免許合宿17日目「全ておゆに流そう」

免許合宿17日目
日記作成者 下島
半谷との関係 やや良好
帰りたい度 80
朝食 無し
昼食 ハヤシライス サラダ
夕食 チキン南蛮 ジャーマンポテト オクラの和え物

今日はこの合宿所での事実上最後の日曜日。昨日noteに綴った通り、僕らは意を決して温泉地に出向くことにした。もちろん見つかったら退校であるが、それでも僕らがこの教習所でのNo.1を目指す限り、そんなことは言っていられない。昼食をとったその足で教習所を飛び出し、後ろから来る追っ手を撒いて山に飛び込んだ。


駅に着くもここで次の電車が50分後だということが判明。人目が気になる僕らは2回に人のいないテラスを見つけ、なんとかやりすごしつつ電車に乗った。そこから30分くらい電車に乗っただろうか、窓の外の移りゆく雄大な自然の景色を見ながら、ついに温泉地へ辿り着いた!


駅に着くなり駅と隣接して無料の足湯があったりと、すごく雰囲気のいいところだ。しかしここで、大内宿という有名な観光地までは更に6kmほど歩かなければならないことが判明。そこまで出ているバスに乗るにも2時間ほど待たなければならないし、なにより18時までに寮に戻らなければならいことを考えると現実的ではない。しかし、ここまで来たのだ。ここで引き下がるわけには行かない。どうせ今日は門限を過ぎたって誰にバレることもない、そう考えた僕は「Go」と言った。それに対して半谷は、「いや退校になったら笑えないす」「全然歩ける距離じゃないですって」「延泊するからってふざけないでください」うるさいやつめ。ここで引いてどうするつもりだ?だいたい温泉に行こうと言い出したのもここを調べてきたのもお前だろ。ちょうど道脇に見えた崖から突き落としてやろうかとも考えたが、一旦体勢を立て直し、駅のおばさまに話を聞いてみることにした。すると「温泉ならそのへんにいくらでもありますよ」との事だったので練り歩いてみると、日帰り露天風呂みたいなのが本当にいくらでもあった。僕達はその中でも一番景色のよさそうな露天風呂を見つけ、受付のばあさんに声をかけた。とても腰の曲がった気のいいばあさんだった。どうやらこの時期は日曜でも客なんか全く来ないようで、「一応男湯と女湯あるけどどっち入ったって構いやしないよ、好きな方入んな」と言ってくれた。僕らは一応2つとも見てみて、より景色のいい女湯を選んだ。よこしまな気持ちなど全くない。


女湯には子宝の湯と書いてあり、その横にまじでめちゃくちゃ勃起してるちんこがあった。いやらしくないの?こういうのって。勃起ちんこのうえにお賽銭箱があった。これで金儲け?うーん、まあいいか。でもその横にEDちんこがあるのは何?毎日旦那に求められて辛い人がこれに賽銭して旦那が勃たなくなるのを祈願するんか?2人でゲラゲラ笑ったり複雑な気持ちになったりした。


しかしさすがに温泉は気持ちいいし、景色は最高である。教習所の疲れや、嫌なことが一気に吹き飛ぶような気持ちである。貸切だったのでミスチルを大音量で流し、2人で歌いながらお湯に使っていると、なんと年配男女の声が聞こえてきた。僕らは普通にガチ焦りし、半谷は「あぶっ!あ、あ、いやいやいや!すいま!」と声を出していた。女性の「あらいやだっ!なんで女湯に男性の方が!?」と言っている声が聞こえた。僕は外にいる女性に大きな声で事情を説明し、小太りとともに全裸で男湯に移動した。女性には見られていないはず…。その後男湯に移動し、お湯に着いてしまうくらい長く白い髭を生やしたじいさんと共に入る温泉は本当に気まずすぎた。男湯は何故か蚊が多く、何ヶ所も刺された。結果おじいさんが先に上がり、外に見える夫婦岩を見ながら温かいお湯にゆっくり浸かった。風呂で考えようと言っていたネタは、とうとうひとボケも出なかった。風呂から上がった半谷の顔を見るに、どうやら僕らは整ってしまったようだった。



風呂から出た僕らは少しだけ歩き、コンビニでガリガリ君を買って歩きながら駅に向かった。
電車を降りてから結構走ったりして、何とか門限ギリギリの5:59に寮に到着。そこから夜飯に行くと、僕の最も嫌いな食べ物であるオクラが出ていたので避けて食べた。すると半谷が先輩である僕に説教をしてくる。他のものなら我慢して食べることもできるけどオクラだけは食べると絶対にゲロを吐いてしまうんだと何度説明しても、「昔はそうでも今は味覚変わってるかもしれないじゃないすか」「一個食べてみてください、わかんないですから」本当にしつこいしストレスだ。食べてこの場でゲロを吐いてやろうかとも思ったが、多少人目を気にせず声を荒げ、「殺す」という言葉を使って半谷を制することにした。周りの人ごめんな。ゲロ吐かれるよりはいいよな?あと半谷はこないだサバの味噌煮を残していたので人に説教できる立場ではない。まじで関係ないことをいうけども、こいつは味噌汁をよそうのが下手すぎて毎回こぼしている。

まあ総合で見たら今日はいい脱走をしたしプラスだと思う。温泉はとても気持ちよかったしね。こんな日が毎日続くなら免許合宿は楽しいものになるんだろうな。でも、そうはいかない。あと一週間。半谷は一足先に卒業してしまう。僕にとっての歯食いしばり一週間がやってくる。楽しみの消える僕は、どう耐えればいいのだろうか。

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