ストレスを減らす知恵袋-12

【睡眠ハック術】 by下田美咲

■「こんなのはじめて」です

私は今、毎晩日付が変わる前にスンナリと眠りについて、朝の8時前には気持ちよく自然に目覚めるという生活をしています。一言でいうと、ザ・朝型の生活リズムで快適に暮らしています。

しかし、それは私にとって少しも当たり前なことではなく、人生で初めてのことだったりします。30年間生きてきて、こんなのはじめてです。

というのも、私は物心ついた頃から寝付くのが苦手な子どもでした。だから「趣味は寝ることです!寝るのって最高に気持ちいいじゃん!寝るのが大好き!」という人に出会うたびに「いいなぁ・・・!」と羨ましかったし、私は今日も眠らなきゃいけないと考えるだけで気が重いよ・・・と思いながら生きてきました。

ずっと、私にとって眠ることはノルマでした。夜になったら眠らなくてはいけない、と考えるとプレッシャーを感じていました。眠りにつくことが不得意な人間として30年間を生きてきました。

■作家になってからの数年間は快適だった

とはいえ、この数年間は睡眠にまつわるストレスを感じずに暮らしていました。なぜかといえば、眠くなったら寝て、眠くなくなったら起きればいい、というすごく自由な暮らしを手に入れたからです。そう、作家生活!!ビバ作家!

作家になりたかった理由は色々とありますが、目覚ましをかけずに暮らせるタイプの仕事であることは(何時に起きても大丈夫!ということはつまり何時に寝ても大丈夫!)私にとってかなりの魅力でした。寝る時間や起きる時間を縛られない生活がしたくて作家を目指した、というフシが確実にあります。

そんなわけで私はこの数年間、眠くなったら寝て、眠くなくなったら起きる、という風に暮らしてきました。だから、相変わらず寝付くのは得意ではなかったけれど「人間、起き続けていれば、必ずいつかは眠くなる!」ということを信条として、眠くなるまで起きていて、「あ、眠くなってきた」と思ってから布団に入っていたので、寝つきが悪いことが実害を出していませんでした。

私はせっかちな性分なので「寝る時は目を閉じて10秒程度で気絶することが理想」と考えていました。目を閉じて睡魔を待つ、ということの退屈さに耐えられないのです。だから基本的にはそのくらいに眠くなるまで起きていました。

つまり、つい最近までの私は、気絶級の睡魔に襲われて眠るのが習慣でした。これはこれで快適な生活で、毎日「ああ、全身麻酔みたいで気持ちいい」と思いながら眠りについていました。

しかし、そんな生活を送りながらも、ずっと頭の片隅で考えていたことがありました。子どもが幼稚園に通い出したら、また「明日は朝◯時に起きなくてはいけない」という時間の縛りがある生活が始まるのだ、ということ。

寝付く時間をコントロールできないことの最大の難点は、起きる時間に自由が効かないことでした。

目覚ましが鳴るタイミングでスッキリと(睡眠不足ではない状態で)起きるためには、どうしたって寝るべき時間が決まってきます。逆算して、必要な睡眠時間が確保できるタイミングで寝ておかないと、気絶してから寝たのでは睡眠不足になってしまいます。

つまり「◯時に起きる必要がある」という生活を送る場合、眠くなるまで起きて気絶するように眠る、という手法が使えません。

そのことは息子が生まれたときからずっと頭の片隅にあって「遅くとも4年後には目覚ましをかける生活が始まる・・・起きる時間が決められて、寝なくちゃいけない時間が出てくるんだ・・・またあの苦痛が・・・」と考えては、幼少期を振り返って憂鬱を感じていました。

先ほど、「人生ではじめて、ザ・朝型の生活リズムで快適に暮らしています」と書きましたが、朝型の生活をしていた時期自体は長くあります。というか、人生のほとんどがそうです。学生時代はもちろんそうですし、モデル時代も撮影は早朝からが基本でした。なので、人生の3/4は朝に起きる生活をしています。

