「理念浸透」ブームが気持ち悪い(清水勝彦研究室ブログ)

今時こんなことを言うと非国民と炎上しそうなタイトルを付けた。ただ、みんなもどこかでそう感じてるでしょ?という思いはどうしてもぬぐえない。
今いる社員に「理念浸透」を説くということは、これまで「理念浸透」していなかったということである。じゃあ、そうした社員はなぜ入社したのだろう?単に給料が高いから?仕事が楽だから?

(最近あまり聞かなくなった)「人的資本経営」を持ち出すまでもなく、リクルーティングに力を入れている会社は多い。選ばれた先輩社員が夢を説く。一緒に挑戦しようと呼びかける。大昔、自分がBCGを断ってCDIに入ったのもそれが大きい。夢と理念は違うけど、言っていることは同じだろう。

数年前にある大手企業の役員(中途採用)から「新入社員は目がキラキラしているのに、3,4年経つと淀んでくる」と聞いたときは「え?」と思ったが、理念浸透ブームを見て納得がいく。理念が忘れられているのである。その根本「うちの会社は言っていることと、やっていることが違う」からではないだろうか。目先の利益や保身に走る上司からさらに「理念」と言われて社員はどう思っているだろう?(そういえば損保ジャパンのパーパスが変わるそうである)。

「理念浸透」とは、経営者や上に立つ人々が「自分の言動は理念に基づいたものであるか」を自らに問いかけるべき言葉であって、上から目線で言うべきではないのではないかと我が身を振り返りながら思うのですが、どうでしょう?


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