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絶対わかる「自力優勝とマジック」

夏場から秋口にかけて、プロ野球で必ず聞かれるワードが「マジック」です。この言葉が使われるとシーズンの佳境を感じますが、実際「優勝に近づいているんだな」というくらいの認識で、マジックとは結局なんなのかと思っている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、プロ野球において欠かせないワード「マジック」と、それに関わる「自力優勝」について話したいと思います。


マジックってなに?

マジック、正式名称マジックナンバーとは、「他球団の勝敗に関わらず、自球団の優勝に繋がる勝利数」を意味します。もう少し噛み砕くと、マジックが点灯した時点で、他球団がどれだけ勝ったとしても自球団がそのマジックの数だけ勝てば優勝できる、というものです。例えば、マジック20が点灯した場合、とにかく自球団があと20回勝てば絶対に優勝できるということになります。

ちなみに、マジックの語源ですが、マジックペンではなく、ビンゴにおいてリーチ状態の時に完成のために必要な数字のことをマジックナンバーと呼び、そのマジックナンバーが出てビンゴ完成を願うさまから、優勝を願うファンにとって必要な数字という意味合いで転用されたと言われています。

という豆知識はともかく、マジックが点灯するためには、他球団の勝敗に関係なく自球団が優勝を決められる状況にする必要があるわけです。つまり、他球団が自力で優勝できる可能性が消える必要があります。そう、他球団の自力優勝の可能性の消滅がマジック点灯に必要なわけです。なので、マジックについて詳しく話す前に、自力優勝という概念について先に触れておきたいと思います。

自力優勝とは

前提条件

まず、自力優勝を説明する上での前提条件です。プロ野球の場合、優勝は勝率によって決まります。そして、各球団間の勝率の差を目安として表現するために、ゲーム差という概念が存在します。このゲーム差とは、上位にいる球団Aの貯金数から下位にいる球団Bの貯金数を引き、その数を2で割ると求められます。以下、具体例です。

例1:阪神(貯金24)と広島(貯金8)のゲーム差
(24-8)÷2 = 8ゲーム差
 
例2:阪神(貯金24)と中日(借金21)のゲーム差
(24-(-21))÷2 = 22.5ゲーム差

このゲーム差は、直接対決で勝利すれば1.0、非直接対決で一方が引き分けたり、一方が試合を行わなかった場合には0.5変動します。

自力優勝の可能性があるとき

自力優勝の可能性があるときというのは、他球団の勝敗に関わらず、自球団が勝っていくことで優勝を達成できる状態のときです。例えば、首位阪神に8ゲーム差離されている広島は、残している阪神戦10試合全てに勝てば、ゲーム差が10変動するため、首位に立つことができます。さらに広島がその他の試合にも全て勝った場合、阪神がどれだけ勝ったとしても、優勝することができます。これがすなわち「自力優勝可能な状態」です。

自力優勝の消滅

逆に、自力優勝が消滅するときというのは、どれだけ勝っても上にいる球団が勝ち続けた場合に逆転不可能な状態のときです。例えば、首位阪神から11ゲーム差離されているDeNAは、残す阪神との直接対決8試合全てに勝利しても縮められるゲーム差は8であり、阪神を逆転することができません。この場合、たとえDeNAがどれだけ他球団との対戦を含めて勝ったとしても、阪神が同じかそれ以上に勝った場合は優勝することはできません。すなわち、この時点でDeNAは自力優勝の可能性が消滅していることになります。

しかし、阪神がDeNAとの直接対決を8試合残した状態で他球団に負けてしまい、DeNAとのゲーム差が7になった場合はどうでしょうか。この場合、DeNAは残す直接対決全てに勝てば、阪神を逆転することができます。つまり、自力優勝の復活です。このように、自力優勝というものは、他球団の勝敗によっては復活することもあります。なので、自力優勝消滅=優勝不可能、というわけではありません。

マジックについて

マジックが点灯するのは、最初にもチラッと説明しましたが、他球団全ての自力優勝が消滅したときです。自球団のみが自力優勝可能であり、同リーグの他球団全てが自力優勝不可能になった場合、マジックは点灯します。
2023年8月14日時点のセリーグの場合、首位阪神は当然自力優勝の可能性があり、2位広島にもまだ自力優勝の可能性があります。そして、3位以下は全て自力優勝の可能性が消滅しています。ここから2位広島の自力優勝の可能性が消滅したときに、阪神のマジックが点灯します。

マジックには、対象チームというものがあります。これは、残試合に全勝した場合に最も勝率が高くなる首位以外の球団が当てはまります。また、マジックで点灯する数字も、計算で求めることができます。
今回も2023年8月14日時点のセリーグの場合を例にしましょう。2位広島は、次の直接対決で阪神に敗れた時点で、直接対決9試合、ゲーム差9となり、この直接対決全てに勝ってゲーム差の上では並んだとしても、勝率の差で阪神を上回れないため、自力優勝が消滅します。しかし、ここからものすごく奮起してその後全勝した場合、広島の勝率は143試合で92勝48敗3分=.657となります。阪神がこれを上回るためには、次の広島との直接対決1試合に勝利した上で残り38試合を29勝9敗で終える必要があります。こうなると、阪神の勝率は143試合で92勝47敗4分=.662となります。この29という数字が、阪神が最速で点灯するマジックの数字となります。この場合、阪神のマジック対象チームは広島であり、点灯する数字はM29です。

このマジックというものは、あくまで他球団全ての自力優勝が消滅していないと存続しない性質なので、ペナントレースを戦っていく中でもし一つでも自力優勝が復活する球団があれば、その時点でマジックは消滅します。また、マジック対象チームも勝敗次第では入れ替わるケースもあります。ここまで触れるとややこしくて仕方がないので、あくまで例外としましょう。基本的には、上で説明した通りです。

そして、このマジックは、点灯している球団が勝った時点で対象チームの結果に関わらず1減少し、さらに対象チームが敗れた場合にはもう1つ減ります。基本的には、この認識で問題ありません。ちなみに、引き分けが絡むと、マジックは減るときもあれば減らないときもあります。これは、勝率の関係です。

まとめ

マジックは、優勝へのカウントダウンです。リーグ内で1球団のみが自力優勝可能な状態になった場合に点灯します。あとは、試合結果によって、基本的には0〜2減っていき、最終的にM0になった瞬間が優勝のときです。

マジックに関しては、なんとなく「点灯したら優勝が近いんだな」という認識で全く問題はありませんが、どうせなら詳しく知ると楽しみ方が増えるかもしれません。このnoteがその詳しく知るきっかけになっていれば幸いです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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