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【読書】ザ・ゴール 企業の究極の目的とは何か

製造業の生産管理プロセスに関する名著。

10年ぐらい前に読んだが、今回再度読んでみた。
私は製造業に勤めていることもあり、購入当初は単純に勉強のつもりで読んでいたが今読み返すと違った視点で見られて面白かった。

本書は閉鎖寸前の工場を立て直すという小説仕立てになっている。
在庫を多く抱えて利益が上げられず納期も守れない工場の責任者が主人公。
毎日夜遅くまで仕事をしているため家族にもそっぽを向かれていた。

かつての師である物理学者に教えを受けながら工場を立て直して家族との関係も修復していくというストーリー。

企業の究極の目的=ゴールはズバリ、「お金を儲けること」である。

そのために重要なキーワードは、「ボトルネック」「業務費用」「スループット」の3つ。

「ボトルネック」は製造工程において最も生産能力が低い工程のこと。
このボトルネックにより全体の生産能力が決まってしまう。

「業務費用」とは在庫や人件費のこと。
予備としての在庫を持ったり、ボトルネックでない工程(生産能力が余剰になっており必要以上に生産している工程)で作った余剰在庫を持つことは管理費用や保管費用といった経費がかさんでしまう。
また、高性能な機械を導入しても残業や余剰人員の配置で人件費がかさんでしまっては経費がかかってしまう。

「スループット」は販売によって利益を出すこと。
いくら物を作っても売れなければ在庫を抱えてしまうことになる。


ボトルネックとなる工程を見つけ出し、非ボトルネックの生産能力もボトルネックに合わせることで余剰な在庫を抱えないようにする。

また、同時にボトルネックの工程を改善する。
ボトルネックの工程にアイドルタイムが生じないように休憩時間もフル稼働させたり、生産能力を高めるため1回あたりの処理数を変えたり機械を増備したりすることを試みる。

私は製造業で仕事をしているので自分の仕事にイメージしやすかった。
工場全体や自分の仕事においてもどの工程がボトルネックとなっていて経費がかかっているのかを考えてみている。

また、別の視点でも見てみると面白い。
この本は工場を立て直すと同時に家庭の関係を修復するというストーリーだが、効率的に仕事をすることでワークライフバランスが取れて私生活も充実させることの重要性もメッセージとして込められている。

さらに視点を変えて抽象化してみると、普段の仕事においてやる必要のない仕事をやって、残業代や光熱費やその他の経費を増大させていないかということを考えるきっかけにもなる。
本当に自分がやっていることが会社のためになるのか。
今この仕事をやることで逆に損失にならないか。
これをやることで失われる時間は、自分と家族にとってどういう影響を及ぼすのかを考えるようになる。

本書の原著は30年以上前で、日本語版は20年前初版のビジネス書だが、ワークライフバランスや長時間労働問題を改善させることが求められている令和の今にこそ多くの人に読んでほしい本であると思った。

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