ただ、私にとってそれはずっと苦痛なことでした。朝起きることが辛かったのです。それに、夜になるたびに、"明日に備えて"一刻も早く寝付くことを強いられている状況がプレッシャーで、苦痛でした。

(ちなみに、寝起き自体は抜群に良くて、起こされたらすぐに起きられるし、目覚ましも聞こえるし、起き上がった瞬間からは元気でした。ただ、私にとって、毎朝の眠りから覚める瞬間は辛いものでした。「まだ眠いのにな、まだ寝ていたいのにな・・・」と思いながら、頑張って起きていました)

だから、憂鬱でした。また、あの苦痛を朝晩に味わう日々が始まることが。

「あ〜嫌だな〜、頑張って寝る生活・・・目覚ましに起こされる生活・・・」と思いながら気づけば2年半が経ち、息子は着々と成長して、刻一刻とその日は迫ってきていました。

でも、こればっかりは仕方ありません。規則正しい朝型生活は、子育てには付き物です。

なので「また、朝と晩に不快感がある生活が始まるのか・・・」と気が重くなりつつも「まあ、子どもが学生のうちだけだし!期間限定のことだ!大好きな息子と一緒に生活をするための苦労だからしょうがない!すれ違い生活はしたくないもん、会いたいもん!その時が来たら頑張ろう!」と覚悟を決めていました。

ちなみに、私の基本的な【生活リズムにまつわる持論】については、こちらの記事にまとめてあるので、気になる方はそちらを!また【子どもの生活リズムについて、どう考えているのか】については、こちらの記事に!

そんなわけで、「遅くとも幼稚園に入る頃には、その日が来る」とは覚悟をしつつ、つい最近までは、かなり自由気ままな生活リズムで暮らしていました。

とはいえ、昼間には息子のことを公園に連れて行ってあげたいし、子どもの遊び場はどこも夕方迄で終わってしまうので、遊びに行ける時間帯に起きてはいましたが。

ただ、「絶対に早起きをしよう!」とか「だから早寝しなくては!」という気合は一切なくて、基本的には気絶できるくらい眠くなるのを待って寝るスタイルでした。

とくに昨年秋からは、夫と2オペで育児をできる体制になったこともあって「一時的に息子と私の睡眠のリズムがズレたとしても、その時は息子と一緒に起きる係を彼に任せれば大丈夫だ」という安心感があり、自由度はさらに増していて「私は私のタイミングで寝よう!」という気楽な気持ちで暮らしていました。

そんな中で、転機は突然に訪れました。

新生活(夫が無職バージョンの暮らし方)が落ち着いてきたことや、夫婦の間で"息子の幼稚園についての方針"が固まったことで、2月頃から複数の習い事をスタートさせることになりました。

そのことによって、私の予想よりもだいぶ早く、【毎朝きっちりと7時ごろに起きる生活リズムを作る必要】が出てきたのです。週の4日は習い事をすることになったのですが、どれも午前中で、確実にご機嫌で教室に参加するためには早起きの習慣が不可欠でした。

それまでの生活時間帯と大幅に変わったわけではないのですが、【結果的に7時ごろに目覚めることと、絶対に7時に起きなくていけない】というのだと全く状況が違います。突然に始まった【起きるべき時間が決められた生活】に、当初、私はかなりの苦痛を感じました。

起きる時間から逆算して、寝るべき時間にお布団に入るものの、眠れないまま時間だけが過ぎる日が続き、それでも目覚ましが鳴ったら起きていたところ、どんどん深刻な睡眠不足に陥っていきました。

日に日に脳の調子が悪くなり、原稿を書きづらいと感じた私は「いったん、息子の朝の支度は彼に任せて、私は私のペースで生活をしてみよう・・・!」と方針を切り替えたりもしたのですが、すぐにその難しさを痛感しました。

私はともかく、息子には明日の習い事に備えて必ず早寝をして欲しいわけですが、私が起きていると息子は一緒に起きていようとしました。また、ひとまず一緒に寝るようなフリをして寝かし付けをして成功しても、その後に私が寝室を出ていくと、まもなくして私が隣に寝ていないことに気づいた息子が起きてきてしまうことが続きました。

