最近遊んだマーダーミステリーゲームの感想【2024年①】
しばらくマーダーミステリーの感想記事が書けてなかった。
最近と題しつつ全部1月にやった作品です。
個人的満足度基準
Lost / Remembrance
• 版元:週末倶楽部×TroubleK
• 形式:店舗公演
• プレイ人数:6人
• プレイ時間:4.5時間
• 発売日:2023年7月頃~
• 参考価格:5,500円
• ハンドアウト:鈴村あきこ
• 参考
個人的満足度:A
事前情報としてRP要素が控えめ、かつ推理要素が非常に強く、協力型の作品と聞いていたが、実際その通りだった。推理要素もかなり難易度高めで、これは協力型でないとかなり一方的なゲーム展開になりそう。
RP要素が控えめだったり協力型になっているのが単にそういうルールというだけではなくて、ちゃんと物語上意味のある設定だったのがすごく良い。昔自分がコンテストに出した作品では、講評でキャラの相克が弱いみたいなところを挙げられていたけど、本作のようにあえてそっちに振り切ったらプレイヤーも納得するし面白い作品になる。そういう解決策があったのは今後作るうえで勉強になった。
ただそういった構成は「マーダーミステリーらしくはないな」と感じることもあり、マーダーミステリーではなくリアル脱出ゲームをやっているような気持ちもあった。マーダーミステリーのプレイヤーの中には一定数「そういう謎解き要素は求めてないんだよな~」という層がおり、僕自身も若干そう思っているところもあるのでそこはミスマッチになる可能性がある。
いろいろ書いたけど、完成度は高いしたくさん考える余地があって良い作品だと思う。
テルモピュライの騙り部
• 版元:ナントカゲーム製作所
• 形式:パッケージ
• プレイ人数:7人
• プレイ時間:180分
• 発売日:2023年春
• 参考価格:5,000円
• ハンドアウト:将軍の息子 フェリス
• 参考
個人的満足度:A
歴史の裏側で起きた事件という、たまに出てくるジャンルの作品。まずテルモピュライの戦いを題材に選んだというところがすごい。そしてそれに見合った物語とキャラクターがちゃんと構築されているところが良かった。
プレイ中は殺人事件を中心に会話をしたり動くわけだけど、それが重要な戦争の最中であり、自分たちがそれに関わる兵士だというマインドでずっとプレイできた。つまり背景設定がなおざりにはなっていない。古代ギリシアの世界がそれなりに好きか、ちゃんと勉強している人でないと作れない作品だと思った。
一方で気になった点。設定上仕方のないことだけど、全員が基本軍人でほぼほぼ屈強な男ということで、背景に詳しくない一プレイヤーからするとキャラの違いが分かりにくいと感じた。またマーダーミステリー特有の設定により「そうはならんやろ」という状況が生まれてしまっている部分があった。
プレイ後はこの背景にある戦争に少し興味が湧いたし、全く古代ギリシアに興味ない自分でも楽しくプレイできたのでいいところに落ち着いたと思う。
ゲノムの塔
• 版元:グループSNE
• 形式:パッケージ
• プレイ人数:7人
• プレイ時間:180分
• 発売日:2023年8月11日
• 参考価格:4,000円
• ハンドアウト:セールス
• 参考
個人的満足度:B
いつものMPitBシリーズ。前提として、このシリーズはどれも最低ラインの面白さ、満足度が担保されている。今作もそうだった。
普段のシリーズに比べると、作者さんの色がかなり濃く出ているなという印象。SF、化学に関する用語や要素が数多く散りばめられており、過去作でいう河辺の夜の夢のシェイクスピア要素のような感じがした。
作品と相性が悪かったのか僕の頭が悪かったのか、そういった要素があまり頭に入って来ず、面白さや作品の深みを感じるには至らなかった。自分の担当したハンドアウトも選択ミスだったのか、独特のクセ(文体?)にプレイのしづらさがあり、立場が違えばもっと楽しめたのかもしれない。
オッドタクシーショータイム
• 版元:ワンドロー
• 形式:パッケージ
• プレイ人数:5人
• プレイ時間:120分
• 発売日:2022年5月27日
• 参考価格:3,850円
• ハンドアウト:イシクラ ミコト
• 参考
個人的満足度:B
アニメ作品のIPもの。原作は分からないのだけどこの作品をきっかけに少し感じることができた。多分プレイヤーが担当するキャラはこのマーダーミステリーのオリキャラぽいんだけど、NPCに原作のキャラがいた。
キャラクターは全員動物の亜人のような見た目をしているが、中身はかなり人間くさく描かれており、キャラクターの個性が強かった。
ゲーム本編としては結構軽めのプレイ感で、同じ日に既に2つ別のマーダーミステリーをプレイしていたのだけど問題なく遊べた。情報が結構シンプルなので、経験者からすると物足りないゲーム展開になるかもしれない。IPだったらこれくらいのノリのほうが、原作由来でプレイする人には良さそう。
気になったのはエンディングで、いくつか分岐はあるもののかなり無茶苦茶な展開だった。これが重めなシナリオのエンディングだったら結構残念に感じたかもしれないが、キャラクターやノリがポップなので問題ないみたいな空気はあった。
不可逆過程のデジャブ
• 版元:かわぐちまさし
• 形式:パッケージ
• プレイ人数:5人
• プレイ時間:60分
• 発売日:2022年10月30日
• 参考価格:1,500円
• ハンドアウト:都合により省略
• 参考
個人的満足度:B
男性アイドルが何故か楽屋でマーダーミステリーをプレイするという、作中にマーダーミステリーが出てくる斬新な構成。既存のマーダーミステリーが出てくるだけなら他にもあるけど、それを実際にプレイするというのは初めてかもしれない。
はっきり言ってゲームバランスはかなり悪いと思う。二重構造のどこまでを要素に置くかが難しいけど、メタい視点でプレイすると簡単そう。
また、僕がプレイしたあるキャラクターは行動原理が意味不明過ぎて擁護ができなかった。他にも理解出来ないキャラや描写がいくつかあり、テストがちゃんとされているのか疑わしい出来に感じた。
これだけだと満足度評価はC突き抜けてDとか言いたいくらいなのだけど、粗はあるとはいえこの二重構造をゲームにしたこと自体はすごいと思うし、その一点だけでプレイは楽しかった。犯人とか推理とかロールプレイとかはどうでもよくて、こういうプレイヤーが混乱錯乱する状況を作り出してプレイしてしまってる時点でこのシナリオの目的は既に達成されていると思う。この構造的な部分だけで言ったら満足度Sに近いので、トータルでBくらいかな。
だいぶ実験的な要素を持つ作品という印象。「マーダーミステリーってこんな作品作っていいんだ、自由なんだ」ということをすごく感じさせてくれた、非常に良い経験となったシナリオでした。
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