ピストン和声 13ピストン「フレーズの和声構造」
ピストン和声500ページ超をド頭からコツコツやってみようのシリーズです。
アメリカの音楽教育で最も広く使用されており、音楽理論の理由や背景についても記載された大変読みやすい理論書です。
今日は「フレーズの和声構造」についてです。
フレーズの小節数
多くの作品は4小節や8小節のフレーズを持ち、多様性を考慮しながらも、リズムと拍節の規則性が重視されます。この基準に合わないものの多くは、元々は4小節や8小節で構想された後、偽終止やゼクエンツやフレーズの一部の反復によって引き伸ばされたものです。
フレーズの始まり
フレーズの頭は必ず主和音で始まるとは限りませんが、最初の2つか3つの和音で調性を確立するのが一般的です。これは主和音が必要というよりは、その調性に固有の進行が必要という側面が強くあります。例えばⅣ−ⅤやⅡーⅤの進行は単一の調性以外の解釈ができませんので、これをフレーズの冒頭に使うことが多くあります。
フレーズの連結
曲の最後には決定的なカデンツがくることが多いですが、フレーズからフレーズへの連続性を要求されることもあります。
以下の例はカデンツ最後の和音(第2小節のⅤ)と一緒に始まる旋律が、第2フレーズの最初の下拍に対するアウフタクトとして機能しています。
ゼクエンツ
ある和声進行が別の音からすぐに反復されると、和声のゼクエンツが生まれます。
以下の例において、第1〜2小節のⅠ−Ⅳの4度の上行は反復され、第3〜4小節のⅡーⅤとなります。
小曲の形式
バランスの取れた1対のフレーズは楽節と呼ばれ、バランスの取れた1対の楽節は複楽節と呼ばれます。
賛美歌や歌曲は主に4つのフレーズか、1つ2つの楽節しか持っていません。こういった歌詞が1節、2節と進んでいっても旋律が変わらない有節的な小曲は、閉じた形式であると言われます。
よく知られている閉じた形式として、2つの部分からなる2部形式と、3つの部分からなる3部形式があります。3部形式の場合は、3つの部分が大幅に異なっていることもあるし、第3部分が第1部分の反復になっていることもあります(A-B-A形式)。
2部形式だと童謡の「ちょうちょう」、3部形式だと「きらきら星」などがありますね。
一方で、調の変化を伴って主題展開を行っていく形式を、開いた形式と呼びます。特にソナタ形式とロンド形式が、多楽章ジャンルの典型的な構成要素になりました。
次回
次回は「転調」に関するお話です。
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