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バンジー

さて、前回の投稿で告知した通り、バンジージャンプに挑戦してきました。その様子を。と、その前に、なぜ、いままで経験したことのないことをやろうと思ったのか、もう少し詳しくお話しします。


俳優として活動していて最近思うことがある。自分には何があるんだろう、と。この体型のおかげで、一度お会いした方には割とすぐ覚えてもらえるし、出演作品を観た人から「あの映画出てましたよね?」と言われることも多い。嬉しい限りだ。ただ、そこから先が自分に無いんだと思った。演技もうまいと思わないけど、うまいへたとかじゃなくて、人間としてどんな魅力があるんだろうと。これまで会ってきた人の中で、なんかわかんないけど、この人素敵だなとか、魅力的だなとか感じることがある。それは天性なものかもしれないし、これまでの経験や努力がそう見えさせているのかもしれない。同じセリフを放っても、魅力的な人間とそうでない人間とでは、重みも深み違うと感じる。自分は間違いなく後者だ。そう思い始めた。去年の秋頃から。じゃあ、何をすればいいんだ。それすらも正直わからない。魅力なんて作れるものではないし、自分で「僕、魅力的な人間です」なんて言うやつもいない。確かなことは、経験が不足していることだ。自分は空っぽだ。何も無い。恥ずかしさを恐れずに言うと、俳優の仕事は「人生のアウトプット」のような気がする。ならばインプットすればいい。そうだ、インプットだ。映画を観る、本を読む、芸術に触れる、人と話す、これらもインプットだけど、もっといままで経験のないことをインプットすることで、面白い人間が構築されていくのだと思った。よし、いろいろやってみよう。そう思った2021年秋。

と、いう経緯があって、今年のテーマが「いままで経験のないことをしてみよう2022」となったわけです。よく恥ずかしくもなく書いたな、と自分でも思う。こんなこと書いたことない。だから書いた。いままで経験のないことだから。

ということで、第一弾として、そのスタートにふさわしい、であろうバンジージャンプに挑戦!

秩父にあるバンジージャンプ会場を予約し、当日いざ参戦。誓約書を書いてハーネスを着ける。ここの会場では、服・靴・ハーネス込みで120kgまでOKだが、ギリギリ111kgで収まった。へへん、ちょっとダイエットしてきたもんね!でもあと10kg重かったらロープ切れんのか?と思いながら、もうここまできたらスタッフを信じて身を委ねるしかない。

ワイヤーで吊るされたバンジー台に行くには、高さ50mの吊り橋を渡らなければならない。

なんてったってまずこれが怖い。男性ならわかると思うが、ちんちんがキューンってするんだ。なるべく下を見ないように。でも下見ないと板を踏めない。踏み損なったら一巻の終わりだ。いや、命綱を付けているから安全だろうが、こちとら111kgだ。慎重に慎重に一歩ずつ渡る。真ん中のバンジー台に到着した時には、動悸が激しくなり呼吸も荒い。スタッフの誘導で椅子に座り、心を落ち着かせる、が、そんなことできるはずもなく、もうスタッフの言われるがまま、飛ぶ準備が進められる。そしていよいよジャンプ台へ。下を見下ろす。怖い、やっぱり怖い。ホントにここから飛ぶんだな。来ちゃった。なんで来ちゃったんだろう。いやいやいや、もうここまで来たら飛ぶしかない。家でバンジーの動画を何十本も見てきて予習をしてきたので、ひとつ言えることは、躊躇したら終わりだ。恐怖心が増す。だからカウントダウン始まったらもういってやろう!って思った。そしてスタッフのカウントダウンは始まり



飛んだ。

いい飛びっぷりだ。

気持ちいいぐらいの叫び声だ。


ついに僕は鳥になった気がし・・・てない。怖かった。めちゃくちゃ怖かった。いままでに無い感覚だ。風を切る音が耳をつんざく。50m下に流れていた川がたった2秒ほどで目の前まで迫る。すごい落下スピードから突如ブレーキがかかる。ロープだ。1本のロープが111kgの僕の体を必死に掴んでくれている。ありがとう。そして伸びきったロープが勢いよく縮む。と同時に僕の体が再び上がっていく。いわゆるバウンドというやつだ。2度3度、その都度僕は悲鳴をあげる。ようやくロープの伸び縮みも落ち着き僕の体は吊るされた状態になった。ここからゆっくりとジャンプ台まで引き上げられる。壮大な秩父の景色を見る余裕も無く、上のジャンプ台を見ながら上昇する。そして無事生還。初バンジーの感想を興奮状態のまま伝えると「目、バキバキっすよ」って言われた。