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ピストン和声 21ピストン「減7の和音」

ピストン和声500ページ超をド頭からコツコツやってみようのシリーズです。
アメリカの音楽教育で最も広く使用されており、音楽理論の理由や背景についても記載された大変読みやすい理論書です。

今日は「減7の和音」についてです。

減7和音とは?

属7の和音に3度を重ねた属9の和音は、長と短で2種類ありますが、短3音を加えた属9和音の根音を省略ものが、減7和音(diminished seventh chord)です。減7和音はドミナントの仲間ということになります。

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減7和音の各構成音間の音程はすべて短3度で、すべての転回形が同じ響きを持っています。

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また減7和音を異名同音で読み替えると、4種類の導音を導くとそれに対応する根音を導き出せます。このように色々な調のドミナントとして解釈できるので、転調などにも多用される和音になっています。

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減7和音の解決

減7和音は主3和音に解決のが一般的です。長主和音にも短主和音にも解決できるため、長旋法が支配的な音楽で減7和音を介して短主和音に解決した場合は転旋が発生します。

9度の音程が3度の音程の上に来る場合は、減5度から完全5度への並達が発生するので、あまり使われません。

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2次ドミナントとしての使用

減7の和音は、2次ドミナントが使えるところならどこでも2次ドミナントとして使用できます。

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変則的な解決

減7の和音が2重機能をもつ和音として使用される時、変則的に主和音に解決しないパターンがあります。
以下の譜例だと、減7和音がⅢの2次ドミナント(rootless F majorの第9音をバスに持つ転回形)として読み替えられています。

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次回

次回は「不完全形の長9和音」に関するお話です。

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