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良質な英文を丁寧に読んでみる。

「キレイな英語を話したいな。」

「一度、英語の原書をしっかり読んでみたいな。」

「ネイティブスピーカーと話さないと伸びないのはわかるんだけど、ネイティブ相手だと、身構えて緊張しちゃうんだよな。」

「どうせ英語を勉強するならば、ネイティブスピーカーのちょっとオシャレな英語表現も学びたいな。」

 英語学習の中級者になれば、そう思った事がある人は多いのではないでしょうか。米英の首相、大統領のスピーチは教材として多くの書籍など取り上げられており、キレイな英語をマスターする上で、最適な教材のひとつでしょう。今回は、元アメリカ合衆国大統領であるバラック・オバマ氏の自伝である、「約束の地 (原題:A Promised Land)」を取り上げてみましょう。

段落ごとに、読んでいきましょう。(邦訳は、「約束の地」より引用)

I had been in the school in 1989. I recalled sitting alone in my basement apartment a few miles from Harvard Square, glued to my second-hand TV set as I watched what would come to be known as the Velvet Revolution unfold.

 1989年当時、私はロースクールにいた。ハーバードスクエアから数キロ離れた半地下アパートの自室で1人、中古テレビに釘付けになっていたのを覚えている。そうやって後に"ビロード革命"と呼ばれる出来事の行方を見守っていた。

I remember being riveted by those protests and hugely inspired. It was the same feeling I'd had earlier in the year, seeing that solitary figure facing down tanks in Tiananmen Square, that same inspiration I felt whenever I watched grainy footage of Freedom Riders or John Lewis and his fellow civil rights soldiers marching across the Edmund Pettis bridge in Selma. 

 彼らの抗議運動に目を奪われ、大きく心が震えたことを今でも思い出す。同じ年の数ヶ月前に、天安門広場で戦車の前に立ち塞がった1人の男性の映像を見た時と同じ感覚だった。

<フリーダムライダーズ>の画質の荒いフィルム映像を見るたびに、あるいはジョン・ルイスと彼の同志である公民権運動の闘士たちがアラバマ州セルマのエドマンド・ペタス橋を渡る姿を見るたびに感じる心の震えだった。

To see ordinary people sloughing off fear and habit to act on their deepest beliefs, to see young people risking everything just to have a say in their own lives, to try to strip the world of the old cruelties, hierarchies, divisions, falsehoods, and the injustices that cramped the human spirit- that, I had realized, was what I believed in and longed to be a part of. 

ごく普通の人々が、恐怖心やそれまでの慣習を打ち破り、心の底からの信念に従って行動する姿。若者が自分の人生について自由に発言することを可能にするために ー人間の精神を縛り付ける古き残虐さや、階級、区分、偽り、不公正を世界からなくすために、全てをなげうつ姿。それこそが自分私自身が信じるものであり、自分もその一員に加わりたいと望む姿なのだと、その時に気づいたのだ。

 That night, I had been unable to sleep. Rather than reading my case-books for class night the next day, I had written in my journal deep into that night,

あの夜、私はなかなか眠れなかった。翌日の授業のために判例集を読む代わりに、深夜まで日記を書き綴った,

 my brain bursting with urgent, half-formed thoughts, uncertain of what my role might be in this great global struggle but knowing even then that the practice of law would be no more than a way station for me, that my heart would take me everywhere.

まとまりきらない考えが急くように頭の中を駆け巡る。この大いなる世界的な戦いにおいて、自分はどんな役割を果たすことになるだろう。ただ、この時私は既にわかっていた。弁護士としての仕事は自分にとって通過点に過ぎない。いずれ心の導くままに、どこか別の場所に辿り着くだろう、と。

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 いかがでしょうか。若かりしオバマさんの想いが、バシバシ伝わってくる文章ですね。自分が、18-22歳の頃に抱いた熱い想い、感情が揺れ動いた出来事を思い出したのではないでしょうか。

 世界で起きている出来事。行動を起こしている一般市民。ちっぽけな自分。自分の人生とはなにか。自分の役割とはなにか。

 自分が興味のある分野の本であれば、もっと読みたいという思いが出てきます。分からない単語がでてきても、気にせずに読み飛ばして大意をつかむように1回目は読んでもいいのではないかと思います。



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