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【本】「40歳を過ぎたら、働き方を変えなさい」再読⑥

読み返すたびに新しい発見のある「再読シリーズ」。今回は佐々木常夫さんの「40歳を過ぎたら、働き方を変えなさい」のいよいよ最終回。今回も再発見の連続でした。では早速一緒に読み進めて参りましょう。



■「思いやり」こそが成長のカギである

真摯であるとは、嘘をつかないこと、約束を守ること、謙虚であること・・・。では、真摯であるために何が必要かと言えば、それは「思いやり」に尽きる。心の軸に「思いやり」という金筋が通っていてこそ、人は初めて真摯になることができるのである。

佐々木常夫著「40歳を過ぎたら、働き方を変えなさい」より

これには自分も反省ばかりです。特に前職時代はひとつの教室を任されていたこともあり、なんだかんだで数字責任やらその他様々な問題の尻拭いは「長」の役目。当然、毎日運営していれば、いろいろと起こるわけで・・・。ここでドッシリ構えていられる「大物」、いや、心臓に毛が生えたタイプであれば、良かったのでしょうが、基本的に「小心者」なので、あれだこれだと言われるとね・・・涙。こっちは手を抜いていないという(独りよがりですが・・・)自負はあったので、それでもやんのやんの言われるとね・・・平時は「思いやり」大事だと分かっていても、実践できていませんでした、反省です。

あの孔子も「恕(=思いやり)」を説いていた!

「論語」で有名な中国の思想家・孔子も人間が生きるうえで最も大切なのは「恕」、すなわち人に対する思いやりであると説いている。数々の名将が群雄割拠し、激しい争いを繰り広げた戦国時代にあってなお、一番大事なのは思いやりであるというのだから、思いやりというものがいかに重要であるかを物語っている。

同上

こうやって振り返ると、本当に人間って古くからたいして成長していないんだな、って思いますよね。歴史の先人たちはしっかり言葉を遺しているんですよね、「思いやりが大事だぞ」と。そして結局、今の時代になってもその教えを守れていないという・・・涙。ま、若干政治的思想が入った発言になってしまうかもしれませんが、かの国こそ大国らしく「恕」を重んじて頂きたい・・・なんて思ってみたり(笑)。

フィリップ・マーロウもまた「思いやり」を説いている!

またアメリカの作家レイモンド・チャンドラーの作品に登場する、私立探偵フィリップ・マーロウも次のような名台詞を残している。「強くなければ生きていけない。優しくなければ生きる資格がない」と。生きていくには強さが必要だが、それ以上に求められるのは優しさである。優しさに勝る強さはない。孔子の説く「恕」と同じように、マーロウのこの言葉もまた「思いやり」の重要性を示している。

同上

もちろんフィリップ・マーロウは実在の人物ではなく、レイモンド・チャンドラー作品の登場人物ですが、無茶苦茶渋くて格好いい私立探偵なんです。その彼にチャンドラーは上記のような台詞を言わせているんですね。いやー、格好いい。「優しさ」「思いやり」・・・どちらも「相手のことを考える」ということにつながりますよね。本当にこう読み返していると、自分には欠けていた(←特に多忙期)と反省。

思いやりがなければ、人は所詮、それまでだ

生きていくには何かをやり遂げる強さ、努力を惜しまない執念、状況によって器用に立ち回る賢さも必要かもしれない。思いやりだけで乗り切っていけるほど、この世の中は甘くないかもしれない。しかし思いやりがなければ、人は所詮、それまでだということを忘れてはいけない。人生に迷う時は、はたと立ち止まり、「そこに思いやりはあるか」ということを問い直してほしい。

同上

もちろん「思いやり」だの「愛」だの、人生甘いことばかり言っていているんじゃない、というお声は当然ですが、それでも「思いやり」の気持ちがなければ人生じゃないという、深いお言葉。本当にその通り。迷ったときは「人としてどちらが大切か、大事か」で選ぶ。そうすれば、その決断がもし仮に後で失敗に終わったとしても、後に納得いくときが来ると思うんですよね。←ま、これは自分への言い訳ですが・・・。

やっぱりどうしても我慢ならない、ここは曲げられん、ということがあった際には「人としてどうなのか?」「相手(私の場合はチームでしたが)を思えばどうジャッジするか?」で選んだ決断でしたね。結果として、今でも当時のメンバーには有り難いことに良くして貰えているわけで、見ている人は見ている、ということなのかなと勝手に自己憐憫しております(笑)。

