アイディアを出しまくる「ブレインダンプ」と心理学的解釈

新しいプロジェクト、新しい創作などを考えるときに使われる手法の一つ「ブレインダンプ」についてご紹介。またそれが心理学的視点に立ったとき、どういった意味を持つか、どういった範囲に適用可能かを考えてみました。

ブレインダンプとは?

あるテーマについて、頭の中で思っていることを、出来る限り吐き出すための手法です。

1. 時間を決めてテーマについて思いつくことをひたすら書く
5分(いっぱい出てきそうなら10分)のタイマーをセットして、紙とペンを持ち、ひたすらテーマについて思いつくことを書いていきます。
絶対に手を止めてはいけません。とりあえず書いて書いて、頭の中のものを全部出します。
例)バーバーショップ のイメージ

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2. 似たもの同士をグルーピングする

例えば上記の例だと、「明るい」「楽しげ」「クリアなハーモニー」「カラッとしたサウンド」は似た観点を持っていそうなのでグルーピングして、「バーバーショップのイメージ」に対して自分が思っていることを体系的に理解していきます。

心理学的解釈

このブレインダンプを心理学的に捉えてみると、ある自身が持っている抽象的観点・内観(「バーバーショップ のイメージ」)に対するものの見方を網羅的かつ体系的に把握する手法と言えます。下図のようなイメージです。

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ここで注意が必要なポイントが2つあります。
・自身の内観であること
・自身の内観でもFast思考であること

まず、これはあくまで自身の内観でしかないので(当たり前ですが)、全人類的な見方を抽出することはできません。そのため自身では観測できない(思いつかない)範囲に新たな見方が存在する可能性がありますので、全人類的な見方を出したい場合は十分なN数を確保する必要があります。
次に、こちらの方がより重要ですが、Fast思考における見方しか抽出できないという点です。人間には、Fast思考(直感や感情的な連想に基づく判断)とSlow思考(注意深く合理的思考に基づく判断)という思考パターンがあると言われています。ブレインダンプはその性質上、熟考するような時間は与えられません。そのため、長い文章を考えたり、哲学的に積み重ねて思考するようなタイプの課題に対して有効に機能しない可能性が高いのです。

まとめ

ブレインダンプの実施方法と、心理学的解釈に基づいた適用範囲について検討してみました。ブレインダンプは自身の抽象的な観点を見える化するためには非常に有用なツールではあるが、直感的な印象や感情に基づく課題に用途が限定されることを認識しておく必要があると感じた。

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