言葉の記憶
ふとしたことから、「今日はどんなポジティブなことがあったかなぁ」、と1日を思いかえすようになった。
いざ思いかえしてみるが、なんかあったかな?と、見つからないしまつ。
ポジティブなことはあったのに、覚えていないのか、それともそんな思考は持ち合わせていないのか。
前者であってもらいたい。
ポジティブなことは思いかえすことができなかったが、『ポジティブ』という言葉を覚えたことを思い出した。
ちょっと過去のおはなし。
中学生のころ、朝のホームルームで「朝読書」なる習慣が始まった。
真っ先に漫画を持ってきて、先生に没収され、教科書を読まされていた友達がいた。
漫画半分、活字半分くらいのグレーな本もあって、うまいやつはそれでやり過ごしていた。
小説やエッセイものに限るというが、漫画だって勉強になるものはたくさんある。と今では思う。
さて、ポジティブの話に戻るが、ポジティブの言葉を覚えたのは英語の教科書ではなく、『ポケットモンスター-セレビィ時を超えた遭遇』の文庫本だ。
いくらポケモンといえども、文庫本であり、全部活字だ。
完璧にセーフだろ。
と思って学校に持っていき、朝読書の時間に臨んだ。
このセレビィの文庫本の中で、ポジティブという言葉が似合わないような人が、発言していた。
ロケット団のムサシだ。
毎度毎度、ピカチュウの強烈10万ボルトで、空のかなたに吹っ飛ばされているロケット団。
「やなかんじー!」
お馴染みのセリフで星になる。
これはもはや伝統芸であり、「バイバイキーン」など、悪役が退散する際の十八番である。
そんな十八番展開で吹っ飛ばされるロケット団であるが、悪行をしているのにポジティブだという憎めない人たち。
セレビィの文庫本の中でも、お決まりの退散シーンのあとに「ポジティブシンキングで頑張るわよ」とムサシがみんなに喝を入れる。
その精神はどこか別の場所で使った方がいいのでは?
とツッコミたくなるシーン。
当時中学生だった自分が、初めて活字で見たポジティブシンキングという言葉。
すぐさま辞書で調べた記憶があったが、こんな前向きな言葉を、窃盗誘拐を試みるロケット団が使うなんて・・と、クスッと笑ってしまった。
多分、そんなことを思ったから覚えていたんだと思う。
数々の記憶の中から、選抜されて覚えている記憶。きっとストーリー性があって感情に響くようなことが、残っていくんだろうな。
そんなことを思い出していたら、一つポジティブなことを見つけた。
昔より本読んでるじゃん。
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