■教養=「生きた知」を身につけよ

ビジネスでは物事の本質を見極める判断力や、人を理解し動かしていく人間力などが求められる。これらを会得するには様々な観点からの知見、ものの見方、考え方を養わなければいけない。そのためには哲学や文学など、人間性の土台を育み精神性を養う教養書が役立つ。

同上

実は遠回りなようですが、「古典」ってやっぱり大事なんだな、と今頃思っています。この本を読んでいた当時は思いもしなかった(というか、余裕がなかったということにしておいてください!汗)、というのが本音です。当時も貪るように毎日のように多読をしていましたが、どうしてもノウハウを知るためのハウツー本が中心で、深い教養を学べる作品には手を出していませんでした。が、今になってみると、古典の重要さが分かるような気がします。ま、とはいえ、じゃ、当時に古典を読んだら理解できたのか、というとできなかったと思いますが・・・。

30代はハウツー本でもいいが、40代は古典を読もう!

プレゼン術や整理術などといった実用書を読むことで、具体的なスキルやノウハウを習得するのももちろん悪くないが、即効性のあるものは得てして効き目が薄れるのも早い。40代ではむしろ、すぐ役立たなくても、長く太く効き目を発揮してくれるような、教養を身につける読書を心がけるとよいだろう。

同上

これこそ佐々木さんの「働き方を変えなさい」というメッセージの重要な点だと、今でこそ胸に染み入ります。つまり、私の場合、40代も半ばだというのに、未だ30代の働き方をしていたんだと思うんです。私自身、当然10年前よりも体力等も低下していますし、慣れが「狎れ」に変わり、良くも悪くもルーティン業務として日々を回している中で、30代からの習慣でこうしたハウツー本からテクニックを得て、表面だけ効率化を目指す、というような働き方だったな、と今だから分かるようになりました。

そうではなく、本来であれば「一段上」のランクの働き方を求め、古典等の教養を深め、日々の業務であっても「深耕」すべきだったな、と反省です。一つ一つの業務を丁寧さをもって取り組むことで、もっと深めることができたのかな、と。まあ、その前に「飽き」が来てしまったのか、職を変えてしまったので、今では新しい業務内容を覚えることで必死なわけですが・・・。

教養=生きた知識を手に入れろ!

ただし教養を身につけるといっても、単に知識を頭に詰め込めばいいと勘違いしてはいけない。いわゆるエリートと呼ばれる人の中には、知識=教養と勘違いし、詰め込んだ知識をひけらかしたがる人もいるが、そんなものは現場では役に立たない「死んだ知識」である。ビジネスパーソンに求められるのは、あくまで仕事で成果を出し、人を幸せにするための「生きた知識」なのだ。残念ながら日本のリーダーの多くは、お金や仕事の話題一辺倒で、深い教養を備えた人があまり見当たらない。しかし、自らを幸せにするには「生きた知識」=教養を略してはいけない。

同上

ここにも佐々木さんからのメッセージが込められている

テレビ番組の「クイズ王」ではないので、単に様々な知識を「知っている」という段階で終えるのではなく、そうした知識を仕事や生活に「活かしていく」ことが重要だ、と佐々木さんは仰っているんだと思います。これも「働き方を変えなさい」につながりますよね、人は仕事だけのために生きているわけではありませんから。ワークライフバランスではないですが、特に「ライフ」の部分、つまり日常生活の部分の豊かさはこうした「生きた知識=教養」によってより深められる、と説いているのかな、なんて考えたりしました。

40代はライフスタイルのチェンジの多い世代!

いろいろとライフスタイルのチェンジが起こる40代。方や60というリミットも少しずつ見えてくる時期でもあり、なんとなく自分のキャリアピークが見えてくる時期でもありますよね。また家族持ちであれば、そちらの充実も図りたい時期ですし、親御さんも少しずつ高齢になり、気に掛かったりされるのではないでしょうか。そうした様々な個人的課題を抱えつつ、所属している部署、部門での成績をマネジメントする立場にある方も多いはず。そうなると限りある時間をどう分配して最善を尽くすべきか悩まれると思います。

要は「気の持ちよう」!こういう気持ちを持って生活してみる

ノウハウをすぐに欲しい方にとっては、今回は相当「理想論」の連続で、「これじゃ、飯は食えません!」と言われそうですが、現在40代、50代のドンピシャ、この世代の方にはなんとなくでも「分かるかも・・・(でも時間ないんだよね・・・)」と共感しつつも、難しいな・・・という複雑な気持ちになるのではないかな、と思います。ちょっとずつでいいんだと思います。こういう気持ちを持って仕事や日常生活を送る、というだけで小さな変化が生まれるような気がします。私もこうして読み直すことで、改めてみたいと思う気持ちが生まれました。

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