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【5】視覚障害者用ナビでは、リルート機能はむしろ有害

あるナビの紹介を聴いていたときは、リルート機能は便利だと思った。だが、実際に歩いてリルートさせてみると、無用なばかりか危険ですらあることがわかった。

【リルート機能とは】

カーナビで、ナビが案内する経路とはちがう道をある程度以上すすむと「リルートします」と言って、案内経路を変更する。

そのときのアルゴリズムは「Uターンすることなく最短で最終目的地に行ける」である。

運転する人なら下記の経験があるはずです:

① 違った道に入ったとき、しばらくは無音になる。 ナビのアルゴリズムは、「本当に違った道を進もうとしているのか、あるいは単にGPSの誤差なのか」の判別処理をするとともに、新しいルートを作成しているものと考えられる。

② 運転者は、この無音の間に、コンビニの駐車場に入ってUターンすることも可能なので、さして問題とはならない。

【視覚障害者用ナビではこうはいかない事情】

上の説明からわかるように、リルートの前の無音時間も、車は自走している。前を見て運転しているので特に危険はない。

だが周辺が見えない視覚障害者は、その無音の間、どうすべきか? 無音=問題なし という定義でいくならそのまま(まちがった方向に)歩き続けることになる。
まちがった道や他人の駐車場に入ろうとしているときは、一刻も速く止まって引き替えせねばならない。 無音の時間、歩きつづけると危険ですらある。

【リルートされると困る理由】

カーナビの場合、あたらしいルートが地図に表示されるのでそのまま進むか、もとの道に引き返すか、自分で判断できる。 そして、再度リルートして、もとのルートに復帰することもできる。

だが、地図が見えないわれわれにとって、どのようにリルートされたのか、そして、どうしたら本来のルートに復帰できるか分かりようがない。

また、多くの視覚障害者は、あらかじめ経路を予習しておく。途中でその経路を失い、復帰できなくなるとすると、もうパニックになってしまう。

結論としては 視覚障害者用ナビにリルート機能を入れてはいけない」ということになります。

自動リルート機能がなくても、新たなルートを検索しなおせば足りる。

結論としては、開発者自身が目隠しをして何キロか歩いてみればすぐに理解できることです。トヨタの開発エンジニアは、自分の開発した車で運転してみることが何よりのわくわくであるはずです。

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