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年齢のバイアスを越える

最近、カリグラフィーの練習をしています。

何年も前にちょっとだけやって止め、復活しては続かず……だったんですが、今のところ毎日続いてます。

本屋さんでたまたま『モダンカリグラフィー練習帳』を見つけたのがきっかけ。

カリグラフィーの本はいろいろとありますが、このムックのよいところは、お手本がダウンロードできること。なぞり書き練習にありがたいシステムなんです。

ただ、練習をするとき、「最初から律儀に全部の文字を書いたらあかんで」と教えてくれたのは、母でした。

カリグラフィーの場合、さまざまな書体のローマ字の大文字・小文字があります。それが「a、b、c……」「A、B、C……」と並んでいるため、「a」から順番に書いちゃいませんか?

でも、よく考えてみると、カーブが多い「a」と、線でできている「h」では、使う技術が違うはず。「b」と「d」は似ているけれど、間に入った「c」を書いていたら忘れちゃいそう。

なので、まずは基本となる文字だけを延々と書け、と言われました。

そこで「a」だけを飽きるくらい書いていて、ようやく筆の置き方、力の入れ方、抜き方、バランスなどなどが感じられるように。

そうすると、ますます練習が楽しくなってくるんですよね。


母は書道の師範資格をもっていますが、教室に通い始めたのは60歳を過ぎてからです。

家の近くにあった書道教室の先生は、母よりも年下の女性でした。

スタートしたころ、「年寄りだから、ゆっくり息抜きしてくれればいいよね。外の空気を楽しめればいいかな」なんて思いながら見守っていたのですが。

母が出会った先生は、ものすごーく勇気づけの上手い方だったんです。

上達を心から喜び、心を込めて励ます。その言葉にドンドン乗せられてしまう母。あっというまに昇級試験をクリアして、初段をいただくことができました。

何歳からでも、思いついた時にスタートを切れる。

相手がどんな人でも、素直にフィードバックを受け取る。

わたしと母は、いろんなところが大きく違っていて、むかしから何度もぶつかってきたんですが、母のこういうところはとても尊敬しています。


自分よりはるかに年下の「先生」に、頭を下げることができるか。

もしかしたら人によって対応は違うのかもしれません。会社の中でも「年上の部下」の対応が話題になることが増えたいまの時代。年齢差によるコミュニケーションに頭を悩ませている方も多いのでしょう。

「人は見た目が9割」といわれています。つまり、それだけ見た目に対する強いパラダイムがあるということです。

年齢も同じ。

「年下のくせに」

「何様のつもり!?」

空気を読むのが苦手なので、「年上の上司」や「年上の部下」とのコミュニケーションが下手で、わたし自身は何度かこんなことを言われてしまいました。

相手が抱いているパラダイムを、もっと尊重して、コミュニケーションすればよかった。

いま、こうして冷静に振り返ることができるのは、出来事を客観的に見られるようになったからです。そして、年齢というバイアスが、自分のパラダイムにも、相手のパラダイムにも、影響を与えていることに気が付いたから。

相手の性別や年齢に関係なく、素直な姿勢でいられますか?

フィードバックを冷静に受け取る準備はできていますか?

いつもいつも、自分に問いかけています。

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