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癌は異物、抗原ではない~「B17 癌なき世界 4章 癌は生命の奔流である」まとめ

「B17 第1巻 癌なき世界」(1979年初版発行 著者:G・エドワード・グリフィン 訳者:渡辺正雄、河内正男、小笠原治夫 監修:河内省一 ノーベル書房)の4章を紹介します。

4章 癌は生命の奔流である
8割が生殖、2割が修復に関係する栄養芽層。正常な妊娠以外のコントロールが効かないと、エストロゲンに促進されて増殖→侵蝕→拡大→転移
癌と栄養芽層は同じであり、異物、抗原ではない。白血球がやっつける仕組みではなく、別の制御法をもっている。

1902年ジョン・ベアード教授はブリティッシュ・メディカル・ジャーナル・ランセットで「高度な悪性癌細胞と正常な妊娠初期の正常な前胎児胚細胞との間には、識別できる差異はない」と述べた。
この正常な細胞を「トロフォブラスト」(栄養芽層)という。癌の栄養芽層理論。
急速無秩序な増殖で母体細胞を食いつくしながら子宮壁に侵入。

身体の中の修復過程で仕事の終わった後でも、増殖がストップしないで、さらに進行し続ける場合が「癌」だといえよう。

癌は「過剰治療」の結果起こったといえよう。身体に損傷を与える「何か」(※喫煙や過度の日光浴、あるいは多数の有害な化学薬品)が先行して起こり、次のその治療過程が適切に働かないようなときに、癌は誘発される。

避妊用ピルも強力なエストロゲンホルモン、服用しない婦人の3倍も癌にかかりやすくなる。

栄養芽層は独特のホルモンを出す。簡単な尿検査で検出できる。「絨毛性性腺刺激ホルモン(C・G・H)」。癌細胞もまたCGHを分泌する。
M・ナバロ博士(マニラ・サント・トーマス大学医学部外科学教授)「CGHは癌患者の判定に95%の精度がある」

体内の自然の機構はどのようにして癌を防いでいるのか、栄養芽層の成長を制御しているのか。
しかし、不幸なことに、最新の癌征服をめざすプロジェクトは、神秘的な毒性の高い医薬の製造や、身体の一部分に死の放射線を発する高電圧の医療機器の開発に血道をあげている。
自然は癌細胞に白血球の攻撃を避ける巧妙な仕組みを与えている。
栄養芽層は「負の電荷」をもつ薄い蛋白質膜に包まれている。白血球も負の電荷をもち、反発し合うため近づけない。

クレブス博士は「癌すなわち栄養芽層は、その細胞周囲シアロムチン被膜のせいで非抗原であった」
膵臓酵素トリプシン、キモトリプシンはがん細胞のタンパク被膜を溶解する。被膜を失ったがん細胞は白血球の攻撃を受ける。

BCGワクチンは癌細胞にも有効に作用する非特異性の免疫。白血球も癌では一部の役割。癌征服には「膵臓と栄養の要因」が大切。BCG療法の成功は、栄養的要因を同時に重視したことも寄与している。

妊娠8週目まで 栄養芽層が急速に増殖拡大
妊娠8週目以降 胎児の膵臓機能が働き始め、栄養芽層は破壊される

小腸は癌がほとんど発見されない数少ない場所の一つ。
小腸は重要な酵素群に満ちているが、本もとの膵臓はその恩恵にほとんどあずかっていない。小腸ではほとんど癌が起こらないのに、遠く離れた大腸で癌が起きやすい。膵臓機能の欠陥に悩む糖尿病患者は3倍以上も癌にかかりやすい。癌の栄養芽層学説が脚光を浴びてから説明がつくようになった。
M・ジョーンズ博士は「癌における栄養源」の中で、「この学説は、現存の癌理論の中で最も古典的だが、強力で妥当性がある。新しい事実がいくら出ても否定されたことは一度もなく、最近の新しい癌研究情報とも一致している」と述べている。

真実は驚異的であるが単純でもある。ほとんどの研究者が、癌は身体の異物であり衰弱と死への過程の一つであるという推論のもとに研究しているが、真実は、「癌は生命回路の活動の一部」であり、「生命とその復元への奔流」の一つの現象なのである。

<4章への個人的感想>
妊娠検査薬は、生命の奔流たる一種の癌化を測定しているのですね。妊娠週が進むほどたくさん分泌するホルモンで、妊婦には妊娠検査薬であり、妊婦以外には癌検査薬でもあることを再認識しました。
iPS細胞を使った再生医療の大きな壁は、iPS細胞が癌化しやすいことにあるそうです。すると、妊娠8週まで細胞が分化、増殖する「癌化」はまさに生命の奔流、ほとばしりであり、その後は膵臓酵素によってうまく制御されるという癌の栄養芽層理論にこそ、解決の糸口があるのではないでしょうか。
 

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