第4章: 「失われた能力と翔の覚醒」
男の力に圧倒されながら、翔は無力感に包まれていた。アヤカですら太刀打ちできない敵に、果たして自分はどう立ち向かえばいいのか。自分の「運の良さ」では、この強大な敵に勝つことはできない、と心の中で諦めかけていた。
その時、遠くから駆け寄る声が聞こえた。
「翔!アヤカ!」
それは、リナと斉藤直人だった。斉藤が氷の槍を作り出し、リナが風で攻撃を繰り出す。二人の異能力者が力を合わせて敵に立ち向かう。しかし、敵は微動だにせず、二人の攻撃を容易にかわしてしまう。
「無駄だ。お前たちの力は、もうすぐ私のものになる。」
男は不敵に笑いながら、一瞬で彼らの前に現れた。そして、リナの風を封じ、斉藤の氷を粉砕する。
「くそ…なんでこんな奴が…!」
斉藤が歯を食いしばりながらも、男の力の前に膝をつく。その瞬間、翔の胸の中で何かが弾けた。
「お前たちを…奪わせるもんか!!」
翔は立ち上がり、無謀にも男に向かって突進した。彼の異能力「運」は、これまで偶然を味方にしてきた力だ。しかし、翔はその瞬間、自分がただ「運に頼っているだけではない」と気づいた。自分の運は、ただの偶然ではなく、「選ばれた未来」を引き寄せる力だったのだ。
翔が突進すると、男の力が何故か空振りし、その隙にアヤカが再び空間を操作して翔の体を消し、男の背後に瞬間移動させた。次の瞬間、翔の拳が男に叩き込まれた。
「これで終わりだ…!」