本当に役に立つ音声ナビを実現するには
晴眼者用のナビの基本機能は、知らない目的地に案内することである。
視覚障害者用の歩行ナビは、正しい経路からはずれないように誘導することである。
両者は一見似ているようだが、求められる機能がちがう。目的が違うものを転用しようとしてもうまくいかない。
以下、そのソリューション編です。
■オリジナルの歩行地図を作る
自分用にカスタマイズされた歩行地図は、自力で作るよりほかにない。
私は、段ボールの箱をもって一周4キロの経路を歩いたことがある。5歩ごとに止まって、箱のウエに置いたGarminのGPSナビ端末で緯度経度を採った。
手に持つと不安定になるので、段ボールの上に載せたわけです。10年ほど前です。
最近には、時速4キロで軽トラを走らせ、荷台に置いたスマホで3秒間隔で緯度経度と方位角を記録した。軽トラは、直角の曲がり角でもゆるく曲がるため、プロットは弧を描く。これがGPSの分解能とあいまって、非常に歩きやすい経路データになった。(詳細説明は略)
田舎ならこの方法が決め打ちと言えます。
■ オリジナルの歩行地図を作るベスト解
自分のための歩行経路データを何年もかけて作ってきた経験を踏まえ、極めつけの歩行地図作成手順を下に提案する。
前提
市街地などでは、現場でスマホのGPSで位置を計測するより既製の歩行地図のほうが精度が高い。
そこで、既製の歩行地図を利用しながら、不足部分を実際に現地を歩いて補うことによりカスタマイズする。
① スマホで経路作成アプリ(これから作る)を起動する。このアプリにはすでに全国の歩行地図が入れてある。
このスマホは、オフラインでよい。
② 歩行地図にはクモの巣のように多くの歩行経路が描かれている。晴眼者と実際に歩いて、それらの経路のうちどれを歩くのか、実際に現場を歩く事により
アプリに学習させる。どちらの路側を歩くか、どこで横断するのか、などは、白杖歩行者にとっては重要な問題である。
③ ときには既成の地図にはない経路を歩きたいこともある。その場合は、強制的に新規のルートを作成させる。
スーパーの駐車場はもとよりであるが、広い道の片方にしか歩道がない場合など、反対側には歩行経路が作られていない。現実には、反対側が運動場になっていて、そちらの路側のほうがかえって歩きやすいときがある。そういうケースでは、そこを歩く事により、強制的に経路を作らせる。
④ このルート作成アプリのアルゴリズム(AI活用)は、歩行地図を参照しながら、現在、どの経路をどちらに向かって移動しているか fitting する。
Fitting にあたっては、経過時間、その時のGPSの誤差値、加速度、そのたもろもろのセンサーデータを活用する。このコンパイルのアルゴリズムこそが核心である。
⑤ 終了して保存 のボタンを押したら、アプリはすべてのデータを最終的にコンパイルして所定の間隔(3m)にポイントを再配列するとともに、方位角を付与する。
その再、実測値に含まれている不合理なゆらぎなどは除去する。 たとえば停まっている車を避けた、まちがった枝道に入って引き返した。信号待ち、その他、
あり得ない行動も禁則処理で排除する。
また、適宜GPSの誤差が誘導ミスにつながらないような補正処理も施す。(これは6000キロ歩いて得たノウハウ)
このアルゴリズムの開発を仕上げるには、何千回も歩いてみることが必要だろう。
なお、これだけではナビ時に現在位置がわからない。なので、コメント追加機能を使って 「駅前ローソンへの分岐ポイント」 などの注釈を付加します。(音声入力)
これで、一度歩くことにより、始点から終点まで、きちんと成形された、歩きやすいカスタムルートができあがる。
面倒に思えるだろうが、王道はない。
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