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早田選手・高市大臣~「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら」が繋ぐ「縁」と「続編」について


パリ五輪の早田選手がコメントして話題に

もうすでに「旧聞」となってしまいましたが、パリ五輪女子卓球で大活躍された早田ひな選手が試合後の会見で、帰国してからしたいことは?と聞かれて「アンパンマンミュージアムと特攻隊の記念館に行きたい」と答えたことが話題となりました。

私は昨年末に映画で「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら」を観て大感動してしまい、note上でも数回にわたり感想を書いたほどドハマりしてしまったのですが、この早田選手のコメントを聞いてすぐに「あ、きっと早田選手もこの作品をご覧になったのかな?」と思いました。もちろん真相は私には分からないのですが、この作品が若い世代を中心に話題となり、そこから火がつき映画も大ヒットしたわけですので、映画の威力を改めて感じずにはいられません。

私などはそのまま興奮冷めやらぬまま、鹿児島の知覧と鹿屋にある特攻隊の記念館に足を運び、このどちらの場所でも大号泣。というか涙がずっと止まらない、目頭がずっと熱い状態という感じでした。なぜもっと早く訪れなかったのか・・・と後悔しました。

「後に続くを信ず~特攻隊と日本人」

さて、お次の話題はちょっと硬派な作品かもしれませんが、こちらもぜひご紹介したい素晴らしい書籍に出会ったのでご紹介させて下さい。政治評論家の岩田温さんが書かれた「後に続くを信ず~特攻隊と日本人」という作品です。岩田さんはかつては政治学者としてご自身の研究の傍ら、大学教員として学生向けに教鞭を執っていらしたのですが、YouTubeによる発信をスタートし、今は大学を退かれ、主に講演活動とYouTube。そしてテレビに出演されるなど大活躍の方です。本音で語られるトークは時に辛口ですが、お人柄はとにかく実直で真面目。本当に日本のことを愛していらっしゃり、この国のことを考え、古今東西の政治家や各国の政治史、さらには現代の政治家たちを鋭く批評されています。

そんな岩田さんが書かれた特攻隊に関する著書です。これが素晴らしかった。というのも私が岩田さんのファンであり、YouTube番組を欠かさず拝聴しているからかもしれませんが、文章から岩田さんの口調が聞こえるような感覚に陥りました。ぜひお読み頂きたいので、詳細はお伝えいたしませんが、全体は3章立てになっており、「歴史についての考察」「戦後、主張を大きく変えた言論人」と、最後は岩田さんが講師として当時の高校生たちに特攻隊と大東亜戦争について語った講演会の採録となっています。

評論に関する書籍というのは、とかく難解に書かれているものが多い(印象な)ので、手に取るのを躊躇ったり、それこそ途中で挫折してしまうものも少なくないのですが、岩田さんのこの本は、非常に読みやすい。私のような凡人にとっては高尚すぎる難解すぎる書体ではなく、こうした読みやすい内容で、相手に分かりやすく書かれている点にも岩田さんの配慮を感じます。以下は岩田さんの動画でも何度かご自身で紹介されているので、すでにご存じの方も多いと思うので少しだけ引用したいと思います。

「この国が将来、特攻隊を要するような事態になって欲しくない。
 だが、気持ちの上では、誰もが祖国が危ういときには
 何としても守り抜こうと思うそういう善い社会になってほしいと願う。」

「後に続くを信ず~特攻隊と日本人」岩田温著より

こちらは岩田さんが学生時代に(!)特攻隊の生き残りの方に、インタビューをしたときの言葉だそうです。なんとも深い、考えさせられる言葉ですよね。一方、狡猾な言論人の中には、戦前と戦後で180度主張を変えて生き残るという人間もいたということを岩田さんは書いています。そしてラストは岩田さんによる高校生たちへ語る熱いメッセージで締めくくられています。(ちなみに動画内で岩田さんはこの本を早田選手にお送りしたいと仰っていました。早田選手に届いて読んで頂けるといいですね)

