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(本紹介)"GRIT やり抜く力" Angela Duckworth ①

言わずと知れたベストセラーだが、"PEAK"を読み、Angelaさんの講演を一通り(何度か繰り返して)Youtubeで観た自分にとってはそれ以前とは、まるで別の感覚で、一文一文が自分に入ってくる。著者が幼い頃に父にかけられ続けた言葉、2度のキャリアの大きな転身。GRITの研究者であり、ご本人もGRITが高い(例:ハーバードで初めてFの成績を取り、追試で猛勉強の末100点を取ったエピソード)なるべくしてここに辿り着いたような気もする。著者も含め、研究者が長期間に渡って研究を重ねた成果を、わかりやすく一般書として出版してもらえるのは、この上なく有難い。本書も日英版を双方購入したため、じっくり読み進めることにする。本書を読み終えた今、自分が欲しいのは、obsession 。周りを一切遮断し、ある目標だけに没頭した数年間のあの頃の自分を、懐かしく思う時がある。

以下、日本語版からの本書抜粋もしくは自分なりの要約。

・(WestPoint(米国陸軍士官学校)において)優秀な士官候補生と思われた者であっても、辞めてしまう確率は下位25%と変わらない。才能があっても、やり抜く力が強いとは限らない。

・人びとの「才能(もって生まれたもの)」への信仰、憧れ、無意識の先入観は非常に根深い。それは、人びとは「当たり前のこと」では納得しないから。

Daniel.F.Chambliss: 「最高のパフォーマンスは、無数の小さなスキルや行動を積み重ねた結果として生み出される。それは本人が意識的に習得する数々のスキルや試行錯誤する中で見出した方法などが、周到な訓練によって叩き込まれ、習慣となり、やがて一体化したものだ。やっていることの一つひとつには特別なことや超人的なところは何もないが、それらを継続的に正しく積み重ねていくことで生じる相乗効果によって、卓越したレベルに到達できる」

・どんな分野であれ、大きな成功を収めた人たちには断固たる強い決意があり、それが二つの形で表れていた。①並外れて粘り強く、努力家②自分が何を求めているのかをよく理解していた。決意だけでなく、方向性も定まっていた。

・Community College (地域短期大学)で短期大学士を取得した人々は4年生大学を卒業した人々より、Grid scoreが僅かに高い。Community Collegeの中退率は80%,そのような状況にもめげずに卒業した人はやり抜く力が強い。

・SATのスコアとやり抜く力は逆相関の関係。才能があっても、その才能を生かせるかどうかは別問題。

・数学が苦手な生徒達も、自分が本当に興味を持っていることを話すときは、びっくりするほど頭の回転が速くて生き生きしていることだった。

William James :我々の潜在能力は半分しか目覚めていない。薪は湿って燃えず、通気は妨げられている。我々は精神的にも肉体的にも持っている能力のごく一部しか利用していない。自分の能力の限界に挑戦することもなく、適当なところで満足してしまう。人間は誰でも計り知れない能力を持っているが、その能力を存分に活かし切ることができるのは、ごく一握りの並外れた人々に過ぎない。(1907年に書かれた言葉とされる)

・私たちが重要だと言っていることと、心の底でもっと重要と思っていることは、実際には異なっている。自分の心の中では、それを認めないかも知れない。しかし私たちの選択を見れば、そのような偏見を持っているのは明らか。(例:恋人の外見なんて気にしないと言いながら、実際には外見の整った人を選ぶ)

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本書のamazon コメント欄を見ると、具体的にどう行動すればいいのかが書かれてない、結論がない等があるが、的を外している。本書の完成までにどれほどのリサーチ、実験/研究時間が費やされてきたのか、その一文に込められたバックグラウンドをどれだけ自分は理解できているか、しようとしているかを問うた方がいい。幸いな事に、現代に生きる私達は、これらの(過去のおよび現在の)巨人の肩に乗ることができる。自分の事は、一番それをよくわかっているはずの自分すらも、本当のところよくわかっていない。潜在意識はいまだに十分には活用されていないのだ。

それでも、具体的な指針が欲しいという前途有望な若い人びとには、Angelaさんが高校生向けに話している下記の講演を推奨したい。

・興味あることは、全てまずやってみろ(23:50秒あたりから)。何が向いているかいないか、何が自分は嫌いなのか本当は好きなのか、経験を通して自分の輪郭が見えてくる。ヤリもしないのに、自分に何が向いているのかなんてわかるわけがない。行動し続けられることこそ、その人の強みになる時代だ。行動して、修正して、絞り込んで、focusして努力を継続していけば、何よりも自分自身がより幸せを感じられる生き方をできると思う。(続く)



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