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ちょっと思い出しただけ、な話 〜マスコミ電話帳の思い出

本当にどうでもいい話なんだけど、
ちょっと思い出しただけってことを書きます。

20年以上前に4年だけ新聞社に勤めていた。
新聞社に入ってはじめて知ったものが
「マスコミ電話帳」だった。

どんな本かと言えば、出版、広告、芸能、
業界のあらゆる機関や会社の連絡先が網羅されている本。

特別な本ではなくて、
ふつうに本屋で買えるふつうの本だったんだけど、
こんな便利なものが世の中にはあるのか!?
誰でも業界に電話し放題じゃないか!!?
業界にうとかったわたしは心底驚いた。

まだインターネットで何でも調べられる時代じゃなかったから、
仕事の連絡先などを調べるツールは「マスコミ電話帳」だった。

ちなみにその時のマスコミ電話帳の表紙はこんなだったらしい。

懐かしいような…全然覚えてないような…。

載ってる番号に電話をかけたら、
ときどき思いがけない人が出てびっくりすることがあった。

「銀河鉄道999」のマンガの1カットを本のページに使用したくて、
許諾を取るとために松本零士先生の事務所・零時社に電話をかけたら、

「はい、松本零士です」って本人が出た。

え!?巨匠が自ら電話に!!

「マンガのカットの使用許可を取りたいのですが…」

って言ったら、今、事務所に他に誰もいないからって、
先生本人が対応してくれることに…
嬉しいような…申し分けないような…
「使いたいのは、このカットで、
使用するにあたって1点5000円のお支払いなんですが…」

大巨匠に5000円って!!

ほんと、何言ってるんだって思いながら…
でもムチャクチャ丁寧に対応してもらって、
あれはとんでもない神体験だった。


昨年亡くなってしまいましたが、
俳優の田中邦衛さんにインタビューの申し込みをしたときも

「はい、田中です」

ってふつうに本人が電話に出た。
どうやら自宅の番号だったらしい。

田中邦衛さん!
大俳優ですよ!
北の国からですよ!!
自宅の番号がふつうに載ってるって…

事前に出した依頼の手紙をちゃんと読んでもらっていて、
その上で自分には身に余る内容で難しいとお断りされたのだけど、
そのことについてぽつりぽつりと語ってもらって、

ああ、北の国からの五郎さんと話してる〜

って、むちゃくちゃ感動した。
記事にはならなかったけど。


取材を申し込みたくてある演劇プロデューサーを探していたとき。
その人はもうかなり前に現役から退いていて、
連絡先はさすがにマスコミ電話帳にも載ってなかった。
知ってそうな人に聞いてもわからない
ゴールデン街の人に聞いても誰も知らないという
途方にくれていたんだけど、
ダメ元でマスコミ電話帳じゃなくて、
ふつうの東京都の電話帳で調べてみた。
あるかな…って片っ端から調べてたら、同じ名前の人を見つけた。
同姓同名の別人かもしれないけど、
けっこう珍しい名前だからって、おそるおそる電話したら…

「あのー以前、○○って劇場の支配人をやっておられた○○さんですか?」
「はい、わたしがその○○です」って、
本人だった!!!

あれはつながった瞬間、超嬉しかった!
なんか探偵になった気分だった。
人生で電話帳をちゃんと使ったのはあれが最初で最後だったかもしれない。

そんな電話帳ももう見なくなったよなー。

それなりにいい思い出ではあるんだけど、
今も昔も電話をかけるのが大の苦手でストレスなので、
メール中心の時代になってラクになったよなー
っていうのが正直なところだ。

そういえば、大昔のマンガの単行本とか見ると、
マンガ家の住所が巻末に載ってたりして、
昔はそこに直接ファンレターを送ったり、
「弟子にしてください」て行ったりしたんだろうな。
とても大らかな時代だったんだな。

ま、今はSNSとかもあって、
もっと気軽に本人にアクセスできる時代なのかもしれないけど。

ふと、「マスコミ電話帳」って
今もあるのかな…って、調べたらまだあったんですね。

思わず買ってしまった。

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今はネットで調べてれば何でもすぐにわかりそうなものだけど…

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そう、この網羅した感!!
そして調べようにも名前がわからないものを見つけられるこの感じ。

あれ、もしかしてこれ、今でもすごく便利なものなのでは?

さすがにもう個人の住所とか載ってないと思うけど…
なかにはとんでもないものが眠ってたりして。

ま、本当に何でもない「ちょっと思い出しただけ」っていう、
それだけの話でした。



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