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ピストン和声 17ピストン「変則的な解決」

ピストン和声500ページ超をド頭からコツコツやってみようのシリーズです。
アメリカの音楽教育で最も広く使用されており、音楽理論の理由や背景についても記載された大変読みやすい理論書です。

今日は「変則的な解決」についてです。

変則的な解決とは?

属7和音の正規の解決は主3和音に進むことなので、その他の解決はすべて変則的であるということになります。
変則的な解決には、和声進行が変則的な場合と、旋律が変則的な場合の2つがあります。
以下の例は、旋律が変則的な場合です。第7音が導音に解決せず、根音二も保続されていません。

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以下の例ではⅤーⅥという和声的に変則的な解決ですが、旋律は典型的な動きをしています。導音と第2音度は主音へ動き、第7音は指向性にしたがい下行しています。

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変則的な解決のバリエーション

よく見られる変則的な和声やあまり使うべきでないものを例示します。

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1〜4小節のⅣやⅥへの解決は偽終止としてよく見られるものです。
5小節のソプラノとバスの3全音が強調されているので特異な響きを持ちます。
6小節のⅡへの解決は共通音が多いのであまり使われません。7小節の2次ドミナントによるⅡは半音階的に色合いが出てくるので良好です。
8〜10小節のⅢへの進行も共通性が高く、ドミナント和声に吸収されがちなので、あまり使われません。こちらも11小節の2次ドミナントによるⅢは良好です。
12小節の2次ドミナントの導音が逆方向に解決するのはバーバーショップなどでよく見られる進行です。

2次ドミナントの変則的な解決

2次ドミナントは一般的にトニック化された和音に解決します。その解決がない場合は転調が起こったように感じますが、一部の変則的な解決は、正規の2次ドミナントの進行と似たような解決感をもたらします。

以下はⅤofⅥからⅣへの変則的な解決です。

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他にもⅤofⅢからⅠへ、ⅤofⅤからⅢへ、ⅤofⅤからⅠ(特に第2転回)、ⅤofⅡからⅤなどもよく見られる変則的な進行です。

また、2次ドミナントが別の2次ドミナントに解決することもあります。

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次回

次回は「音楽のテクスチャー」に関するお話です。


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