ピストン和声 32ピストン「拡張された半音階法」
ピストン和声500ページ超をド頭からコツコツやってみようのシリーズです。
アメリカの音楽教育で最も広く使用されており、音楽理論の理由や背景についても記載された大変読みやすい理論書です。
今日は「拡張された半音階法」についてです。
無調音楽
20世紀の音楽におけるもっとも顕著で興味深いこととしては、無調性、調性のない音楽が現れたことです。
調性を支える要素
以下のような要素は調性を確立したり維持する傾向を持っています。
・トニックの存在
・3和音による和声進行
・明瞭なカデンツ
・属音と主音の保続音とオスティナート
・長音階と短音階
・中心音から一時的に離れたのちに解決する行為
調性を弱める要素
対して、以下のような要素は調性を弱めたり偽造する傾向を持っています。
・複雑な和音(非和声音を含む、4度和声、5度和声など)
・慣用的だが、減増和音になり機能が単一でないもの(短旋法のⅡなど)
・変則的な解決
・早い和声リズム
・密集した対位法書法
・遠隔な調機能
・頻繁な転調
・旋法混合
・トニックの変動
・長音階と短音階以外の音階
・多重和音と多調性
・トーン・クラスター
古典的でない中心音
無調音楽のうち、古典的な調性ではない中心音を持つという発想があります。
以下の譜例は、トーン・クラスターや多重和音が支配的なテクスチャーの中で、古典的な調性とは違ったニュアンスでC#の音が中心音として機能しています。
12音技法
無調性音楽の原理の1つで、半音階のピッチ・クラスをあらかじめ特定の順序で配列して、楽曲のすべての音高関係をそれを元に作曲する技法を、12音技法と呼びます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?