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赤く麗しきイノシシ。

 皆さん、おはこんばんにちは。今回は、とあるイノシシ科の動物についてのちょっとしたお話です。是非最後までお付き合いくださいませ。

1.その名はアカカワイノシシ。

 皆さんはイノシシといえば、真っ先に思い浮かべるのは全身が濃い茶色のニホンイノシシでしょう。

日本人にとって馴染みの深い、ニホンイノシシ。

 しかしながら、世界には姿形や生態も色々なイノシシがいます。某映画でお馴染みのイボイノシシや、ほとんど無毛の身体に大きな牙が印象的なバビルサ等がその代表的な例ですが、今回取り上げるのは、アカカワイノシシという種。

 その名の如く、赤みを帯びた明るい茶色の体色と、黒や白が入り混じった頭が特徴的で、世界で最も美しいイノシシと呼ばれています。

身体の赤茶色、化粧をしたような顔が印象に残ります。

 生息域は、アフリカ大陸西部から東部、赤道付近に広がる熱帯雨林の水辺で、植物の果実や根っこを主たる食糧にしています。

地面に鼻を当てて臭いを嗅いだり、掘り起こしたりする姿はよく見られます。

2.国内のアカカワイノシシたち。

2-1.とべの場合。

 アフリカストリートの片隅で、今年で7歳になるオス、メイが暮らしています。オスには頭にいぼが発達するのが特徴で、メイにも立派ないぼがあります。

雪降る中のメイ。いぼが目立ちます。

 かつては両親と暮らしていましたが、数年前に相次いで亡くなり、今は1頭暮らしです。

本来は小規模な集団で暮らすとされている故、1頭だけなのは少々寂しそうに見えます。

 公式サイトで公開されている年報を見ると分かりますが、今のアカカワイノシシ展示場は元々はハイエナ舎として運用されていました。

アカカワイノシシ舎もとい、かつてのハイエナ舎。

 とべ動物園が開園したのは今からおよそ35年ほど前なのですが、20年弱の間はシマハイエナが飼育されてきたそうです。その後ヤブイヌの展示場を経て現在に至ります。

アカカワイノシシの展示場のかつての居住者の1種、シマハイエナ(別の動物園で撮ったもの)。

2-2.ズーラシアでの場合。

 横浜市の西部、旭区にあるズーラシア。その一角、アフリカの熱帯雨林エリアにアカカワイノシシはいます。

木々が生い茂る中にある、アカカワイノシシの小展示場のガラスビュー。

 今から20年ほど前の2004年に初来日し、その後数度繁殖に成功しています。しかし、その後新規の導入はなく、個体の転出や死亡が続き、今はオスのキリとメスのカスミの2頭のみになっています。

メスのカスミ。オスには目立ついぼがありません。
ズーラシアで最後に生まれた3頭のうちの1頭、それがカスミです。

 彼等の展示場は、今から17年前の2007年に完成したもので、大小2つの展示場が存在していますが、豚熱という感染症の対策のため、大展示場は数年程立ち入ることができなくなっています。

大展示場へと続く道は封鎖中。2024年4月8日撮影。

2-3.那須どうぶつ王国での場合。

 栃木県の北部に広がる那須高原の一角にある、那須どうぶつ王国。王国タウンと王国ファームの大きく2つのエリアに分かれていますが、前者にあるWETLANDと呼ばれる展示場にアカカワイノシシはいます。

 WETLAND。それは、熱帯の湿地帯を模した、草木が生い茂り、水が流れる空間で鳥や動物たちを観察するというコンセプトの室内展示場です。

WETLANDの光景。
いぼがないので、多分メスのハナ…、かな。

 私は2022年=令和4年8月に初訪問しましたが、その時は2頭(オスのセイとメスのハナ)が交代で展示場に出ていました。しかし、今年4月の訪問時は、健康管理のために出ていませんでした。国内では数頭しかいない彼等、体調第一ではあるものの心配になりました。

名前が示すように、水辺を好みます。
展示休止中の貼り紙。

3.最後に。

 イノシシの仲間も含めた偶蹄類の動物たちには家畜化されたものが多くいますが、共通の感染症に罹る危険が小さくないことから検疫が厳しく、輸入のハードルが高くなっているのが現実です。

果たしてメイのもとにお嫁さんが来る日は到来するのか。

 一時は大家族になっていたのに、その後衰退の一途を辿った、国内のアカカワイノシシ。飼育繁殖の主体であるズーラシアでも、豚熱が安定した飼育の大きな壁となっています。

2019年春には、大展示場を複数頭が徘徊する様子を見ることができたのも、今は昔。

 近い将来、国内では見られなくなる日が少しずつ近づきつつある彼等。世界で一番美しいといわれるその姿、是非見に行ってはいかがでしょうか。

 今回は以上とさせていただきます。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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