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日米同盟の義務で自らの主権を縛る国 プーチンインタビュー②

LGBTのデモなどは「伝統的価値を破壊する欧米の思想」とするロシアのプーチン大統領のインタビューを通じて、プーチンは本当に悪の枢軸なのか、考えています。
 
原題「ザ・プーチンインタビューズ」というドキュメンタリー番組で、2015年7月から2017年2月にかけて、JFK、プラトーン、スノーデンなど社会派作品で著名な映画監督のオリバー・ストーンがプーチンロシア大統領に密着しました。
 
「オリバー・ストーン・オン・プーチン」の第2話は、ウクライナ侵攻前から存在したやむにやまれぬ事情が語られます。
 
その前に現在31か国が加盟する軍事同盟NATO(北大西洋条約機構)加盟国の推移を見てみましょう。

1949年 アメリカ、イギリス、ポルトガル、アイスランド、イタリア、   ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ベルギー、カナダ、デンマーク、フランス
1952年 ギリシャ、トルコ
1955年 西ドイツ(※東ドイツはワルシャワ条約機構で1990年脱退)
1982年 スペイン
1999年 チェコ、ハンガリー、ポーランド(※1990年ワルシャワ条約機構脱退)
2004年 ブルガリア、エストニア、ラトビア、リトアニア、ルーマニアスロバキアスロベニア(※ワルシャワ条約機構の旧ユーゴスラビア構成国)
2009年 アルバニア(※1968年ワルシャワ条約機構脱退)、クロアチア(※ワルシャワ条約機構の旧ユーゴスラビア構成国)
2017年 モンテネグロ(※ワルシャワ条約機構の旧ユーゴスラビア構成国)
2020年 北マケドニア(※ワルシャワ条約機構の旧ユーゴスラビア構成国)
2023年 フィンランド
 ※太字はワルシャワ条約機構加盟国
 
冷戦中の1955年西ドイツがNATOに加盟したことに対抗してできたのがワルシャワ条約機構。冷戦が終わったのが、ソ連が崩壊した1989年12月。冷戦が終わったのになぜ旧ワルシャワ条約締結国を次々NATOに加盟させ、東方拡大していくのか。特に1999年(クリントン政権)、2004年(息子ブッシュ政権)、2009年(オバマ政権)に顕著です。
地政学的に本土攻撃されにくいアメリカには理解できないのかもしれませんが、旧ソ連の隣国ウクライナまでNATO加盟したら、ロシアには重大な安全保障上の問題が発生することは素人目にも明らかです。
 
オリバー・ストーンがプーチンに質問します。
「2007年ミュンヘン会議で対米関係の新たな見解を語った。2002~2003年に何があった? 2004年のウクライナのオレンジ革命をどう思ったか?」
親欧米派のユシチェンコ氏VS親ロシア派ヤヌコビッチ首相の図式です。
 
プーチン「ヤヌコビッチが選挙に勝ったが、暴動が起きた。アメリカが扇動したことで大規模デモになった。ウクライナ憲法に反し、3度目の選挙が行われた。これ自体クーデターとみなされる」
さらに、「親欧米派のユシチェンコとティモシェンコが権力を握った。あのような政権交代は歓迎できないが、ロシアは新政権と協力関係を維持した。しかし、政策は国民に不評だった。だからヤヌコビッチが次の大統領選に勝った。この地のアメリカの外交政策はロシアとウクライナの関係改善を阻止することだ」
 
NATO東方拡大の波はふたつあったとプーチンは言います。
「2001年10月(息子)ブッシュ大統領は、プーチンと冷戦終結の再確認をすると演説した。その後、アメリカが一方的にABM(弾道弾迎撃ミサイル制限)条約を脱退した。イランが新たな脅威だと言って。しかし、イランは軍事用核開発を断念した。それなのにABM開発計画は進行中で、一部ヨーロッパで配備予定だ。誰に対して? ロシアも対応せざるを得ない」
また、2008年(息子)ブッシュは旧ソ連のジョージア政府による南オセチア攻撃を支持しました。
 
「我々が驚いたのは、ブッシュ大統領がジョージアの大統領を支持しただけでなく、ロシアが侵略者であるという図式を描こうとしたことだ」とプーチン。
オリバー「ブッシュ、オバマとも良好だったはずでは?」
プーチン「アメリカがコーカサス地方でテロ組織を支援したことが両国関係に水を差した」
 
スノーデンがロシアに亡命した経緯を運転しながら語るプーチン。
オリバー・ストーンが「昔はロシアからアメリカへ亡命したものだが、今はアメリカからロシアへ亡命?」と聞くと、「何の不思議もない」とプーチンは返す。
 
「どんなに悪者扱いされてもロシアは民主国家、主権国家だ。それはリスクを伴うが大きな強みでもある。本当に主権を行使できる国家は数えるほどしかない」
 
振り返ってLGBT推進などバイデン政権の言いなりの岸田政権、わが国は、主権を行使している国と言えるでしょうか。しかも、岸田首相は、バイデン政権に押し付けられたウクライナ復興支援の増税について国民には一言も発していません。一言も発しないまま退陣するつもりだとしたら、国民は完全に無視されていたことになります。
 
「それ以外は(アメリカに)同盟国の義務を負わされているんだ。そういう国は自分の意思で自らの主権を縛っている」
 
プーチンの言葉は、今の日本をそのまま言い表しています。
 

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