「経営人材」ってなんだ?(清水勝彦研究室ブログ)

今回の調査では「経営人材」=「現在および将来会社または事業をリードしている・いくことを期待されている人材」と定義したが、実はこれは考えれば考えるほど難しい。

『War for Talent』でもトップジャーナルに掲載された論文でも経営人材は明確な経営戦略がまずあって、そこで必要な人材要件が決まるという前提を置いている。伊藤レポート2.0では「経営戦略の実現という将来的な目標からバックキャスト」することが重要だと強調している。

しかし、今時まず戦略を立て、さあ人材を集めようなんて悠長なことを言っている暇はあるのだろうか?そもそもそうした戦略を立てる優秀な人材はどこにいるのか(アウトソース?)。そして、戦略が自社の強みをベースに立てられるとすれば、その核である人材こそが戦略を決めるのではないか。20年以上前に出版され「First Who…Then What」の重要性を指摘した大ベストセラー『Good to Great(日本語版 ビジョナリーカンパニー2)』は現在でもKelloggの教科書として使われている。

営業や株式ディーラー、あるいは科学者ならスター人材はイメージできるが、経営人材に関しては「これだ」ということはできにくい。CEOに就任した時に株価が暴落したが、その後P&Gを躍進させたアラン・ラフリーのような人材、そしてその逆の人材も結構いるのである。

その意味で、人材戦略は経営戦略であるが、経営戦略の下位概念ではない。経営人材を語るとき、MBA知識といった必要条件はあるだろうが、十分条件は企業によって異なることがほとんどである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?