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ピストン和声 31ピストン「音階と和音のタイプ」

ピストン和声500ページ超をド頭からコツコツやってみようのシリーズです。
アメリカの音楽教育で最も広く使用されており、音楽理論の理由や背景についても記載された大変読みやすい理論書です。

今日は「音階と和音のタイプ」についてです。

5音音階

ヨーロッパの民謡で使われた音階です。
長音階の7音のうち5つを使用しているので、歯抜け音階(gapped scale)とも呼ばれます。
導音や半音がないので、ドミナント和声を感じることが難しくなります。また調の中心が曖昧で、あるときは長調、あるときは短調のように聞こえがちです。

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全音音階

全部の音程関係が全音の音階を、全音音階と言います。
すべての3和音が増和音で、オクターブをのぞいて完全音程が存在しません。増3和音はすべての転回形も響きが同じで、すべての進行はすべて同じ性格を持ち、調の対比を欠いた中性的な響きを生みます。

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人為的な音階

長音階や短音階や教会旋法や上述の音階、もしくは、4部音や平均律でないものを除くような音階を、人為的な音階と呼びます。
以下は、ドビュッシーが書いた事例と、使われた音階です。

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3度和声

対位的な脈絡を考えずに、3度音程の重なりによって構成される和音をもとにした和声を、3度和声と呼びます。
以下のような譜例の3度の重なりは対位法的に生じていないことが分かるかと思います。

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4度和声

4度の重なりによる和声を4度和声と呼びます。
3和音という基盤が欠けているので、根音を決定することは難しくなります。

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5度和声

5度の重なりによる和声を5度和声と呼びます。

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2度和声

2度の重なりによる和声を2度和声と呼びます。
この和音と半音だけからなる和音はトーン・クラスターと呼ばれることもあります。

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多重和音と多調性

2つまたはそれ以上の3和音が同時に鳴っている時、多重和音と呼ばれます。

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同時に2つ以上のちょうがあるという状態を多調性と呼びます。

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次回

次回は「拡張された半音階法」に関するお話です。

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