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2020年からウェビナーを始めるためのDay0→1 サクセスガイド【ツール選定から運用のコツまで!】

※本記事は『カスタマーサクセス Advent Calendar 2019』19日目のエントリーです。

●自己紹介

 こんにちは。アペルザの下宮(@shimomiyas)です。

 実は当初別のテーマで書く予定だったのですが、社内諸事情で見送りとなってしまったため、以前Twitterでつぶやいたら反応のあったこのテーマで書くことにしました。

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 せっかくなので会社の紹介も少し。アペルザは『ものづくりの産業構造をリデザインする』をミッションに掲げ、生産財(間接材)と呼ばれる、工場の生産工程で使われる、生産設備やその部品のBtoBマーケットプレイス及びその周辺サービスを手掛けています。生産財の売り手向けに提供しているのが『アペルザクラウド』というクラウドサービスです。(詳しいプロダクトやターゲットの話はまたの機会に書ければと思います。)

 製造業・設備産業向けのクラウドサービスということで、いわゆる「レガシー産業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援している」系のプロダクトです。2019年4月の正式リリース以降、CSチームのキャパを超える(超えては困る)ペースで利用企業が増加しています。

 そんな会社で働く私ですが。86年生まれ、2010年に某ITメガベンチャーに新卒入社、Webデザイナー→Webディレクター→経営企画→事業開発→(転職)→事業開発→BtoBマーケを経て、現在はアペルザクラウドのプロダクトマネージャーを務めています。

●ウェビナーの活用 - はじめに

 本記事は、読者の方の社内で「ウェビナーの目的や位置づけ」が既に合意されている前提で書いています。なので、そもそもウェビナーが有効な手段なのか?、試す価値があるのか?は、各社のプロダクトやユーザー(カスタマー)、そしてCSの業務設計によって変わってくるものだと思うので、残念ながら本記事ではスコープ外です。

 一方で「ウェビナーってどんな感じなのか?」には全力でお答えできればと思います。この記事では、弊社でのウェビナーの運用の裏側を惜しみなくお見せしますので、皆様の今後のCS施策※にお役立ていただけましたら幸いです。(※もちろん、CSに限らずセールス・マーケティング全般において有効な手段だと思います!)

●ウェビナーの活用 - リアルな運用イメージ公開

 あまり文面で書き連ねてもわかりづらくなってしまうので、思い切ってウェビナーの開催までの流れやツール構成など、弊社での超リアルな運用イメージをスライドで公開しちゃいます。(また、この記事を読んでくださった方には、来年是非ウェビナーのトライしていただきたいので、資料をPDF&PowerPoint形式で配布しますので、ご活用くださいませ!)

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 資料の前提情報として、弊社ではカスタマーサクセス(CS)とマーケティング(CM)で連携した施策を取り入れており、そのひとつがまさに今回の「ウェビナー」です。

 元々は、私が当社のBtoBマーケを担当していたこともあり、いわゆるリードナーチャリング施策の一環としてリアルのセミナーおよびウェビナーを開催していました。その後、これまで個別に電話やオンラインMTGなどを中心に実施していたお客様のオンボーディング、アダプションにおいてもウェビナーを活用するようになったという背景があります。(なので、上記資料ではメール配信などをマーケチームが行うイメージになっていますが、これは会社によっては同じ担当者がすべて行うケースもあるかと思います。)

 ここからは上記の前提を踏まえたうえで、資料の内容をベースに配信までの流れを紹介していきます。

●配信11日前| 実施テーマの検討/決定

 まず、実施テーマはどのように決めているのか。弊社のCSにおけるウェビナーの目的は「機能/サービスの活用促進」です。なので、まずは対象となる「機能/サービス」から入り、ウェビナーの実施テーマを「その機能/サービスが解決するお客様の課題」としています。

 どういうことかと言うと、実施テーマを単純に「●●機能のご紹介」とはせず、なぜその機能/サービスを使うのかの啓発、使うべき理由(お客様にとっての課題の発見)から入る形にしています。なぜなら、それがすでに活用されている機能/サービスではなく、まだ活用されていない機能/サービスなので、機能/サービスから入ってもピンときません。それを受けて、ウェビナーのシナリオ構成も下記のようになっています。

・目的/ゴールの合意
・お悩み/課題の構造整理
・解決アプローチ/手法・例の紹介
・機能/サービスの紹介

●配信10日前|アウトライン兼スクリプト作成

 ここが一番重要です。実はこのアウトライン兼スクリプトに、弊社の「ウェビナーが盛り上がる」ひとつめの工夫があります。

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 上の画像、小さくてわかりづらいですが、これがウェビナーの「台本」です。なんと「合いの手」まで書いてあります(笑)

