見出し画像

ピストン和声 15ピストン「属7の和音」

ピストン和声500ページ超をド頭からコツコツやってみようのシリーズです。
アメリカの音楽教育で最も広く使用されており、音楽理論の理由や背景についても記載された大変読みやすい理論書です。

今日は「属7の和音」についてです。

和声的不協和音の起源

7の和音は3和音に3度音程を重ねることによって作ることができますが、この和音はそのような過程で生まれたものではありません。
元々は旋律的な非和声音として現れて、やがて和声として認識されました。この7の和音は和音そのものに不協和な要素を加えるので、和声的不協和音と呼ばれます。

スクリーンショット 2020-10-21 0.27.02

この7の音以外にも3和音の場合においても、不協和な音は3つ存在します。Ⅶ(長旋法、短旋法)の減三和音、Ⅱ(短旋法)の減三和音、Ⅲ(短旋法)の増三和音です。Ⅶはrootlessな属7として、ⅡはⅣの代用として、Ⅲは属和音における倚音と解釈できます。

スクリーンショット 2020-10-21 0.15.36

属7の進行

属7の和音には2つの不協和音程が含まれています、第3音と第7音間の減5度と、根音と第7音間の短7度です。これらの不協和音程は解決するのが一般的で、協和音程に向かって動く傾向を内在している、指向音(限定進行音)となります。

スクリーンショット 2020-10-21 0.36.08

しかし、楽章の最後の和音で主和音が第5音を含むようにするために、導音が属音に下行する必要がある時があります。導音が内声にある場合は導音から属音への下行が許容され、旋律よりも和声が優先されます。この旋律的な動きをあまり目立たせないようにするため、経過音などは入れないほうが良いです。

スクリーンショット 2020-10-21 0.55.37

属7からⅠへ進む解決は、音楽におけるもっとも基本的な和声進行で、ⅤーⅠに欠けている調的構成音である第Ⅳ音度(下属音)を供給するということも重要なポイントです。

第1転回形

属7和音の第1転回系は属5−6と呼ばれます。
第7音がソプラノにあると、解決時に強い反行を生み根音も反復されるので,安定的な響きを生みます。

スクリーンショット 2020-10-21 1.03.34

第2転回形

属7和音の第2転回系は属3−4と呼ばれます。
属4−6と同じく使用は慎重に検討されます。ⅠとⅠの第1転回形の間で使われることが多くあります。

スクリーンショット 2020-10-21 1.07.27

第3転回形

属7和音の第3転回系は属4−2と呼ばれます。
バスが2つの不協和音程(増4度、長2度)の下の音なので、2度下行して解決する必要があります。
ソプラノが上主音から属音へ4度上行するような例もあります。

スクリーンショット 2020-10-21 1.14.13

次回

次回は「2次ドミナント」に関するお話です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?