結婚までの10日間

私は10日後に入籍する。
今まで慣れ親しんだこの名字じゃなくなるのは何とも不思議な気持ち。

記念にnoteに記しておこう、この今しか味わえず日々の中で色褪せたり濁ってしまったりしそうな程淡い想いを。

私に名字をくれる彼との出逢いはマッチングアプリ。
私からいいねを押した。

横顔が印象的で目に止まった。

メッセージは、まあ日常会話くらいだったと思うけど私からいいねを送ったのにも関わらず「お誘いしていいですか？」と男気を見せてくれたのがとても好印象だった。

初めて会う日は彼が全てプランを立ててくれていて、一番楽しみにしていた渋谷SKYからの展望は生憎の曇りや雨で寒かった。笑
同年代で同じジャンルの音楽が好きだということもあって学生時代に好きだった曲やよく通ったクラブの思い出話で盛り上がった。
どこに行くにも率先してくれるしわざとらしくないエスコートは女性受けするような感じ。

夜は彼のお気に入りだというお魚が美味しいお店。お店もちゃんと予約していてくれて注文から何から完璧。
ただ、正直なところ「いい人」ではあるけど決定的な何かは特に無し。
クラスにいたあまり話さなかった友達と再会したような、グループワークで組まされた相手と1日を過ごしているような、、この次の約束はそこまで期待しない人といる感じはあった。
可もなく不可もなく、というのはこういうものかというくらい教科書通りのデート。相手の気持ちが見えるような会話もなかったから、このまま美味しいものを食べて楽しかったね、また機会があったら👋😊って感じになるんだと思っていた。

そんな中、彼が過去に音楽の仕事をしていた頃の話の中で「あの頃はだいぶクレイジーだったからね。企画で７股かけてたこともあったわー」の発言が飛び出し、一気に冷めた。
その発言をきっかけにこちらが何を気を遣うことも無いな、と思って私は明るく元気で楽しい、から、単に面白い女へとシフトし、とにかく美味しいものを食べて大笑いして気分よく帰ろう！と思った。
彼は私の話がツボに入り「もうやめて、ちょっと待ってwwwww顔痛いwwwww」と大爆笑のご様子。
そう、あまりに面白くて大爆笑するとお腹じゃなくて背中と顔が痛くなるんだよね。わかるわかる。その感じで、面白かったねーって爽快にハイタッチでもして帰ろう！

お店を出ると、気持ち良い感じでお酒も回っていた。
「じゃ！」って言おうとすると
「もし良かったらもう一件行かない？」と誘われた。

え。意外。

「うん、行こう！」

そのまま夜景の見えるバーに行き、将来に何を描いているかを話した。
私がアプリで気に入った横顔がそこにあって、少しドキッとした。

「これから養うであろう家族のためにもっと仕事頑張らないとな、って思うよ」

そこは意外と真面目に考えているのか。。。？
でも、、まあ、お酒でふわふわ気持ちよくなってるし、あまり深く考えず、会話を楽しもう。

気付けば私達が最後のお客さんになっていた。
更にお酒で気持ち良くなっていた私に「遅いからタクシーで帰りな。」とタクシーを呼んでくれた。
さらっとタクシー代を持たせてくれて「またね」と別れた。

んー、悪くない。
ピンとくる感じもないけど、悪くない。

帰ったらお礼の連絡をしよう。

家に着き、連絡を入れると何故だかお互いに面白動画を紹介し合う流れになって、そこから結局30分近くLINEが続いた。
あー、面白い🤣この動画！！！
でも、これが恋になるのか。うーん。全然ピンとこない！！

次があるのかもわからない！
とりあえず、寝よう！

そんな彼との初対面だった。
これがつい半年前。

続きはまた明日。


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