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ピストン和声 18ピストン「音楽のテクスチャー」

ピストン和声500ページ超をド頭からコツコツやってみようのシリーズです。
アメリカの音楽教育で最も広く使用されており、音楽理論の理由や背景についても記載された大変読みやすい理論書です。

今日は「音楽のテクスチャー」についてです。

音楽のテクスチャーとは?

音楽のテクスチャーとは、個々の声部の統合によって生まれる色彩です。
それは、ホモフォニック、ポリフォニック、軽い、濃い、複雑、透明などの形容的な表現だけでなく、声楽テクスチャー、器楽テクスチャー、オーケストラや鍵盤のテクスチャーといった演奏媒体によっても語ることができます。

声楽と器楽のテクスチャー

J.S.バッハのコラールなどは広くプロテスタント賛美歌の最高の例とみなされ、ホモフォニーとポリフォニーの素晴らしいバランスが見られます。歴史的に言えば、統一性と多様性が最高のバランスを取っているバッハの音楽は、1種の理想的なテクスチャーを代表していました。

バロック以降は、さまざまな楽器の音色と音域の多様性やそれらの多様な組み合わせによるテクスチャーに大きく目が向けられました。このあたりを学習するためには和声法を超えて、管弦楽法の学習が必要になります。このあたりも機会があれば触れてみようと思います。

ホモフォニック・テクスチャーの実例

以下のように旋律と伴奏となっているのが典型的な例です。
リズム的には違った要素を含んでいますが、その声部はすべてある和声から次の和声へと同時に動いており、規則的なホモフォニックなテクスチャーを示しています。

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アンサンブルのテクスチャー

ある与えられたテクスチャーの中では、どんな旋律的な要素や和声的な要素も重複することができます。
旋律的な要素をオクターブで重複することはよく見られます。例えば下記のバスのラインはメロディー旋律を3オクターブ下で重複していますが、これを異なった2声部で平行しているとは考えません。

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オーケストラ

オーケストラのテクスチャーは音色という極めて複雑で重要な要素を多く持ち、音の重複、音の重み、オクターブ配置、楽器の特徴を活かした書法といった様相でその複雑なテクスチャーが表現されます。

次回

次回は「和声分析の諸問題」に関するお話です。


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