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これはあの頃の貴方の物語なのかも『エイスグレード世界でいちばんクールな私へ』

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概要:中学卒業を控えたケイラはイケてる自分になりたがっている女の子。
今日もYoutubeでイケてる自分の姿をさらすが、学校では無口で有名なくらいシャイで、そんな自分を変えたがっている。
ある日、学校の帰り道に同級生でイケてるケネディの母親に、ケネディの誕生日パーティーに誘われる。行くつもりのなかったケイラだが、ひょんな事から誕生日パーティーに行くことになり…喜びと痛み、今の10代の実態を、ケイラの成長と共に描いた物語。
監督:ボー・バーナム 製作年:2018年 製作国:アメリカ

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9月20日公開予定の作品だが、7月17日に渋谷ユーロライブで行われた先行試写会で一足先に見てきました。この作品のポイントと感想をまとめたので、興味ある人は是非とも目を通して欲しい。

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【いつの時代も青春は変わらない。これは誰もが経験する物語】

映画冒頭、鏡に向かってお化粧をするケイラの姿が映し出される。参考にしているのはYouTubeの動画だ。SNSが既に存在する世の中に生まれてき世代をジェネレーションZ世代と呼ぶらしい。映画はそんなケイラの姿を通して、今の10代の若者の姿を見事に描いている。
YouTubeにInstagram、SNSを駆使する彼らの姿を観て、30代の筆者は、序盤こそ「これが現代の10代の生態か」と興味深くも、自分とはどこか違う生き物を眺めるような感覚で観ていた。
しかし、ケイラが自分を変える為に、苦手な友達のパーティーに行ったり、年上の友達に囲まれて浮かれている姿を見ている内に、自分の懐かしい記憶が蘇ってくるのを感じた。
この映画は、音楽の使い方が印象的で、ケイラのドキドキや不安な心情を表したかのような音楽は、観客にケイラの気持ちを体感させてくれる。
「自分にもこういう瞬間あったなぁ」と思うと共に、時代や環境が変わっても、思春期のあの頃の気持ちは変わらないという事に気づかされた。
この映画は、それこそ今のSNSを駆使する10代にこそ最も刺さるかもしれないが、大人の世代が観ても共感を呼ぶだろう、そして、そんな気持ちにさせてくれた時点でこの映画は良い映画だと思う。

【あのオバマ大統領も絶賛!各界からの称賛の嵐】

この作品、本国では絶賛の嵐で『ROMA』のアルフォンソ・キュアロン監督は「ここ最近で一番、泣いた映画」とコメント。
『ベイビードライバー』のエドガー・ライト監督や『ヘレディタリー/継承』のアリ・アスター監督など、数々の映画監督がその年の年間ベストに選出するなど、クリエイターからの評価も素晴らしい。
もちろん、クリエイターだけでなく一般の観客からの支持も厚く、映画批評サイトRotten Tomatoesでも99%の高評価を獲得している。本国のアメリカで、上映館が4館からわずか3週間で1084館に急拡大された事実を見ても、本作がどれだけ多くの人の心に響いた作品か伺い知れるだろう。
意外なところでは、何とあのオバマ前大統領も、この年の年間ベストに選出したそうで…ある意味、作品の実力は裏打ちされたも当然だ!!

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【今、最注目のA24スタジオの最新作】

監督は元YouTuberかつミュージシャンという異色の経歴を持つボー・バーナム。
2018年に公開された『ビック・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』でも俳優として活躍する彼の経験を元に脚本も執筆している。
そして見逃せないのは、この作品が今映画ファン最注目といっても過言ではないA24スタジオの作品であるという事。
A24といえば、アカデミー賞受賞作品『ムーンライト』に『ルーム』、『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッドディア』、『アンダーザ・シルバーレイク』など、大手スタジオとは違う尖った作風で、新作を出す度に映画ファンを唸らせ続ける新進気鋭のスタジオ。
そのA24と今作と同じこじらせ女子が主役のあの『レディ・バート』の製作陣がタッグを組んだ作品とあれば、これはもう無条件で観に行くしかないのでは(ちなみに筆者自身は親と子の関係性という意味において今作は『レディ・バード』と対になっていると思う)

映画ファンは最早当たり前、映画ファン以外でも要注目の『エイスグレード世界でいちばんクールな私へ』は9/20からヒューマントラスト有楽町・シネクイントほか公開予定が決まってる。気になる人は是非ともチェックしてくれ!


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