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人生が変わった日

突然人生が変わることがある

ある日、突然、
人生がひっくり返るようなことが起きる

わたしの場合、それが一昨日だった

世界が一転するようなことがあった


今までそれなりに長く生きてきたのだけど

よくわからないものがあった

「もち」だ

「嫌い」ではない
「わからない」だった

食べようと思えば食べられる
けど決して好んでは食べない
それが「もち」だった

例えば正月に食べる雑煮

雑煮は大好きなんだけど、
「もち」はいらないと思っていた

汁と具材は超好き
お雑煮、最高!!

でも「もち」でお腹がいっぱいになるのが
どうにも納得いかない
できれば雑煮は「もち抜き」がいい
そのぶん余計に汁を飲んだり具を楽しみたい

ちからうどんも
お好み焼きにもちを入れるのも
どうしても理解できなかった

「もち」なんて
簡単にお腹をいっぱいにするためだけに存在する
膨らまし粉にすぎない

そう思って生きてきた

「もち不要論者」だった

そこに革命が起きた

一昨日の夕食に、ふいにそれは訪れた

食卓になにげなく置かれていた
ひとつの物体

これは「もち」だ

もちを焼いて
海苔に乗せ
その上に明太子が乗っている

そんな料理
正月の残りのもちで適当に作ったものらしい

もちかー
こんなのいらないなーと思いながら
一口でパクリと口に入れた

衝撃が走った

え? なにこれ?
これは…なんだ

たった一口、
ものすごい衝撃だった

「もういっこ」
けど「もち」はその一つしかないとのこと

あれは何だったのか?
確かめたい
その夜、「もち」を心の底から求めている自分がいた

翌日、生まれて初めて
自らの意思で「もち」を買った

ただ、買いながら思った
昨日のあれは幻だったかもしれない

また食べたらあの衝撃はもう、
ないかもしれない

少しの不安を抱えつつ
昨日と同じく調理してもらった「もち」を食べた

フライパンに少量の油を引きもちを焼く
カリカリに焼けてきたらバターをまぶす
焼けたら海苔の上にもちを乗せ
その上に明太子をたっぷり乗せる
それを海苔で巻いて食べる

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うま!
なにこれ!
本気でうまい!!!
うま〜
うまい、
それしか、ことばが出てこない!!!!!!!

海苔のパリっとした食感の後にくる
焼いたもちのカリッとした食感
嚙むとあったかくてそしてもちもちしていて
そこにバターのほのかな溶けるような風味が流れてきて
そこに冷たい明太子のしょっぱさと
少しピリ辛い刺激的な味が混ざってくる

カリカリもモチモチもトロトロもピリカラも
熱いも冷たいも
全部がこの海苔の上に存在している

これは宇宙だ

大きい、果てしなく大きい世界が広がってくる
そうか「もち」は宇宙だったのか

ついにわたしにも「もち」がわかった

「もち」との遭遇だ

人生は些細なきっかけで簡単に変わる

ある日、突然、人生がひっくり返るようなことが起きることがある
予期してなかったタイミングで、それはふいに起きる

わたしの場合もそれは突然だった

「もち」がある世界にこれからは生きる

今日の昼ごはん
わたしはまた「もち」を食べるだろう

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