「後に続くを信ず」・・・この本の中でも岩田さんは「この言葉の解釈は様々だ」と仰っています。もちろん文字通り、後に続いて「アメリカと戦ってくれ」、という意味にも取れます。しかし、岩田さんは「自分たちは特攻隊として散っていくのだが、その後で平和な日本を気づいて欲しい」というメッセージなのではないか?と書かれています。私もまさに知覧や鹿屋を訪ね、特攻隊の方々の書かれた手紙を拝見したときに感じたのがこの感覚でした。言葉では勇ましく書かれていますが、でもその行間からはおそらく最早当時はほとんど誰もが、アメリカに勝てるわけがないと悟っていたんだと思います。それでも「この戦争をやめるために」飛び立って行った。そんな方々を犬死にだの無駄死にだのと誰が言えるでしょうか?

高市大臣の出馬会見でのサプライズ

先日の高市大臣が総裁選出馬会見を開いたときに、演説のラストでサプライズがありました。

結びに申し上げます。私たちが生きている今、それは誰かが命がけで守ろうとした未来だった。この言葉は映画をご覧になった方はご承知かもしれません。(中略)今皆様も私も誰かが命がけで守ろうとして下さった未来を生きています。今のひと時代をお預かりしている私たちには日本列島を強く豊かにして次の世代に引き渡す、その責任があると私は思っています。

高市早苗総裁選出馬表明記者会見より採録

映画を観た方は「あ、あれだ!」と思われたのではないでしょうか。もしかしたらすぐに福山さんの主題歌と福原遥さん、水上恒司さんの映画予告編がよぎったかもしれません(笑)。まさか高市さんがこの作品をご覧になっていたとは!とても力強い会見ラストのメッセージだったと思います。それにしてもここで出してくるかー、さすが高市さん!笑。

「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら」Anothher

もうすでにご存じの方も多いと思いますが、原作者の汐見夏衛さんが今年6月末に続編を発表されています。ま、正確にはすでに続編(「あの星が降る丘で、君とまた出会いたい」)は出されていて、今回は登場人物たちの「その後」を描いたスピンオフ短編集であると汐見さんはあとがきに書かれています。さらに汐見さんも仰っているのですが、ご自身が映画を観てインスパイアされた内容も多数盛り込まれているそうで、私も読んでいて、頭の中で映画のキャラクターたちが目に浮かんでくるようでした。

元気印の石丸隊員、軍人一家の加藤隊員の葛藤、板倉隊員の戦後、石丸さんを思い続けた千代さん、家族を残して旅立った寺岡隊員の娘さんのエピソード・・・とどれも短いストーリーですが、非常に味わい深い素敵な小品といった印象でした。何より彼らに再び会えるという嬉しさでいっぱいでしたね。良い映画って続きが気になったりしませんか?この作品の場合、なかなか実際に続編が出来ることは難しいでしょうから、こうして書籍として続編的にスピンオフ作品を発表して頂けるということはファンとしては本当に嬉しい限りです。

そして何より感動的なのは、主人公の佐久間と百合のエピソードでしょう。これについてはネタバレ厳禁というか、書くだけ野暮というもの。きっと皆さんが「こうあったらいいな」という気持ちを汐見さんが形にしてくださった作品に仕上がっていると思います。たしか映画での入場プレゼントとして配布された「佐久間のその後のストーリー」が基になっているようです。きっと全編を通じて、戦争当時のことや、その後も含め、何か感じるもの、考えることがあると思います。


まとめ~「あの花・・・」がここまでつながるとは!

ということで長々と「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら」が繋いだ様々なエピソードをご紹介しました。丁度、この時代、戦争から70年。なにやら「70年周期」という考え方もあるといいます。そんなタイミングだからでしょうか、不思議な縁でいろいろなものがつながったように感じています。とはいえ、いつの時代も家族や友人、大切な人を思う気持ちを胸に、そして今の時代を生きることが出来ることへの感謝を忘れずにしたいですね。

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