見出し画像

秘舞 2/2

      秘舞 1/2 からのつづきです。

  何時しか、FLY(洋式毛針ですね^^)映画リバーランススルーイット・・観たときに・・何じゃこれ・・こんな釣りの方法があるのかと知り・・テンカラ(和式毛針)に、丁度興味もったのと同時くらいだたった時だったので・・でも、全く知らなかったフライフィッシング、釣り道具屋と、本屋に通い詰めで、調べ回り、当時勤め始めた会社の駐車場で、昼休み毎日の文字の通り、独り日々ラインを振る練習を始める・・いつしか、かなり自由に毛針をキャスト出来るようになっていて・・当然実践にいざ渓流へ向かう・・そうなると、今度は毎日でも渓流に行きたくなるので、その為に早起きて、出社前に,先ず渓流へ向かい早朝フィッシング・・出社時間の9時に、間に合うよう会社に戻って来る、そんな日々が始まっていた。

 早朝フィッシングは、ともかかくは、会社に遅刻しないようにしないといけないので、夢中になって、あまり上流まで行ってしまう訳にいかないので、逆に休み日は、その反動でか、より沢の奥へ奥へ・・何かに押される用に・・ひっぱらられるように向かい・・ウエーダー履きロッドもって、おにぎり持って、源流イワナを求める意識の上に、さらに,源流・・沢のはじまりの場所まで行ってみたい衝動もかさなりはじめていた。

  その日も、朝からどれくらいFLY(毛針)を振りながら、ヨシガ沢と言う名の沢を上がっていてたのだろう、ちょっとひと息と、足を止め、目の前の大な木にの根もとに目をやると・・おや?・・もしかして・・
と、ロッドを置き・・近寄って見ると・・忘れもしない、2007年5月13日・・日曜日・・ヤマシャクヤクが・・でも、まだ花は咲いていない、蕾が一つ・・
じっと見る・・しばらく見てた・・映像が浮かんできた・・
その日の釣果は全く覚えていない・・
とにかくロッドを、たたんで、車のある場所まで沢を下ることに・・
かなり奥山なので、下る最中に、何度も振り返り位置の確認と、そこまで戻って来る為の安全なルートを確認しつつ・・
ここで言う戻るとは、ヤマシャクヤクに会いに戻ってくると言う事・・。

 フィルムを現像出してして、写真を調べる、
まだ開いていない蕾の写真を見る、風景全体も見る・・
また本屋に通いつめ・・山野草の関連の書籍を買い集め調べる・・
花の開花時期
蕾になってから開花までの時間・・
開花のタイミング・・
この時に知りえていた知識は、このヤマシャクヤクの花は、1日花である事だけ。

調べて・・考えて、考えて・・どうやら・・次の週末では・・
ただ、車で行ける場所から先は、人為的な道は全く無く・・
ひたすら徒歩にて沢筋を上がってゆくしかない・・
9時は会社に戻らなければならない・・
日曜日、帰りに要した時間は2時間
と、いう事は・・薄っぺらな脳ミソで考える・・
朝5時に家を出て・・車で行ける場所まで1時間少し
そこから徒歩で1時間 7時 ヤマシャクヤクに会って
三脚を沢の縁に立て、カメラをセッティングして・・
カシャ!
カメラ片付けて、三脚をたたみ、リックに戻して・・
帽子を取りペコリ ありがとう・・
そこから、車まで徒歩で1時間 
8時には、車に乗り・・会社まで、1時間弱・・
無事、9時数分前に、タイムカード・・ガシャンI
これは、頭の中に浮かんだ、大ざっぱな、しもじの予定表。

あとは、1日花・・何時・・

週明けの、木曜日だったか、金曜日だったか・・

朝5時に家を出て行く・・この一枚撮る為に・・
この白い舞いを、独り見る為にだけに・・

結果は・・
遅刻せずに出社・・何事も無かったかのように、その時の日常になった。
昼休みに、今朝撮ったフィルムを現像に出してくる。
リバーサルフィルムを使っていたので、現在のように直ぐには無理で、
現像が上がって来るまでに、2日・・
現像マウントされた写真を受け取りに行き、自宅のポータブルライトテーブルに出し広げ、拡大レンズを使って、覗きこんだ向こうには・・
ほんとに綺麗に写っていた舞い・・というより、なにか世界が広がっていた・・
まぁ〜完全に一人?独り?自分の世界に酔いひたっていました

(今のように、直ぐにデジタル化した映像にて、大きな画面で見らる時代ではありませんでした)

 この為だけに、ロッドを持たず、沢を歩く為に、ウエーダーだけ履き、カメラのセット機材入れたリック背負って、向う・・・
シャッター切る為にその場にてファインダー越しに舞いを見ていたのは、数分だったけど・・その瞬間だけは、独りでは無かった・・・と・・
今は、勝手にドラマ作って想い起こしニヤニヤし、酒を飲むしもじ。

後に、どんな飲み会の席でも、酒の力借り熱弁しても、楽な気分での雑談の時でも、人に伝えられないもの・・
それでも、なんとか人に押しつけたくなる、秘舞のシーン・・・・
ただ純粋な感性・・

あの時、何に取り付かれたのか・・撮りたいの前に・・
なんでまた、そこに戻ろうとしたのか
本当に独りだったのか・・

 現在は簡単に、多くを簡単に知り得る事が出来る時代になり、逆に余計に
伝える事の難しさを感じつつ、ちゃんと伝え表現出来無いのは、しもじの文字表現力が、あまりに力不足だけなのか・・
酒の力が足りないのか・・(こうゆう事書くから不謹慎しもじ・・って言われ信じてもらえんのだよって・・どこからか・・リアルな声が聞こえてくる)

この後、この年の8月に、このヤマシャクヤクの種を採取してきた。

玄関脇の、苗たちにストリーを語れるのは、今なお・・やはり自分だけだが・・

単純な答えで、苦労なんか語るものじゃなく、今ここに、
綺麗な花でしょ^^ それだけでいい
今は、その彩色の舞い、簡単に伝えられるようになった、しもじ


それから月日が流れ・・
2021年の夏・・友人の運転で、この沢を訪れてみると・・


 2019年に日本を襲い、各地に被害をもたらした台風19号の 爪跡が・ここにも、林道のあらゆるヶ所、車両は勿論、徒歩でも困難なほどに崩れ落ちているのを見た時・・
一つの流れに区切りがついてしまった感・・が・・
ちびっこい話で、さらに落ちてしまうが・・もっとこの綺麗な沢添いで、彼女とおにぎり食べとけば良かったなぁ〜・・と。


もう2度とこの先に行ける事はないのだろう


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?