 弊社のウェビナーではプレゼンターは必ず2名で、メインプレゼンターとモデレーターに分かれ、掛け合い形式・対談形式にしています。アウトライン兼スクリプトを作るのは、当然プレゼン資料に落とす前に構成を整理するためでもあるのですが、それよりもこの“掛け合い”の設計をするためでもあります。

 ウェビナーを開始した当初、いろんな会社のウェビナー(録画配信ではないリアルタイム配信のみ)を受けまくりました。その結果わかったのは、プレゼンターが1名で一方的に話すウェビナーよりも、2名で掛け合い形式で行っているウェビナーのほうが圧倒的に分かりやすかったのです。

 これは実際に自分がモデレーター側に回ってみるとわかりますが、メインプレゼンターも完璧ではありません。難しい言葉や表現、言い回しを使ってしまったり、いざ本番になると(本人からすれば当然の前提的な)内容を省略してしまったりします。これをモデレーターが視聴者の代弁者として「それってどういうことですか?」「例えばこういう場合ってどうなんでしょう?」と被せていくことで、プレゼンター1名ではカバーしきれない“微妙なわかりにくさ”をカバーしながら進行させることができます。

 これをひとりが一方的に話す形式で「誰にでもわかるように」と思うと、むちゃくちゃ回りくどい説明的なプレゼンになってしまいます。メインプレゼンターはあくまで「先生・有識者・権威」であり、モデレーターが(誤解を恐れず言えば)「バカになる」ことで、「先生の難しい話を誰でも理解できる番組」に昇華させられます。テレビ番組とかはこの構図になってるケースがありますね。

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 よく「わからない部分があれば途中で聞いてくださいね」とは言いますが、この“微妙にわかりにくいやつ”って実は聞きづらいんです。モニター越しで聞いているとなると尚更。

 ちなみに慣れてくると、台本までギチギチにしなくても、アドリブで乗り切れたりもします。とはいえ、配信時間の枠は決まっていますし、こういうものはとにかく属人化しやすいので極力台本化し、演者が変わっても、誰でもライオンキングを演じられるようになることをおすすめします(笑)

●配信10日前|告知・事前登録開始

 ここは文字通り、お客様向けのメール告知と事前登録フォームの公開の話です。ここではせっかくなので、弊社のウェビナー配信におけるツール構成の話をしたいと思います。

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弊社で活用しているツールは以下の5つです。

wellcast( https://www.wellcast.in/ )
ウェビナー配信に特化したサービスです。頻度がそこまで高くなければ断然おすすめです。その他のツールとの簡単な比較も後述します。

formrun( https://form.run/
wellcastには参加登録・事前申込などのページを作る機能はないので、登録フォームはformrunで作っています。また(wellcastにも視聴後アンケートの機能はありますが)別途配信終了後に資料配布と合わせてアンケートを取るのにも使っています。

slack( https://slack.com/intl/ja-jp/
formrunに参加登録が来たときや、参加後のアンケート回答があったときに、チームのslack チャンネルへ通知しています。使ってほしいと思っていたお客様が登録してくれたり、高評価のアンケートが来たときはやっぱり嬉しいですからね。

kintone( https://kintone.cybozu.co.jp/
弊社ではCRM/SFAにkintoneを使っているので、CSの活動履歴、お客様のセミナー参加状況などもすべてここで管理しています。

メール配信( 自社サービス )
弊社の自社サービスにメール配信の機能があるので、それを利用しています。単純に上記のツール群との相性でいけば、MailChimpやSendGridなども選択肢として良さそうです。

●wellcastについて

 弊社がウェビナー配信に使っているwellcastですが、CallConnectを提供しているselfree社のサービスです。

 尚、弊社でもサービス選定時にはいくつかのサービスを比較しています。弊社ではそこまで凝ったウェビナーを配信するつもりはなかったので、必要最低限の機能+価格で比較をしました。弊社のウェビナーが必要としていた機能は以下の3つでした。

・視聴に際してアプリインストール等が不要
・動画、画面共有での配信が可能
・チャットが可能

大抵の場合、ウェビナーツールで探していくと下記の3つぐらいが選択肢になるのではと思います。

・Zoom https://zoom.us/pricing
・cocripo https://www.cocripo.co.jp/
・wellcast https://www.wellcast.in/ja/price