起きるべき時間が決まっている息子を寝不足にしないためには、私も息子と同じ生活リズムで暮らす必要があることを感じました。そして「早急に、朝7時に気持ちよく起きられる自分作りをしよう!!!するしかない!!」という決意が固まったのです。

それから私は、本腰を入れて【早寝をする努力】を始めたのですが、1週間も経たないうちに限界を感じました。

毎晩「マジで!!!ぜんぜん眠くないんだけど・・・!!!眠れる気が1mmもしないぞ・・・」と思いながら布団に入るような状態で、実際、予想通りに眠れませんでした。

暗闇の中で2時間以上を過ごしても少しも眠くならなくてウンザリする日が続き、もはや昼間から「今夜の寝苦しさ」を考えては憂鬱を感じるようになりました。

さらには、日増しに深刻になっていく睡眠不足による体調不良。気力・体力・思考力がどんどん削られて、元気が無くなっていきました。3日目にはゲッソリしていました。

限界を感じた私は「とりあえず睡眠薬を導入したい」と思うようになりました。毎晩の"早く寝付かなくては"というプレッシャーがしんどすぎて、もしも薬の力を使えばスンナリ眠れるならば、ひとまずそれがいいかもしれないと考えました。

そうして、人生ではじめて睡眠クリニックに電話をしました。今年の2月の初旬のことでした。

クリニック探しをしながら色々と調べていく中で、自分がいくつかの睡眠障害に当てはまっていることも発見して(概日リズム睡眠障害、非24時間睡眠・覚醒リズム障害、睡眠・覚醒相後退障害に当てはまると思いました)、睡眠薬の件をさておきとしても受診する必要性を感じて、電話をかけました。

すると、予約を取れるのが最短で「3月10日」とのことでした。約1ヶ月後。

3日でゲッソリして途方に暮れていた私としては、もはや絶望的で「あと1ヶ月もこんな憂鬱な毎日を過ごすの・・・!? 無理なんだけど!!!」と思い、そこでついに本気スイッチが入りました。

「睡眠をハックするために、やれるだけのことをしよう」と。


■これからも、息子のことを無理矢理に起こすのは避けたい!

ちなみにそれは、息子を想っての決意でもありました。
子どもの頃からずっと、寝付くことが苦手で朝の決められた時間に起きることが不快で苦痛だった私は、幼稚園に入園する年齢を迎えたらそこから少なくとも10数年間、息子がああいう思いをするのであろうことがずっと気がかりでした。大人になれば、時間に縛られない生き方を手に入れることも可能だけど、子ども時代は不登校にならない限りその選択肢がありません。

出産してからの2年間、時間に縛られない生活をしてきた私は、子どもの寝起きの機嫌は、どんな風に起きるか次第であることを実感してきました。

眠りたいだけ眠ってから起きてくる時の息子は、目が覚めた瞬間からいつもとてもご機嫌でした。ニコニコニヤニヤしながら起きてきてくるのです。

一方で、時間の都合で起こされる時の息子は、ものすごく不機嫌で、明らかに寝足りていない様子で、大泣きをします。

だから、これから長い学生生活を送る息子のことを考えると「できることなら、毎朝の起きるべき時間に、気持ちよく自然に目覚めるようにしてあげたいなぁ・・・」という思いがありました。朝の起きるべき時間に気持ちよく目覚めた経験がない私としては「そんなことは可能なのだろうか」(無理そうだよな)と思いつつでしたが。

すっごく難しそうだけど、、、でも、、、
工夫次第で叶う可能性があるのならば、、、、

息子のことを無理矢理に起こすのは、これからもずっと避けたい。
だから、【起きるべき時間に、親子で気持ちよく自然に目覚めること】をゴールとして、睡眠を研究してみよう!!!

そうして私の【本気の睡眠研究】が始まりました。


■「夜が来るのが憂鬱」と思わない自分になりたい!

