負け犬しもでさんの奇跡・40
しもでさん、観戦記者デビューを果たす
今回の「私が勝てなかった間にやってきた事シリーズ」は観戦記者です。
私がデビューした1997年あたりは、「月刊プロ麻雀」というマージャンの専門誌がありまして、麻将連合に限らず、公式戦の観戦記が掲載されていました。
当時新人の私は、
「とにかく公式戦でいい成績を挙げたい」
「いい成績を挙げ続ければ、いろんな仕事が回ってくるはず」
と信じて疑いませんでした。
それゆえ、麻雀を打つ活動以外には興味が無かった、という感じでした。
今の時代なら「バカじゃなかろうか」と思われそうですが、当時はそういう選手が少なくなかったと思います。
しかし、
「公式戦で好成績を挙げ続ける」
はずが、一向に成績が上がらないわけです。
前回でも述べましたが、ブログを始めたおかげで、文章を書く事に徐々に慣れてきました。
そのうち、
「自分が一流の競技選手になれないなら、せめて競技マージャンの一流選手の戦いを伝えたい」
という気持ちが芽生えてきたのです。
最初に書いたのは、2004年度のμカップin東村山。
月刊プロ麻雀の2004年12月号に掲載されました。
麻将連合のホームページの「ダイアリー」を読んでくれた、月刊プロ麻雀の編集の方から依頼されたのです。
今回の記事を書くにあたって久々に読んだのですが、あまり内容が無い、ただのレポートみたいなものですね。
もっとも、当時の私のマージャンの実力、文章力では、これが精一杯だったと思います。
月刊プロ麻雀が廃刊になった後、麻将連合のホームページに、μカップの観戦記が掲載されていた時期がありました。
2005~2006年あたりでしょうか。
その頃は、積極的に観戦記を書かせてもらいました。
この1~2年の間で、確か3回くらい書いたんじゃないかな。
そして、麻将連合の機関紙「麻将新世紀」が、2007年にリニューアル。
年2~3回のペースで、2013年まで発行されていました。
当時、観戦記者としての目標の1つだったのが、
「タイトル戦の観戦記を書く」という事。
2007年の「第10回BIG1カップ」で、念願を叶える事ができました。
ちなみにその時の決勝メンツは、
鈴木たろう選手(日本プロ麻雀協会)
原浩明選手(麻将連合)
佐藤治史選手(当時・麻将連合)
内田慶選手(麻将連合)
という顔ぶれでした。
その後も、何度かタイトル戦や公式戦でも、観戦記を書かせてもらいました。
そして次の目標、
「麻将連合主催以外の大会の観戦記を書く」
というのも、2009年の「第3回・TwinCup」で達成。
掲載されていたサイトは閉鎖されましたが、それでは勿体無いと思い、私のブログに再掲載しました。
第3回TwinCup観戦記・1
第3回TwinCup観戦記・2
第3回TwinCup観戦記・3
第3回TwinCup観戦記・4
ちなみに優勝したのは、当時の若手のホープ、田中巌さん(最高位戦)。
今後の活躍も期待されたのですが、残念ながら今となっては永遠に叶わないものとなりました。
いわおちゃん(田中巌さんの愛称)についても、機会があればいつか話したいものですね。
3つ目の目標、
「他団体のタイトル戦で観戦記を書く」
というのも、2011年の「第6期最高位戦Classic」で達成しました。
こちらは、最高位戦のホームページに今も掲載されています。
第6期最高位戦Classic決勝戦1日目観戦記
第6期最高位戦Classic決勝戦2日目観戦記
その後、麻将新世紀の休刊もあり、観戦記を書く機会は激減しました。
当時に比べると、本業のマージャン教室の仕事が増えたので、なかなか時間が取れなくなったのですが、機会があればまたやってみたいとも思ったりして。
しもでさん、慣れない読書を始める
個人の気まぐれで書いているブログなんかは、ギャラが出るわけではないので、適当に書いていてもいいのですが。
「仕事」や「選手としての任務」として依頼された場合は、そうもいきません。
「仕事として書くようにするためには、何も読まないわけにはいかない」と思ったわけです。
元来「読書」というのが苦手な、しもでさん。子供の頃から活字を読むと眠くなるのです。
しかし、さすがにそうも言っていられません。
まずは可能な限り、タイトル戦や公式戦の観戦記を読みました。
その場で起こった事を淡々と綴ったもの、文芸作品みたいな表現で書かれたもの、などなど。
さらにぶっちゃけて言えば、読むに堪えないつまらないものもたまにありましたね。
あとは、主にスポーツノンフィクションもの。
競技そのものの魅力、試合の流れ、選手の心理状態、選手やその周りの人の人物像。
そういったものを、映像や写真がなくとも、文章だけで伝える事ができたら、と思ったのが、その理由です。
当時よく読んだのが、山際淳司さん(故人)、金子達仁さん。
山際淳司さんは、「スローカーブを、もう1球」「江夏の21球」などに代表されるように、野球を題材とした作品が多いのですが、棒高跳び、スカッシュ、ボート、登山などマイナースポーツもよく題材に取り上げていました。
あと、一流選手だけではなく、二流のプロボクサー、名門ではない高校野球のチームなども題材になったのがありましたね。
競技としてのマージャンは、正直まだまだマイナーなジャンルです。
山際さんのように、マイナーな競技でも上手に文章で伝えられれば、と思った次第です。
金子達仁さんは、学生時代はサッカー部で、しかもサッカー専門誌の出身という事もあり、文章からサッカーに対する愛情が溢れていましたね。
他のスポーツを題材にした作品もありましたが、金子さんといえばサッカーという印象が強いですね。
金子さんの本を読んで、マージャン愛が伝わる文章を書ければ、と思いましたね。
あと、金子さんはマージャンも大好きなようで、『モンド21麻雀BATTLE ROYAL』の2007年、2009年、2010年の3大会で団体優勝、麻雀最強戦に出場するほどの実績の持ち主でもあります。
他にも色々読みました。
鷺沢萠さん(故人)のエッセイ集。
日常のつぶやきも面白いのですが、マージャンのネタもこれまた面白かったです。
競技選手の視点とはまた違った、マージャンの観点。
あと、マージャンをさほどストイックに取り組んでいないはずなのに、文章からマージャンの魅力がとても伝わってきました。
マージャンが強くないと、マージャンの事を書けるわけがない、と勝手に思い込んでいた私にとっては、目からウロコでした。
将棋棋士の先崎学さんの将棋エッセイ。
厳しい世界に身を置きながら、少年時代の破天荒なエピソード、先輩後輩棋士とのオモシロ交遊録、将棋棋士という立場の厳しさ、といった将棋界のあらゆる面を軽妙な文章で綴っています。
私も、競技マージャンの世界を面白おかしく、その一方、この世界の厳しい面を伝えられれば、と思ったものです。
他にも何冊か読みましたが、当時読んだものが血肉となったと言っても過言ではないと思います。
「私が勝てなかった間にやってきた事シリーズ」は、もう少し続きます。
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