 一部ではZoomの料金プランがわかりにくいという話も聞きますが、ウェビナー機能を利用することが目的であれば、「プロ」アカウント(¥2,000/月)を1アカウント購入し、「オプションのアドオンプラン」のなかにある「映像ウェビナー」(¥5,400/月)を追加するだけなので、月額7,400円で利用可能です。

 対するwellcastですが、料金体系が基本料金+従量課金となっているのが大きな特徴です。下記のような条件に当てはまれば、かなりリーズナブルに使えます。

・月によって開催頻度にばらつきがある
・一回の参加人数が50名以下

ただ、従量課金であるが故、どれぐらいの月額になるのかがわかりにくいので…

非公式の料金試算ツール作りました(笑)
http://bit.ly/2S0Gw0S

完全に私のお手製ですので、正確性は保証しかねますので何卒ご容赦ください。“ざっくり計算”の用途でお使いいただければと思います

≫ 非公式!wellcast料金試算ツール

なんだかPR記事みたいになってきました…。
小俣さん、お金ください。嘘です。

●配信7日前|資料作成

 というわけで、次に資料作成です。本配信で使うプレゼンスライドです。ここにはたいした工夫はありませんが、オフラインセミナーの投影資料にも共通して以下のことには気をつけています。

・1スライド1メッセージ
・フォントは基本32ポイント、最低24ポイント

また、配信後はPDFでの配布を前提としているので、アニメーションは使いません。

●配信4日前|リハーサル/資料修正

 これが弊社の「ウェビナーが盛り上がる」ふたつめの工夫です。

 スクリプトも作り、資料もできたら、社内向けにリハーサルをします。大抵の場合、お昼時間などに社内のオープンスペースで営業やCSのメンバーに参加してもらい、全体を一度通してみて、意見をもらいます。これを事前に実施しておくことで、内容のブラッシュアップや、時間配分の点検も行うことができ、より本番配信時の視聴者の満足度は上がります。

●配信2日前|リマインド兼参加方法告知

 配信前のリマインドメールは2日前と当日朝の2回で送っています。基本的にはこのリマインドメールで詳細な参加方法の告知も兼ねています。

 せっかくなのでリマインドメールの雛形も公開します。wellcastでのウェビナー配信を前提とした内容ですが、事前準備の内容や、簡単なFAQなどを一通り記載していますので、是非参考にしていただければ幸いです。(※冒頭のものと同じファイルのP.3です)

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 リマインドメールは、会社によっては1週間前、3日前、前日、当日と4回送るケースなどもあるようですが、弊社ではあまりそれによる参加率の変化を感じませんでした。おそらく既存のお客様向けにやっているので、これが契約前のお客様(見込み顧客)へのリードナーチャリング施策の場合だと、まだ関係性ができあがっていないので、入念にリマインドしたほうがよいのかもしれません。

●配信1日前|配信準備

 さぁ、いよいよウェビナー当日です。配信準備、何をしますか?実は配信準備としてすごく重要なのが「通信環境の整備(確認)」です。

 ウェビナーにおいて一番つらいのは「音声や映像が切れること」です。多くの会社が社内の無線LANでインターネットに接続されているかと思いますが、配信を行う場合、絶対に「有線接続(有線LAN)」をおすすめします。

 動画配信に関しては、ライブ配信サービスである「LINE LIVE」のマニュアルが実はわかりやすいのですが、マニュアルの9ページにある「配信場所のインターネット環境にて、アップロード速度が最低4Mbps以上となるかご確認をお願い致します。」は、割とマジで必須です。

 オンラインMTGやウェビナーなど動画の通信は、無線LANの帯域をかなり圧迫するそうです。弊社でもISチームやCSチームが、日中はよくオンラインMTGを行っていますが、そのタイミングで社内の無線LANを速度計測すると、上り4Mbpsに満たないことが度々ありました。

 またウェビナー配信特は会議室に入ってしまうので、その状態で配信するとめちゃめちゃ途切れます。これを有線LANに変更したことで解消しました。たまにウェビナーをやっているクラウドワークスさんも同様だそうです。なので、是非実施前に下記のサイトからスピードテストを行っていただくことをおすすめします。

●配信当日|本配信

 さぁ、いよいよ本配信です。ウェビナーの本配信で気をつけることはただひとつ。ちゃんと映像と音声が届いているかです。

 よくあるトラブルが、いざ本配信を開始したらチャットコメント欄に「聞こえません」「見えません」のコメントが殺到し、準備に手間取るというパターンです。実はこれは“本編の開始前”の2つの工夫で回避できます。方法は至ってシンプルです。

