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明治二十年（１８８７）幼稚園唱歌集 (音楽取調掛) 緒言 音階練習 目次 奥付 国立国会図書館アーカイヴより 緒言 一 本稿は、兒童の、始めて幼稚園に入り、 他人と交遊するヿを習ふに當りて、 嬉戯唱和の際、自ら幼徳を涵養し、 幼智を開發せんが為に、 用ふべき歌曲を纂輯したるものなり。 一 唱歌は、幼穉の性情を養ひ、 其發聲の節度に慣れしむるを 要するものなれば、 殊に幼穉園に欠く可らず。 諸種の園戯の如きも、 亦音樂の力を假るに非れば、 十分の功を奏するヿ能わざるものなり
明治二十年（１８８７）幼稚園唱歌集 (音楽取調掛) 1 心は猛く 国立国会図書館アーカイヴより 心は猛く 一, こゝろはたけく。きはつよく。 うたがひなくて。よくまなべ。 であへることに。うごかぬ人(ひと)を。 ますらをとしも。いふぞかし。 二, ちからもつよく。いさましく。 おくれずすゝめ。こどもらよ。 であへる敵(てき)に。おそれぬひとを。 ものゝふとしも。いふぞかし。
明治二十年（１８８７）幼稚園唱歌集 (音楽取調掛) 2 蝶々 国立国会図書館アーカイヴより 蝶々 一, てふてふ てふてふ。菜(な)のはにとまれ。 なのはにあいたら。櫻(さくら)にとまれ。 櫻(さくら)のはなの。さかゆるみよに。 とまれよあそべ。あそべよとまれ。 二, おきよ おきよ。ねぐらのすゞめ。 朝日(あさひ)のひかりの。さしこぬさきに。 ねぐらをいでゝ。こずゑにとまり。 あそべよすゞめ。うたへよすゞめ。
明治二十年（１８８７）幼稚園唱歌集 (音楽取調掛) 3 進め 進め 国立国会図書館アーカイヴより 進め 進め 一, すゝめ すゝめ。あしとくすゝめ。 とまれとまれ。いちどにとまれ。 とまるもゆくも。教(をしへ)のまゝに。 たつもゐるも。をしへのままに。 咲花(さくはな)も。鳴鳥(なくとり)も。 面白(あもしろ)き花園(はなぞの)や。 すゝめ すゝめ。あしとくすゝめ。 二, まなべ まなべ。つとめてまなべ。 ならへ ならへ。たゆまずならへ。 まなびのみちを
明治二十年（１８８７）幼稚園唱歌集 (音楽取調掛) 4 霞か雲か 国立国会図書館アーカイヴより 霞か雲か 一, かすみか雲(くも)か。はた雪(ゆき)か。 とばかりにほふ。その花(はな)ざかり。 もゝとりさへも。うたふなり。 二, かすみは花(はな)を。へだつれど。 へだてぬ友(とも)と。来(き)てみるばかり。 うれしきことは。よにもなし。 三, 霞(かすみ)てそれと。みえねども。 なく鴬(うぐひす)にさそはれつゝも。 いつしか来(き)ぬる。花(はな)
明治二十年（１８８７）幼稚園唱歌集 (音楽取調掛) 5 学べよ 国立国会図書館アーカイヴより 学べよ 一, 學(まな)べよ 學(まな)べよ。たゆまずうまず。 おくれずいそげよ。まなびの道(みち)を。 二, まなびの道(みち)には。やまさかおほし。 山(やま)さかこゆれば。さく花(はな)にほふ。 三, さく花(はな)かざして。たかねの月(つき)を。 とく見(み)よとく見(み)よ。高根(たかね)の月(つき)を。
明治二十年（１８８７）幼稚園唱歌集 (音楽取調掛) 6 にはつ鳥 国立国会図書館アーカイヴより にはつ鳥 一, トテッココ。トテッココ。トテッコココ。 おきよとつげて。とりがなく。 二, トテッココ。トテッココ。トテッコココ。 おこたりいさむる。にはつとり。
明治二十年（１８８７）幼稚園唱歌集 (音楽取調掛) 7 友どち 国立国会図書館アーカイヴより 友どち 一, 友(とも)どちきたれ。われらのとも。 とく とくきたれ。いざやこら。 やまに野邊(のべ)に。あそびてまし。 うたをうたひて。ゆきてまし。 をとこをみなも。とも どもに。 二, ひと びときたれ。いざとく来(こ)よ。 いざ いざきたれ。いざやこら。 人(ひと)のみちを。まなびてまし。 道(みち)をたがへず。ゆきてまし。 ひともわれらも。とも どもに。
明治二十年（１８８７）幼稚園唱歌集 (音楽取調掛) 8 子供 子供 国立国会図書館アーカイヴより 子供 子供 一, こども こども。つとめよこども。 エㇺヤラホホホ。エㇺヤラホホホ。 車(くるま)は坂(さか)をも。のぼるなり。 二, くるま くるま。めぐれよくるま。 エㇺヤラホホホ。エㇺヤラホホホ。 ひまなくめぐれよ。やよ車(くるま)。
明治二十年（１８８７）幼稚園唱歌集 (音楽取調掛) 9 若駒 国立国会図書館アーカイヴより 若駒 一, ゆけや若駒(わかこま)よ。トトトト トトトト。 かはゆやかはゆや。わがのれる。 わかこまよ。 二, いそげ我馬(わがうま)よ。トトトト トトトト。 やまさかいはかど。よくあゆめ。 わがうまよ。 三, なんぢ我為(わがため)の。するすみいけづき。 くさかひそだてん。とりのごと。 とびかけれ。
明治二十年（１８８７）幼稚園唱歌集 (音楽取調掛) 10 大原女(おほはらめ) 国立国会図書館アーカイヴより 一, くもか雪(ゆき)かの。花(はな)のよそめも。 かをりにしらるゝ。やせのさとびと。 二, 咲(さき)とさきぬる。はなのさかりは。 雲(くも)をぞはこべる。やせのさと人(びと)。
明治二十年（１８８７）幼稚園唱歌集 (音楽取調掛) 11 川瀬の千鳥 国立国会図書館アーカイヴより 川瀬の千鳥 一, 川瀬(かはせ)にさわぐ。むらちどり。 なくねにかぜぞ。ふきすさぶ。 チチチ チチチ チチ チヨ。 チチチ チチチ チヨ。 二, 草葉(くさば)にすだく。すゞむしの。 なくねにつゆや。こぼれぬる。 リリリン リリリン リンリン リンリン。 リンリンリン リンリンリン リンリン。
明治二十年（１８８７）幼稚園唱歌集 (音楽取調掛) 12 竹むら 国立国会図書館アーカイヴより 竹むら 一, たかむらいでゝ。あしたより。雀(すゞめ)も 千代(ちよ)と。うたふなり。そらとぶ鳥(とり)も。 おのづから。たのしき聲(こゑ)に。うたふ乀(なり)。 二, うたへばとりも。うたふなり。あそべは 鳥(とり)も。あそぶなり。たのしきうたを。 うたふまに。こどももいつか。人(ひと)となる。
明治二十年（１８８７）幼稚園唱歌集 (音楽取調掛) 13 雨露 国立国会図書館アーカイヴより 雨露 一, 雨(あめ)つゆうるほひて。みやまはほゝゑみ。 桜(さくら)はわらへり。いざゆかん。うちむれて。 二, あかつき雪(ゆき)ふりぬ。そのふに花(はな)さき。 庭(には)には玉(たま)しく。みよ みよ。とくおきて。
