脳性麻痺
今回は脳性麻痺について書いていこうと思う。
脳性麻痺は本気で勉強していくと神経や症状まで細部に渡り、本当に難しい分野である。
今回は概要程度の内容にして、なるべく難しい単語の意味を説明しながら書いていった。
少しでも脳性麻痺の理解が進めば嬉しい。
※少し古い参考書を使っているため、単語の説明や解釈やニュアンスが違ったりするかもしれませんがご了承下さい。あくまで、参考程度で見ていただければ幸いです。
脳性麻痺とは
脳性麻痺は脳損傷児の代表的な病気である。
まとまった単一の病気単位を示す病名ではない。
脳発達の途中の段階で様々な原因から発生した損傷により引き起こされる運動の機能障害の表す包括的(全部ひっくるめて一つにまとめた)な名称である。
定義
厚生省脳性麻痺研究班(1968年定義)を参照した。
『受胎(妊娠)から新生児(生後4週間以内)までに生じた、脳の非進行性病変(進行していかない病気)に基づく永続的(基本ずっと同じ)な、しかし変化しうる(原因不明ではあるがよくなる場合もある)運動及び姿勢の異常である。
その症状は満2歳までに発現する。
進行性疾患(進行していく病気 認知症等)や一過性運動障害(一時的に脳の血管がつまってすぐもとに戻ったもの等)、将来正常化するであろうと思われる運動発達遅滞(現時点では運動の発達の遅れがあるが大きくなるにつれてほぼ健常な人に近づくもの)は除外する。』
頻度
現在、頻度は出生数1000人に1人程度である。
1950年代には出生率1000人に2.5~3人であった。
その後、胎児の管理の向上や
核黄疸(血液中のビリルビン値が上昇し脳内に沈着した結果、脳細胞が侵される病気である。間接ビリルビンという種類には細胞毒性がある。特有な中枢神経症状を示し、後遺症を残すことがあり得る)の減少、
感染症対策の進歩などにより発生頻度は急激に減少した。
しかし、1980年代から周産期医療(妊娠22週から生後満7日未満まで期間の医療)の進歩により極低出生体重児(出生1500グラム未満の新生児のこと)の死亡は減少した
一方、重症の脳性麻痺が増加し結果的に頻度は横ばい状態になっている。
この頻度に影響を与えているのが、
成熟期(一生のうちで、女性ホルモンの分泌が安定し、生理も順調で、肉体的には妊娠・出産に適した時期)
における
低酸素性虚血性脳症(脳に血液がいかないor不足して,酸素が足りなくなり脳に影響が出てしまう病気)の減少を上回る、
低出生体重児(出生2500グラム未満の新生児のこと)の
脳室周囲白質軟化症(PVLと略され、脳の「脳室周囲白質」という所が出生前に何かしらの原因で虚血状態(組織や臓器への動脈血の流入が減ったりあるいは途絶えてしまうこと)になり、局所的に壊死してしまう疾患)の増加である。
神経生理学的分類で見ると、
アテトーゼ型(自分の意志に反して運動を行う不随意運動の一つ。ゆっくりとねじるような運動を行うのが特徴的)が減少して
痙直型(筋肉が過剰に緊張して、それが原因で筋肉が硬くなって筋力が低下し、動作がぎこちなくなるもの。
影響が両腕と両脚に及ぶ場合(四肢麻痺)、
脚と下半身に及ぶ場合(対麻痺)、
四肢に麻痺があるが下肢側が強いもの(両麻痺)、
片側の腕と脚に麻痺があり、特に上肢の方の麻痺が強い場合(片麻痺)
等状態は様々である。)が増加している。
ちなみに、神経生理学的分類では、上記以外に「運動失調(筋力低下がないにもかかわらず、協調運動障害をきたす症状)型」「混合型」等、
部位別分類では、上記以外に四肢に麻痺があるが上肢側が強いもの(重複(両側)片麻痺)、一側だけの麻痺(一側下肢の麻痺の場合が多い《単麻痺》)等がある。
原因
周産期要因(妊娠22週から生後満7日未満まで期間)70%~80%
低酸素血症(動脈血中の酸素が足りなくなっている状態)
虚血(組織や臓器への動脈血の流入が減ったりあるいは途絶えてしまうこと)
出血
代謝異常(生命の維持のために行なう、外界から取り入れた無機物や有機化合物を素材として行う一連の合成や化学反応のことを代謝というがそれに異常が起こる。)
感染症等が
単独あるいは重複して原因となる。
主な危険因子は、
仮死分娩(新生児が呼吸、循環、中枢神経系の不全状態に陥って生まれてくる場合)や
核黄疸(高ビリルビン血症)であるが
核黄疸はほとんどなくなってきている。
出生前(諸説あると考えるが妊娠4ヵ月以前) 要因 20~30%
未熟性(低出生体重児、早産児を含む)
奇形
心肺機能不全等
であるが、これら出生前要因に周産期要因が合併するものが多い。
近年、成熟時の場合は脳の形成異常(奇形型)が指摘されることが多い。
以上脳性麻痺について書かせていただいた。
本当に神経や筋肉は勉強すればするほど難しく奥深いものだと感じますし自分も勉強が改めて必要だと感じました。
この記事を読んでいただきありがとうございました。
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