 まず、ウェビナーの開始時間とアナウンス方法です。例えば、14:00スタートのウェビナーの場合、ウェビナールームは10分前からオープンし、その旨をリマインドメールにも記載しておきます。

 開始10分前、ウェビナールームをオープンしたら、手元のスマホで作業用BGM」を掛けて、マイクに拾わせます。画面(映像)はタイトルスライドなどにしておきます。その上で、チャットコメント欄より以下を投稿するだけです。​

本日はアペルザのウェビナーへお集まりくださいまして誠にありがとうございます。xx:xx(時間)になりましたら開始させていただきますので、今しばらくお待ちください。
現在、BGMを流しておりますので、もしBGM音声が聞こえない、またはセミナータイトルが画面に表示されていない場合は、こちらのコメント欄よりお知らせください。

 そして配信当日は可能であればメインプレゼンターとモデレーターの2名以外に、画面には入らない3人目のメンバーを用意します。

 このメンバーの役割は2つあります。ひとつが、チャットコメント欄のモニタリングと対応です。いざ配信が始まってからでは、視聴できないひとが個別に現れた場合に、プレゼンター側では対応ができません。また、視聴の不具合は多くの場合、ブラウザの種類やバージョン問題、セキュリティ設定など視聴者側の環境問題です。それをコメント欄で対応(指示)するためには3人目のメンバーが必要なのです。

 そして、もうひとつが弊社の「ウェビナーが盛り上がる」最後の工夫でもあります。3人目がサクラとしてチャットに参加し(たりするときがあり)ます。色々とご意見はあるかもしれませんが(笑)実はサクラがいなくても上記の内容ができていると、質疑応答や途中での質問投げかけなど、視聴者の参加はかなり活発になります。

 ただ、回によってはどうしても一番最初の投げかけに、最初に反応する“ファーストペンギン”が必要なときがあります。逆に言えば、サクラとしての参加(コメント投稿)は、1回だけでいいのです。最初のひと押しさえあれば、あとは双方向型・参加型のウェビナームードに入っていくことができます。

●まとめ

 ここまでの内容いかがでしたでしょうか。今回はウェビナーのDay 0(と言いつつDay -11)からDay 1までの流れを紹介させていただきました。

 本当はウェビナーが終わってからが、CSとしては本番ですので、ウェビナー後のアフターフォローもきっちり設計されているとパーフェクトです。例えば、弊社ではウェビナー後に資料をダウンロード配布する際に、アンケート(必須)を実施しています。そのアンケート内で(ウェビナー中にPRした)機能/サービスの利用意向を聞いています。そこで利用意向のあったお客様に対しては、別途機能/サービスの説明・紹介を行い、しっかり活用促進へとつなげていきます。

 というわけで、ここまでの記事内で紹介したウェビナー成功のコツをまとめるとこんな感じです。

●残念なウェビナーにならないための3つの事前準備
① リマインドメール内での視聴環境の周知
② 配信前日の通信環境チェック
③ 配信前の待機時間中にBGMを使っての疎通チェック
●ウェビナーを盛り上げるための3つのコツ
① メインプレゼンターとモデレーターによる掛け合い形式
② 事前の台本作成と社内向けリハーサル
③ サクラがファーストペンギン

 是非、本記事を参考に2020年からウェビナーにチャレンジする方が増えたら嬉しく思います。質問などあればTwitter( @shimomiyas )でお待ちしてますっ!

●CS・コミュニティマーケ募集しています!

 さてさて…記事はお楽しみいただけましたでしょうか。最後に求人PRで大変恐縮ですが、そんな弊社は本当に人が足りません。下の画像は人が足りなさすぎて困っていたときに弊社代表の石原が作った渾身のスライドです。

それでも人は足りません。

 日本のGDPの20%を占める製造業。日本が唯一“外貨を稼げる産業”と言っても過言ではありません。アペルザは日本の製造業の海外への発射台となり、ものづくりの未来、そして日本の未来をつくりたいと考えています。道半ばで終わるわけにはいきません。このエキサイティングな挑戦を共にできる仲間を探しています。是非ご興味ある方はお気軽に話聞きに来てください!

●オフラインマーケ https://www.wantedly.com/projects/335670
●カスタマーサクセス https://www.wantedly.com/projects/347281
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