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現場の非効率を生む3つの情報コスト

建設、製造、メンテナンスなどの「現場」で利用する情報共有・コミュニケーションツールSynQ Remoteを開発しているスタートアップ、クアンド代表の下岡です。

IT業界のエンジニアやデザイナーは、業務で電話、メール、FAXを使わず、Github, Slack, Figma, Asana, Notionなど「業務に最適化されたツール」で仕事をします。一方で、建設、製造、メンテナンスなどの現場では、電話、FAX、メールなど旧式の情報ツールに自分たちの業務を合わせて仕事を行います。その結果、仕事は属人的になり、生産性も低く、企業間のコラボレーションも生まれにくい環境になっています。

なぜ、現場の仕事(主に情報共有・コミュニケーション)はITにより効率化されていないのでしょうか?その理由は、現場仕事に特有な情報コスト(≒情報共有・コミュニケーション時に発生する手間や労力)が存在するからです。今回はその情報コストについてお伝えします。

IT業界の生産性は日々成長している

私は福岡でITスタートアップを経営しながら、家業である建設業の取締役も務めていますが、両社を比較した時に感じる圧倒的に差は「一人ひとりの生産性の高さ」です。その差を作る大きな要因として、ITツールの活用とそのツールの数だと思っています。

IT業界(デザインも含め)では日々新しいツールが誕生し、働き方がアップデートされています。

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(出所:CAMELORSリモートワークに役立つサービスカオスマップ2020年)


それらのツールは誰でも簡単に使え、ツール同士は連携され、特定の作業は自動化でき、企業の壁を超えてコラボレーションできるとても便利な環境になっています。その影響もあり、IT業界における生産性は他業界と比べ圧倒的なスピードで伸びています。

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現場に潜む3つの情報コスト

一方で、現場仕事では紙、FAX、電話、メールという旧式の情報ツールを使っています。ツールが古いこと自体は何ら問題ではありませんが、そこに人間の工数(コスト)が発生していることが問題です。では、現場の情報ツールとIT業界の情報ツールを比べた場合、何が異なるのでしょうか?実は現場の情報共有・コミュニケーションを見ると、現場特有の3つのコストが潜んでいるのです。


① 情報変換コスト

情報は形を変えるたびにコストが発生します。現場の情報は大抵の場合「アナログ」な情報です。しかし、それらの情報を活用するためには「デジタル」な情報に変換する必要があります。

例を挙げてみましょう。ある工場で作業者が機器のメンテナンス・保全活動をしている場合、作業者は製造機械の温度、スピード、振動など計器を見ながら紙に数値を記入します。異音がした場合は録音するかもしれません。そのような情報を作業者がデジタル情報としてPCに取り込み、上長に情報を送る場合はメールに添付するかもしれません。

この一連の流れにおいて、情報は何度も「変換」されています。現場の熱、振動、音は物理的なアナログ情報であり、計器を通すことで人間が知覚できる数値情報になります。その数値情報は人間を介してPCに入力されデジタル情報になります。物理世界のアナログデータ=>計器の数値=>人間が転記=>紙=>人間が入力=>PC(デジタルデータ)=>メール添付=>上長という流れの中で情報は複数回に渡り変換され流通します。その過程において手間がかかり人為的ミスが起きます。また、データをアナログからデジタルに変換する事は簡単なことではありません。(少々専門的なので詳細説明は省略します)

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一方、ITの世界で取り扱うデータは、デジタルで完結する場合が多いです。そのため、デジタル<=>アナログを行き来する事がなく、情報変換コストはほぼ無く、情報を簡単に保存・処理・共有できます。この情報変換コストが現場特有の課題でもあります


② 情報経路コスト

先ほどの例の続きで、上長が設備の修理が必要と判断し、修理業者とメーカーに連絡するとします。修理業者には過去点検履歴と修理費用の見積もりを依頼し、メーカーには保証対象期間と推奨対応策を聞きます。この一連のやり取りの中で上長は複数の相手に何度も個別に連絡を取る必要があります。

一方、SlackのようなITツールでは個別のやり取りでなく、全員が同じ情報を一度に発信・共有できるため、非常に効率的です。小さな差ですが、このようなやり取り・調整だけで忙殺され、自分の仕事ができないというのは「現場あるある」でしょう。

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このような情報経路によるコストも大事な観点です


③ 検索コスト

情報がきれいに整理され、簡単に検索できることは非常に重要です。キーワード検索、フィルタリング、ソート/並び替えができるのは情報が構造化された状態でラベル付けされているからです。IT業界では当たり前でも現場仕事では情報はこのようになっていません。

紙にしか残ってない情報、特定の人の頭に蓄積されているノウハウ、備考欄に記載されたメモ(非構造化データ)など情報は存在するけども、一元集約されておらずバラバラに蓄積され、識別できない(ラベリングされていない)状態で点在しています。このような状態もコストを発生させる原因です。

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SynQが解決する現場の課題と提供価値

これらの課題を解決する為、 ①デジタル化 ②シームレスな連携 ③自動化 ④コラボレーションを実現する現場情報プラットフォーム「SynQ」を提供しています!

アナログな現場情報はデジタル化されることで、IT領域で扱いやすい「データ」に変わります。その上で、各ツールに溜まったデジタルデータがシームレスに連携されると、ある一定ルールで処理できる作業は自動化することができます。その結果、人間は人間がやるべき仕事に注力でき、結果として企業を超えたコラボレーションが実現できるようになります。

そのような世界では、フィールドワーカーの仕事は単純/きつい/つまらない仕事ではなく、物理世界を構築する上では欠かせないクリエイティブかつカッコいい仕事になっているでしょう。

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世の中にはまだまだフィールドワーカーが従事する仕事が沢山あります。そのような領域をデジタル化することで、フィールドワーカーがより豊かに、幸せに働ける世界を構築し、我々が掲げる「地方産業・レガシー産業のアップデート」の達成を目指していきます!

4.最後にお知らせ

SynQシリーズの第1弾として遠隔支援コミュニケーションツールSynQ Remoteの正式版を2020年11月2日にリリースします!

SynQ Remoteは、テキスト情報や音声では伝わりづらい視覚情報を利用し、現場管理者が遠隔で現場の確認・指示ができるWEB通話システムです。現場管理者の移動、確認、指示に関わるコミュニケーションコストを低減し、よりスマートな現場作業を実現します。
また、SynQを更に成長させるための仲間を募集しているので、興味のある方はDMもしくは下記に連絡ください!お待ちしてます!

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Note(創業経緯):

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https://twitter.com/shimojquando

QUANDO CEO。九州工業大学 客員准教授。建設設備会社瀬登 取締役。地方でのスタートアップ、事業承継、大学発ベンチャーについて書いていきます。