Sae

アート/キュレーション/リサーチ 「中国のアート・シーンを巡る」を連載中。

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最近の記事

中国の現代アートシーンを巡る(6)景徳鎮

今回初めてとなる「景徳鎮陶芸ビエンナーレ2023」が、景徳鎮陶磁大学のアートセンターで開催している。テーマは「陶磁の旅」。コンペティション形式のビエンナーレで、世界各国より1802点の応募の中から256点の入選作品が展示されている。 Zhang Wei(中国) Labyrinth 80×35×30 磁、総合素材 Maria Ten Kortenaar(オランダ) Untitled 17×17×15 磁、総合素材 「練り込み」の技法で作られており、彼女の作品のように、色や

    • 中国の現代アートシーンを巡る(5)北京

      本稿では、北京・紅甎美術館 (Red-brick Museum)で開催された中国で初めてとなるハイディ・ブッハーの回顧展「ハイディ・ブッハー Beyond the Skins」をレポートする。 紅甎美術館 (Red-brick Museum) HP: http://www.redbrickartmuseum.org/?lang=en Instagram: Red Brick Art Museum (@redbrickartmuseum) 紅甎美術館は、アートコレクター

      • 中国の現代アートシーンを巡る(4)上海

        今回訪れたのは、中国の経済・文化の中心地、上海です。 かつて租界地とされていた上海の街並みは、筆者が留学時代に訪れたフランスの首都・パリを思い起こさせます。たくさんのギャラリーや美術館が軒を連ね、コロナ政策の緩和以降、毎週末のようにアートイベントが開催される上海は、アートファンにとって心躍る街です。また、上海は英語の普及率も高く、中国で最も国際化された都市と言えます。未だ入国制限があるにも関わらず、上海では多くの外国人を見かけます。 上海では、アートフェア「Affordab

        • 中国の現代アートシーンを巡る(3)宜興

          今回、訪れたのは中国・江蘇省の宜興市。宜興の東南部に位置する丁蜀鎮は、中国茶器を代表する紫砂急須の産地として親しまれています。急須のルーツと言われている紫砂急須は、明の時代に起源し、約500年以上の歴史がある焼きものです。今なお中国の人びとにとって、急須でお茶を飲むことは重要な社交ツールの一つです。丁蜀鎮には、アトリエやギャラリーだけでなく、土、道具、箱などを売るお店が軒を連ねます。 今回は、丁蜀鎮で制作するアーティストの李さんにインタヴューしました。紫砂急須は手のひらサイ

        中国の現代アートシーンを巡る(6)景徳鎮

          中国の現代アートシーンを巡る(2)重慶

           今回訪れたのは、中国の南西部に位置する重慶市。重慶は、北京・上海・天津に並ぶ行政区画(直轄市)であり、人口3000万人と世界で最も人口の多い都市。中国・南西地域の経済の中心地となっています。  前回の記事では、中国のセクシャル・マイノリティをめぐる現状について触れましたが、実は、重慶(および近郊の成都市)は、LGBTQフレンドリーな都市として知られています。当事者の方とお話しすると、それは中華人民共和国の建国(1949年)の歴史と関わっています。1937年に日中戦争が始ま

          中国の現代アートシーンを巡る(2)重慶

          中国の現代アートシーンを巡る(1)杭州

          今回訪れたのは中国・八大古都の一つ、杭州市。都市のシンボルである西湖は、ユネスコの世界文化遺産に登録されており、湖畔から眺める美しい景観を求めて多くの観光客が訪れます。上海市から新幹線で45分の場所に位置する杭州市は、中国の大企業・アリババ本社を擁する経済都市としても大きく発展を遂げています。 ■BY ART MATTERS 天目里美術館  BY ART MATTERS 天目里美術館は、コレクションを持たない、クンストハレ形式の現代アート美術館です。高級ブティック、(中国

          中国の現代アートシーンを巡る(1)杭州