まず第一に目指したのは、寝付きの悪さを解決することでした。
夜が来ることが憂鬱に感じない自分になりたくて、眠ることがノルマだと思わないで済むくらいの寝付きの良さを手に入れたいと思いました。

そしてしっかり眠って、朝の起きるべき時間に、スッキリと気持ちよく目覚めたい。

過去の経験から、私にとって朝型の生活自体は「慣らしていけばできることだ」という認識でしたが、かつてそうだったように、起きる瞬間に「ああ、まだ寝ていたいのになぁ」「もう朝なのか・・・」などと苦痛を感じながら、"まだ寝ていたい気持ち"を振り切って起きるというのは理想的じゃないと思いました。だから、もっと快適に目覚めることを目標に研究をしてみることにしました。目覚ましに起こされるのではなく、自然と起きられたら最強だなと。


■「寝るときも起きるときも泣かせないこと」を目標に

息子にまつわる目標としては、寝るときも起きるときも泣かせないことを目指しました。「もう時間だから寝なさい!」とか「時間だから起きなさい!」という強引なことはせず、眠るべき時間にスンナリと寝付いてもらうこと、そして起きるべき時間に自然と目覚めてもらえたら最高だなと。だけど、どうすればそれが叶うのか・・・そんな風に考えながら、仮説を立てては、実験をしていきました。


■睡眠のハックに成功し、病院の予約はキャンセルに!

さて、そんな睡眠研究の結果ですが、まず私は3日ほどで睡眠をハックすることに成功しました。そして病院に電話をした日から1週間も経たないうちに、予約をキャンセルしました。

息子についても、苦労して寝かし付けたり、無理矢理に起こしたりということはしていません。目覚ましが鳴るよりも前にニコニコニヤニヤと起きてきてもらえて、余裕を持って朝の支度ができている状況です。

「夜が来るのが憂鬱」という気持ちがなくなりました。

朝型生活をしているけれど、かつてのように「今日も眠れないのかなぁ・・・」「あー頑張って寝なくちゃ・・・」とため息をつくことはなく、これから長い学生生活が始まる息子について「早起きしなくちゃいけなくて、かわいそうだなぁ・・・」と不憫に思う気持ちもなくなりました。

ということで!

前置きが長くなりましたが、このnoteでは、現在の私が【苦労せずに早寝をして、気持ちよく早起きをするために】具体的にどんな工夫をしているのかを書いていきます。

また、スンナリと寝付くことができても、グッスリ眠ることができずに変な時間に目覚めてしまったりすると睡眠不足になってしまうわけですが、そういうことを予防するためのコツなども徐々に発見したので、そちらも合わせて書いていきます。

なので、このnoteは下田美咲流の【スンナリ寝付いて、グッスリ眠って、スッキリと起きるための教科書】です。

また、睡眠の研究を進めていく中で「あーなるほど、だからあの頃の私はショートスリーパーだったのか」という風に思うようにもなりました。
「ほとんど寝なくても快適に生きられていたのは、そういうことだったのか・・・!!」という発見が多々あったので、もちろんあくまで仮説にはなってしまいますが、実体験ありきでの【美咲流・ショートスリーパーになる方法】という観点での睡眠ハック論のことも書いていきます。

ということで、このnoteには、元来は夜型傾向の遺伝子の持ち主(だと自分では感じています)で、朝早くに起きることが苦痛で、子どもの頃からずっと寝付きの悪い人間として生きてきた私が、それでも、気持ちよく早寝早起きをできるようになった方法を書いてきます。またこれは、子どもの睡眠問題で苦労しないための工夫のお話でもあります。


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長くなりましたが、


あのね、私ね、

眠ることに苦労しなくなって、マジで嬉しいし、快適になったんだ!!!!
工夫次第で、こんな風に眠れるようになるとは!!!!

って心から思っているんだ。

だから、そんな下田美咲の睡眠ハック術の全てを、このnoteに書きます。

※「下田美咲の睡眠にまつわる持論が知りたい」という人に向けて書いているものです。当たり前ですが、すべては仮説であり、個人的な研究の結果です!

【第1章】気持ちよく早寝早起きをする方法

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