り返されてて、その中には笑顔と涙が含まれてる。そんなありきたりな恋愛のうちの1つ。

 あなたには何も伝えないけれど、あの人には…
「恋心さん、ごめんなさい。私幸せになれなかった。私が描いた未来は完成しなかったよ。ただの夢になっちゃった。あなたとはここでお別れ。また会いましょう。私が恋をするその日までね」
この恋は終わらないと思ってたのになぁ。あなたの傍なら人生の最後まで描けたのに。私は本気で生きていた。夜空すらも焦がすほど燃え上がった恋心と共に。

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