ピストン和声 22ピストン「不完全形の長9和音」
ピストン和声500ページ超をド頭からコツコツやってみようのシリーズです。
アメリカの音楽教育で最も広く使用されており、音楽理論の理由や背景についても記載された大変読みやすい理論書です。
今日は「不完全形の長9和音」についてです。
半減7の和音とは?
減7が属和音に短9度を重ねたものから作られたのに対して、半減7の和音(half-diminished seventh chord)は属和音に長9度を重ねて作られます。
減7と違って大きさの違う音程が含まれるので、転回形によって響きが異なります。
第2音度と第6音度の間に完全5度があり、声部進行において平行5度をもたらしやすいので注意が必要です。
変則的な解決
半減7和音は基本的には長主和音へと解決します。減7和音は短・長どちらにも解決できたので、半減7和音のほうがより制約の多い和音といえます。
またⅢへ解決するときは、根音を省略した属9の和音というよりは、導音上の7の和音として機能します。
2次ドミナント
2次ドミナントにおいても、減7和音より半減7和音の方が短主和音へのドミナントとして使えないことから使えるパターンが少なくなります。転調においても同様に使えるパターンがやや限られます。
半減7和音の最も慣用的な2次ドミナントはⅤのⅤとして使うパターンです。
次回
次回は「非ドミナント和声」に関するお話です。
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