89日目(突破)
映画「さよなら ほやマン」は知らぬ間に絶望を抱えた人たちが、寄り添ったり突き放したりしながら、歩幅や速度を変えつつ、それでも前に向かう映画だと感じた。序盤、こんな人たちは現実ではいないよ!と思っていると、徐々にではあるけど「そういやアイツに似ている」「あれ、あの子の悩みと同じだ」「あの人はたまにこういう顔をしていたな」と思うようになる。そう、決して創作物の中にいるスペシャルな存在でも何でもない、あそこにも、ここにも、どこにだっている人たちの物語だ。そしてサイトの中で曽我部恵一さんは「ほやマンは俺だった」とコメントを寄せていた。
自分で打破するしかどうしようもない現実があるし、誰かの暴力的な介入や切っ掛けがないと超えられない壁がある。強くあらねば、とも思うが、それができる人ばかりではないし、きっと俺もそうなんだろうと思う。コロコロと表情を変えるアフロさん演じるアキラは、背中を押すことはできても押されることに少しだけ戸惑っていたのではないだろうか。そして、そんな役柄だったからこそアフロさんが演じる必要があったのではないだろうか。全部で5分にも満たない(それでも至福だった)会話の中で、そんなことを感じてしまった。
本当に素晴らしい映画でした。ぜひみなさんもご覧になってください。
「さよなら ほやマン」https://longride.jp/sayonarahoyaman/index.html
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